3日目。本日も鬼業軍
3日目・午前4時半 国分の宿
スマホのアラームが、部屋じゅうで一斉に鳴り響く。
翼
「……ぐぅ……誰や……この時間に……」
光子
「(布団の中から)それ、あんたがセットしたんよ……」
優子
「……うちのも鳴りよる……“4:30★鬼ダイヤ対応”って名前で……
誰よこんな名前つけたと……」
拓実
「お前と光子さんやろがい」
隣の部屋では、子どもたちも順番に起きてくる。
陽翔
「……きょうも、あさなのに、くらい……」
結音
「よし、きょうも“鉄道の旅”モードやね。みんな、起きるよ〜」
燈真
「……ぼく、まだねたい……れっしゃ、あと10ぷん待ってくれん?」
灯乃
「だめ〜。きょうのれっしゃ、にほんいち“少ない”って、
ゆうしゃんがゆっとった〜」
悠翔(半分寝ながら)
「おかあしゃん……だっこ〜……」
彩羽
「ママ〜……おにーしゃんもだっこ〜……」
光子
「ちょっと待って、両肩もう満員やけん……」
優子
「こっちも、悠翔と灯乃とリュックで満席やけん……」
そんなドタバタをどうにか片づけ、
全員、まぶた半開きのままチェックアウト。
国分駅 → 日豊本線 → 鹿児島中央へ
ホームに立つと、まだ空は夜と朝の中間色。
結音
「……この空の色、なんか“鬼ダイヤブルー”って感じするね」
陽翔
「かっこよく言っても鬼は鬼やん……」
やってきた日豊本線の始発列車に、
総勢12名がどさっと乗り込む。
優子
「ねぇ、誰やった?“普通と快速しか乗ったらいかん縛り”作ったの」
光子
「(真顔で)それはですね、
“旅をドラマチックにしたい勢”の代表である――
うちと優子さんです」
拓実
「自白はやっ!?」
翼
「ドラマチック通り越して、もはや罰ゲームやけどな……」
祥子
「でも、こういうの、ちょっと青春っぽくて好きですよ。
“始発で動き出す一日”って感じで」
白石隼
「ぼくはもう、二度と“早朝4時台発車”って文字を
時刻表で見たくないです……」
車内はほぼ貸し切り状態。
窓の外が少しずつ明るくなる中、
列車は鹿児島中央へ向かって南下していく。
鹿児島中央 → 指宿枕崎線 ひたすら揺られて枕崎へ
鹿児島中央駅で、指宿枕崎線のホームに移動すると――
優子
「……あの……案内板見てよ」
《枕崎行き 普通 この列車が行ったら、次はだいぶ後》
光子
「うわぁぁぁ、これがウワサの“本数少なすぎ区間”!」
拓実
「これ逃したら計画バグるどころじゃないな……」
翔子
「大丈夫、全員乗れました。
“ステージの出番に比べたら楽勝です”って
光子さんがさっき言ってましたし」
光子
「(小声で)内心、けっこうギリギリやったけどね……」
列車は鹿児島市内を抜けると、
やがて開けた田園と、遠くの海を横目に走る。
陽翔
「うみや! うみ、みえる!!」
燈真
「ほんとや〜! すごい〜!」
結音
「“日本の海、縦断ツアー”って感じしてきたね」
悠翔
「うみ〜! おねえしゃ〜ん、うみ〜!」
灯乃
「はいはい、いっしょにみるよ〜」
枕崎に近づくにつれ、
列車はさらにのんびり、揺れも増してくる。
優子
「……なんかさ、
“世界でいちばんのんびりした洗濯機”に揺られとる気分やね」
光子
「まちがいなく“高速”やなくて“低速脱水モード”やね」
枕崎駅 到着→即折り返しの悲劇
ようやく終点・枕崎駅に到着。
翼
「着いたぁぁぁ!!」
陽翔
「わーい! おりよ―――」
拓実
「はいストップ。すぐ折り返すから時間ない」
全員
「え。」
時刻表を見ると、折り返しの列車まで、
ほとんど余裕がない。
祥子
「さすが鬼ダイヤ……観光ゼロ……」
光子
「記念写真だけ撮ろ!
