川内の朝と、ちょい寝坊の幸福
川内の朝と、ちょい寝坊の幸福
光子
「今日は…6時半起き……しあわせ〜〜〜〜」
優子
「昨日までがブラック企業やったね。誰ね、“普通と快速縛り”言い出したアホは」
翼
「はい、すいませんでした(即謝罪)」
拓実
「でもさ、この縛りのおかげで“ネタ”は増えとるけん」
祥子
「スポーツ選手の精神論、それやけん(笑)」
隼
「まぁ俺も、“全部普通で制覇した”って言えたらちょっとロマンあるしね」
朝ごはんをさっと平らげると、みんなでチェックアウト。
川内駅のホームに立つと、青い海風と、オレンジ色の電車が迎えてくれた。
肥薩おれんじ鉄道へ出発
陽翔
「見て見て!オレンジ色ー!!かっこよか!」
結音
「今日のテーマ、“不知火海インスタ映え選手権”やね」
燈真
「きょうは、うみのそばばっかりはしると?」
優子
「そうよ〜。海と線路の距離、ほぼゼロメートルみたいなとこもあるけん」
灯乃
「おかあしゃん、うち、まちがえて海にダイブしたらどげんすると?」
拓実
「ダイブせんでよか!!」
彩羽
「うみ〜、おさかな〜♡」
悠翔
「ひーちゃん、うみつかまえる!!」
ひーちゃん=灯乃に向かって走り出す悠翔を、結音が慌てて抱き上げる。
結音
「ちょ、悠翔くん!海より先に、まず自分の足元見て!」
不知火海の車窓、そして途中下車
電車が走り出すと、右手に不知火海が広がった。
朝日を受けてキラキラ光る水面。磯のにおい、潮の風。
祥子
「……うわぁ、これ、やばい。普通に泣きそう」
隼
「だね。なんか、“やっと一緒にこんな景色見れてるんだな”って感じがする」
その一言に、祥子の耳がじわっと赤くなる。
陽翔
「いま、なんか、プロポーズ前みたいな空気やったっちゃけど」
結音
「陽翔、実況せんでよろしい」
しばらく走ったところで、一行はビュースポットの駅で途中下車。
海が目の前に迫る小さなプラットホームで、みんな一斉にスマホを構える。
光子
「はい、“日本の海に近い鉄道の旅・第4弾 in 不知火海”、撮るよ〜!」
優子
「せーの!」
全員
「ばり最高〜!!」
燈真
「みてみて〜!おれ、うみのうえと〜!(ジャンプ)」
灯乃
「ちょっとだけ、カモメ気分〜!」
彩羽
「とーしゃん、とーしゃん!しゃしん、いっしょ〜!」
翼
「はいはい、父ちゃんいまカメラマンとモデル二刀流ね〜」
新八代〜宇土、そして三角線へ
再び肥薩おれんじ鉄道に揺られ、新八代で在来線に乗り換え。
宇土駅に着く頃には、子どもたちはテンションMAX、大人たちは若干ヘロヘロ。
優子
「はい、ここから三角線やけんね〜。海の匂いもパワーアップするよ〜」
宇土から先、三角線の列車に乗ると、
車窓は再びキラキラした海と、島々のシルエットに変わる。
結音
「なんかさ、“日本のハワイ”って感じせん?」
陽翔
「ハワイ行ったことなかろーもん」
燈真
「はわいって、おいしいと?」
拓実
「食べ物やない!」
三角駅に着くと、レトロな駅舎と海の組み合わせに、大人組が一斉に反応した。
光子
「え、ここ、MV撮影に使いたいやつやん」
祥子
「わかる。ピーチシード★の新曲、ここでジャケ写撮りたいやつ」
隼
「とりあえず今日は観光優先で(笑)」
天草へ渡る ― 歴史と海の一日
三角からはバスで天草へ。
青い海と橋をいくつも渡りながら、子どもたちは窓にかじりつく。
灯乃
「はし、いっぱい〜!なんかゲームみたい!」
燈真
「このまま、うみのしたトンネルとか通らんと?」
悠翔
「トンネルやだ〜。ひーちゃんだっこ〜」
