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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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佐伯で宿泊

佐伯の夜は、潮の匂いと、温泉上がりのポカポカした疲労感に包まれていた。


初日の行程――

門司港から海沿いを走るローカル線に揺られ、磨崖仏を見ては「でた、石の中からこんにちは仏〜」と陽翔と結音が意味不明な命名をし、別府では温泉ハシゴ。

津久見では、採れたてのみかんを山ほど試食して、全員ビタミン過多状態。


そして、夕暮れ。


一行は佐伯駅近くの小さな旅館にチェックインし、晩ごはんで魚をこれでもかと堪能したあと、

いよいよ――旅の最初の「爆笑通信」生配信タイムが始まった。



◆ 爆笑通信・佐伯スペシャル


旅館の大広間。

テーブルを端に寄せて、真ん中にノートPCと小型カメラがセットされる。


光子がいつものようにポニーテールを結び直し、

優子はツインテールをゆらゆら揺らしながらマイクテスト。


光子

「はい、博多の爆笑発電所本部、全国&世界の支部のみなさ〜ん!

 こちら、日本の海に近い鉄道乗りつぶしの旅・一日目の夜、佐伯でーす!」


優子

「聞こえとる〜? 途切れたらたぶん陽翔が回線に変な名前つけたせいやけんね〜」


画面には、

福岡本部、京都支部、熊本支部、江津支部、徳島支部、

さらに海外のメルボルン、パース、ウェリントン、ブエノスアイレス、バンクーバー、ロサンゼルス、ジュネーブ、オデーサ、キーウ支部まで、

小さな窓がズラッと並ぶ。


あっちでもこっちでも手を振る人、

「こっちは真昼〜!」「こっちは夜勤明け〜!」とカオスな挨拶が飛び交う。


「いや〜、初日からなかなかハードやったね」


拓実

「磨崖仏からの温泉からのみかん地獄やったからね。

 うっかりビタミンCで溺れるとこやったもんね」


子どもたちも画面に映り込む。


陽翔

「きょうのおふろ、すっごいきもちよかった〜!」


結音

「かべの仏さまが“おつかれさ〜ん”って言いよったもんね」


燈真

「みかん、たべすぎておなかポンポコリンやけ〜ん!」


灯乃

「ゆのんちゃんと、みかん何個たべたかもうわからん〜」


悠翔と彩羽は、画面の前を高速で横切っては、

「おじしゃ〜ん!」「おばしゃ〜ん!」と手を振り、

誰に向けてるのかもはや不明。



◆ 全支部、爆笑の波に飲まれる


京都支部スタッフ

「こっちは笑いすぎて仕事にならんのですけど!」


江津支部

「日本海側やのに、“日本の海に近い鉄道ツアー”って名前にねじ込んでくれてありがとう!」


ブエノスアイレス支部

「アルゼンチンから見てます!

 マテ茶吹きそうなんで前振りで“飲み物禁止タイム”宣言してください!」


光子

「はいはい、世界中のみなさん落ち着いて。

 ここから本格的に腹筋に悪い時間やけん、温かい飲み物は一回テーブルからどけてください」


優子

「さて。初日ダイジェストいきましょか」


二人のテンポのいいトークで、

磨崖仏前の謎ポーズ写真、別府温泉での“のぼせ寸前事件”、

津久見のみかん売りおばちゃんとの値切りバトルなどが、

次々と暴露されていく。


そのたびに、画面上の各支部の窓から

「腹いてぇぇ!」「仕事中やぞ!」「上司も一緒に爆笑しとるからもうええか!」

というチャットが飛び交う。



◆ そして、鬼のような明日の告知


優子

「でね。問題は明日ですよ、明日」


光子

「そうそう。みなさん、ここからが本題です。

 明日ね、朝4時半起きです」


画面の全支部、一斉にフリーズ。


熊本支部

「よんじ…え? 4時半“起き”?」


徳島支部

「えっと、ライブ配信はお昼ですよね?

 なんで気合い入りすぎの部活の合宿みたいな時間なんですか?」


「それがね……

 この先に“1日に普通列車が一本しか走らん区間”があるとよ」


拓実

「鬼ダイヤやね。駅の時刻表、

 “7:02”の下、空白やったもん」


祥子

「見た瞬間、笑うしかなかったよね……

 “これ、電車じゃなくて幻なんじゃない?”って」


恋人くん(仮・まだ名前出してないけど横で苦笑)

「一本逃したら、今日中にたどり着けないって聞いた時の、

 みんなの顔が最高やった」



◆ 誰やねん、この縛り考えたの


光子

「で、ここで問題のルールですよ」


優子

「“普通列車と快速しか乗ったらいかん”縛りね」


一拍置いてから、

二人同時にカメラをじっと見つめる。


光子

「……誰やねん、これ言い出したの。」


優子

「ほんっっとに誰やねん。

 特急さんサイドが泣いとるよ?

 “ワイらも海、よう見せてるんやけど!?”って」


福岡本部から、爆笑の波。


本部スタッフ

「いやいや、言い出しっぺはそちらのM&Yやった気がしますけども!」


光子

「え? うちら? そんなアホなこと言うわけ――」


優子

「――言うわ。めっちゃ言うわ。

 “どうせやるなら普通と快速だけで攻めよ!”って

 ノリノリで言いよった顔、動画に残っとるわ」


「完全に残っとるね、編集データに」


拓実

「ラジオで“縛り旅やね〜”って嬉しそうに言いよったもんね」


祥子

「アスリート目線から言わせてもらうと……

 普通・快速縛りはもはや高地トレーニングに匹敵します」


世界支部

「やめて、変なトレーニング方法として広まるから!!」



◆ 子どもたちのツッコミも容赦ない


陽翔

「ママたちがきめたんやろ?

 “ふつうと かいそく だけでいくばい!”って」


結音

「ゆのん、おぼえとるもん。

 そのあと“うわ、言ってもうたー!”ってママがさけんどったもん」


燈真

「とうま、あした4じはんおきたら、

 “おはようございま…す…(がくっ)”ってなる〜」


灯乃

「ゆのんちゃんと、なかよくねむい〜ってなる〜」


悠翔

「おねえしゃーん、あした、ねむねむツアー?」


彩羽

「おにーしゃん、いろはもねむねむ〜」


画面の向こうで、各支部が次々と崩れ落ちる。



◆ 全支部巻き込み・自虐オチ


光子

「というわけでみなさん、

 明日、朝4時半に起きて“普通列車一本勝負”を見事成功させたら――」


優子

「夜の配信で、

 “寝坊した人の名前、全国支部に発表いたします”」


祥子

「プレッシャーやめて!?

 マラソンのラスト1kmより緊張するんですけど!」


「世界のトップアスリート2人と、

 普通列車1本に人生かける人たちのツアーやね、これ」


拓実

「オリンピックよりシビアな時間管理やね」


各支部から一斉にチャットが飛ぶ。


「がんばれ普通列車」

「がんばれ運転士さん」

「がんばれ目覚まし時計」

「がんばれM&Y(主犯)」


光子

「がんばれの優先順位おかしない?」


優子

「というわけで、初日の爆笑通信・佐伯スペシャルはこのへんで。

 明日ちゃんと起きれたら、また会いましょ〜!

 起きれんかったら……その時は察してください」


世界中の支部の画面から、

「おやすみー!」「がんばれー!」「アラーム10個かけとき!」と声が飛び、


佐伯の夜は、

笑いと、ちょっとだけ不安と、

そして“普通列車一本勝負”への妙な高揚感を残したまま、

ゆっくりと更けていくのだった。

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