“枕崎駅 来たけどほぼ滞在ゼロ記念”!」
ホームの駅名標の前で、
全員がバタバタ並んで、
パシャッと一枚。
結音
「説明コメントは“滞在時間たぶん3分”って入れとこ」
指宿で砂むし温泉
折り返し列車で指宿へ戻り、
ここでようやく、落ち着いた観光タイム。
砂むし温泉の受付で――
職員さん
「じゃあ順番に砂に埋まっていきましょうね〜」
燈真
「えっ、ぼく、うまられると!?」
陽翔
「“うめられる”やろ。
でも、なんか“おいも”になった気分になれそう!」
結音
「九州のいも兄弟やね」
翼
「パパたちも、ちゃんと埋まります」
光子
「うちも埋まると? ママタレントやけん、顔だけは残しとって〜」
砂かけのおばちゃん
「だいじょうぶよ〜、かわいい顔はちゃんと出しとくけんね〜」
温かい砂が体を包みこみ、
じんわりと汗がにじむ。
優子
「あ〜……これ、
“鬼ダイヤ疲れ”に効く〜……」
祥子
「生き返りますね……」
隼
「ぼく、もうここに住みたいです……」
平川動物公園 コアラに癒されまくる
砂風呂のあとは、平川動物公園へ。
子どもたちは、
入口からすでにテンションMAX。
陽翔
「コアラ! コアラどこ!?」
結音
「まずはマップ見よって〜。
“コアラさんはお昼寝率が高いので、静かに見ましょう”って書いてある」
燈真
「しずかに……(ささやき声)
こあらしゃん、みせてください……」
灯乃
「ねむとる〜。かわいい〜」
悠翔
「おねえしゃ〜ん、だっこ〜。こあら〜」
彩羽
「はるとおにーしゃん、こあらのまねして〜」
陽翔(木につかまる謎ポーズ)
「こう?」
結音
「ちょっと……それ、ほぼ“電柱にしがみつく酔っぱらい”やん」
大人たちも、
コアラやキリン、ライオンを眺めながら
ゆったりと歩き回る。
優子
「こうして動物見よったらさ、
“人間だけが特別”って勘違いしちゃいけんよね、って思うよね」
光子
「うん。
どの命も、ちゃんと“そこで精一杯生きとる”って感じがする」
祥子
「……だからこそ、
戦争とか独裁とか、絶対許せないですよね」
翼
「そう。そのへんの話も、
帰ってからまたラジオでやろうな」
鹿児島市内 路面電車でのんびり観光
鹿児島中央駅に戻った一行は、
今度は海沿いを走る路面電車に乗り込む。
優子
「わ〜、路面電車や〜。
なんか“街に溶け込む列車”って感じで好きやね」
光子
「このスピード感、
“爆笑発電所・トークのクールダウン版”って感じ」
陽翔
「うみがまたみえる〜!」
結音
「鹿児島、いいとこやねぇ〜」
車窓からは、港や桜島、街の風景が次々と現れ、
子どもたちはあっちこっちに指をさして盛り上がる。
鹿児島中央 → 川内へ そして3日目の「爆笑通信」
15時過ぎ、
鹿児島本線の普通列車に乗り、川内へ向かう。
灯乃
「きょうは、もう“しはつ”じゃないけん、ねむくない〜」
燈真
「ぼくもまだげんき〜。でも、あしたのはやおきは、やだ〜」
拓実
「ちゃんと寝るやつの台詞やないな、それは」
夕方、川内のホテルにチェックイン。
ひと風呂浴びて夕食を済ませると、
お約束の時間がやってくる。
光子
「それでは……本日の『爆笑発電所・日本海の旅 出張編』、
川内サテライトスタジオからお届けしまーす!」
優子
「全国・全世界のファイブピーチ★ファンのみなさん、
そして各支部のみなさん、
きょうも鬼ダイヤにボコボコにされた一行です!」
オンラインで、
福岡本部・各支部・海外支部がずらりと画面に並ぶ。
古賀さん(博多支部)
『もうねぇ、スケジュール見ただけで腰痛くなったばい』
佐々木夫妻(大野城支部)
『これ絶対、誰か途中で魂どっか置いてくるやつやん』
オーストラリア支部
『サンドバスとコアラで癒やされてるあたり、
うらやましさしかないっす!』
光子
「まずは本日のハイライト。
題して――
“枕崎3分滞在事件”!」
優子
「ほんとに!ホームで写真撮って、
“はーい乗りまーす”で終わりやったけんね!」
翼
「駅の空気、まだ肺に入りきってないうちに折り返したもんな」
拓実
「でも、“来た”ことにはなったけんね。
日本一ハードル高い“来た”やったけどね」
各支部
\爆笑ドカン/
そして、恒例の「鬼ダイヤ反省会」。
優子
「改めて確認します。
“普通と快速しか乗らん縛り”決めたの、誰?」
光子
「はい、うちと優子さんと“企画会議でノリノリやったメンバー”です」
拓実
「犯人けっこう多いやん」
祥子
「でも、こういう旅だからこそ見える
“朝焼けのホームの寂しさ”とか“始発の空気”ってありますよね。
これ、マラソンのスタートとちょっと似てる気がしました」
優子
「うわ、急にええこと言うやん」
光子
「本日の名言賞:肥後祥子 決定〜!」
最後に、明日の予告。
光子
「さて、明日4日目は――」
優子
「『薩摩から有明へ! 鉄道と海と胃袋の旅』
をお届けする予定です!」
翼
「また朝早いんですけどね……」
結音
「もうね、“夏休み=早起き”って、
うちらの世代だけやない?」
陽翔
「でも、おもしろいけん、いいやん!」
画面の向こうで、
全国・世界の支部メンバーが口々に叫ぶ。
各支部
『体だけは気をつけてね〜!!』
『鬼ダイヤに負けるな〜!!』
『毎日の爆笑レポ、楽しみにしとるけん!』
光子
「というわけで、3日目・川内の夜からお届けしました。
爆笑発電所・日本の海に近い鉄道乗りつぶしの旅!
明日も安全運行で――」
全員
「笑いとともに、まいりまーす!!」
こうして、
3日目は、砂と汗とコアラと鬼ダイヤと爆笑に包まれて、
静かに夜更けへと滑り込んでいった。