結音
「はいはい、ひーちゃんはトンネルこわくないけん、いっしょに行こ?」
天草では、資料館や教会を巡るコースに。
ガイドさん
「この地域では、昔、信仰を理由に多くの人々が迫害されました。
自分たちの信じるものを守るために、命をかけて闘った人たちがいたんです」
祥子は、静かに展示パネルを見つめる。
祥子
(信じるもののために立ち上がる。
あの国の若者たちも、きっと同じ気持ちで――)
隼
「祥子?」
祥子
「ん、だいじょうぶ。
……ちゃんと歴史、知っておこうと思って」
光子
「“知らんふりがいちばんの罪”って、あのテレビで言いよったん、うちらやしね」
優子
「笑いながらでもよかけん、ちゃんと見る。
それが“爆笑発電所”のルールやけん」
陽翔と結音も、真面目な顔で説明を聞いていた。
陽翔
「むかしのひと、たいへんやったとね……」
結音
「でも、こうやってお話が残っとるけん、
“もう同じことしちゃいかん”ってわかるもんね」
夕方の海と、三角の宿
歴史スポットを一通り回ったあとは、海辺で自由時間。
子どもたちは貝殻を集めたり、波打ち際を走り回ったり。
燈真
「みて〜!ハートのかいがらみつけた!」
灯乃
「それ、結音おねえちゃんにあげたら?
“れんあいじょうたつかも〜”って」
結音
「ちょっと灯乃、どこでそんなワード覚えたと!?」
悠翔
「ひーちゃん、れんあいじょうたつってなに?」
灯乃
「おねえしゃんが、おしえてくれるー」
結音
「やめろぉぉぉぉ!!」
夕方、再び三角に戻り、港近くの民宿へ。
晩ごはんは、天草の魚介フルコースだった。
翼
「この刺身……ヤバすぎん?」
拓実
「これ、スポーツ選手じゃなくても“優勝”って言うレベル」
祥子
「このタコおいしすぎて、明日から“タコのために走る”とか言いそう」
隼
「マラソンの動機として新しすぎる」
夜恒例・爆笑通信@三角
食後、恒例の「爆笑通信」を各支部に向けて配信。
光子(カメラに向かって)
「はい、“日本の海に近い鉄道の旅・第4夜 in 三角”で〜す!」
優子
「今日は、不知火海から天草まで、海づくしでお送りしました〜」
陽翔
「きょうのMVPは、タコ!!」
結音
「うちら人間やけど!?(笑)」
燈真
「きょう、はーとがたのかいがらみつけました〜。
“れんあいじょうたつ”らしいです〜」
灯乃
「全国のこどもたち〜、
“れんあいじょうたつ”は、まだはやかけんね〜!」
各地の支部から、コメントとスタンプがどんどん流れてくる。
《京都支部》
「天草のタコの話だけでビール3杯いけます」
《ブエノスアイレス支部》
「海×鉄道×タコ=最強コンボ。次回はアルゼンチンでも列車ツアーを!」
《パース支部》
「こっちは真冬です。海の映像が尊い……」
最後に、祥子と隼も画面に登場する。
祥子
「今日は天草の歴史にも触れて、
“自由”ってなんなのか、また改めて考えました。
でも、こんなふうに笑いながら話せる旅ができる今が、
本当にありがたいなって思ってます」
隼
「みなさんも、ちゃんと休み取って、
こうやって“笑って学べる旅”、ぜひやってくださいね。
……うちは、だいぶ“笑い成分”濃いめですけど」
光子
「というわけで、“三角ナイト”からお届けしました〜!」
優子
「明日はついに、有明海へ。
また朝早起きやけん、みんなでうちを励ましてください(笑)」
画面の向こうから、
「がんばれー!」「寝坊するなよー!」のコメントが雨のように届く中、
三角の夜は、笑いと波音に包まれて更けていった。




