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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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82/90

ようこそ、爆笑発電所へ



1.爆笑通信 in 小倉家


―「ようこそ、爆笑発電所へ」篇―


福岡・博多区、小倉家リビング兼・爆笑通信スタジオ。


いつもより椅子が多い。

ソファには、アリョーナスとカティア。

その横に、セルゲイ&エレナ、パーベル&イリーナ、オレグ&ナターリヤ、ドミトロ&アリーナ。

ずらっと並んだ“元・独裁国家ファミリー”が、そろって緊張気味に座っている。


対面には、いつもの顔ぶれ。

光子ポニテ優子ツインテ、美香、春介、春海。

その足元には、陽翔・結音・燈真・灯乃・彩羽・悠翔が、完全に“人懐っこい子犬”状態で群がっていた。



◆ オープニング


光子

「はいどーもー! 爆笑発電所・福岡本部からお送りしまーす!

 今日はスペシャルゲストデーやけんね!」


優子

「世界の情勢が大きく動きだした、そのきっかけになった動画を撮った、

 “ミハイリス一家&レフチェンコ一家”が遊びに来てくれましたー!」


アリョーナス

「コンニチハ!アリョーナス・ミハイリスです。

 きょうは……えーと……“腹筋をこわしに来ました”」


光子

「目的おかしいやろ!」


カティア

「ワタシ、カティア・レフチェンコです。

 ニホンノ ミナサン、“わらいながら かんがえる”を、

 おしえて くれて、アリガトウゴザイマス」


ぱちぱちぱち、と家族たちが拍手する。

その瞬間──


陽翔

「ありょーにゃすー!! だっこーー!!」


彩羽

「かてぃあおねーしゃんもーー!!」


2人の膝に、陽翔と彩羽が全力ダイブ。

アリョーナス、上体ごと持っていかれかける。


アリョーナス

「オォ、ハルト、イロハ、ちょっと、ボク ノ アバラ……!」


セルゲイ(ぼそっと)

「……戦場より激しいな、これは」


エレナ

「あなた、笑ってる場合じゃないわよ」



◆ ちょっとだけ真面目タイム


撮影は、まずは短く“今の故国の状況”を語るパートから始まった。


アリョーナス

「ぼくたちの国は、こうぶつしげん(鉱物資源)が たくさんあります。

 でも、その ほとんどは、じょうそうぶ(上層部)のポケットに 入ります」


カティア

「くにの たてまえ は、“はたらけば ゆたかになる”ですが、

 じっさいには、やすい きんりょう(賃金)で こきつかわれて、

 びょうきになっても ほっとかれる ひと が 多いです」


オレグ

「とくに、女の子は “学ぶ機会” を奪われてきた。

 “子どもを産む道具”としか考えない古い価値観が、いまだに力を持っている」


ナターリヤ

「病院も足りない、薬も足りない。

 小さな子どもたちが、助かるはずの病気で命を落としていくのを、

 何度も見ました」


カメラの向こうで、スタッフたちも真剣な表情で見つめている。


光子

「……うちらも、あんたらの話聞いて、

 “この世界で、まだこんなことが続いとるんやね”って、胸がぎゅーってなった」


優子

「でも、そこで“諦める”じゃなくて、

 こうして日本に来て、“声を上げる”側に回った。

 その勇気、ほんとに尊敬しとるけんね」


カティア

「M&Yと ファイブピーチの きょくに、

 “もうくりかえさないでほしい”って ねがいを かんじて、

 わたしたちも なにか できるかもしれないと おもいました」


パーベル

「だから、動画で話すことにしたんだ。

 こわかったけど……

 “黙ってたら、何も変わらない”って、

 ここの人たちが教えてくれたから」


一瞬、空気がしんとする。


──その静けさを破ったのは、やっぱり子どもだった。


悠翔

「ありょーにゃす、ないちゃだめー。

 なみだ、ふいとばすー。むぎゅー!」


アリョーナス

「おおっ!」


悠翔が全力ハグ。

続いて彩羽も、「むぎゅー!」と両脇から抱きつく。


セルゲイ

「……この子たちといると、泣いてる暇がないな」


イリーナ

「でも、あったかいね。

 ここに来て、はじめて“普通に笑う子ども”を毎日見てる気がする」



◆ 爆笑タイムに切り替え


光子が、ぱんっと手を叩く。


光子

「はい、ここからは“通常運転”やけんね!」


優子

「爆笑通信、世界支部福岡ベース、

 『はじめての日本カルチャーショック選手権〜!』」


一同

「おぉ〜〜!」



①「初めての温泉」事件


優子

「まずはセルゲイさん。

 日本に来て、一番カルチャーショックやったことは?」


セルゲイ

「おお……それは、あれだ。

 “おんせん”だ」


光子

「あ〜やっぱり!」


セルゲイ

「最初に案内された時、

 『ここで、みんなで入る』と聞いて、

 “水着を忘れた”と言ったら、

 “要りません”と言われた」


スタジオ爆笑。


セルゲイ

「“いや、必要だろう!”と本気で主張したら、

 優馬さんに肩つかまれて、『男は黙って、ケツ出して入らんかい』

 と言われた」


春介・春海

「じいちゃん、何やってんの!?」


ナターリヤ

「わたし、あとから聞いて、床転げて笑いました」



②「日本語むずかしい」事件


カティア

「わたしは、“日本語の イントネーション”……」


優子

「なになに?」


カティア

「このまえ、ラジオのコメント動画 どりょくして とったんです。

 “爆笑発電所のおかげで、

 わたしの毎日が‘ハライタイ’です”って」


光子

「腹痛いやん!!」


カティア

「ほんとは、“笑いすぎてお腹が痛い”って いいたかったのに、

 コメント欄で

 “それは褒めてるのか心配してるのか”って つっこまれました」


春海

「最高すぎるやろ、その日本語ミス」



③「博多弁デビュー」事件


パーベル

「ぼく、博多弁の授業うけました」


光子

「授業って(笑)」


パーベル

「“なんしよーと?” “よかよか〜”は覚えました。

 でも、このまえコンビニで、

 スイーツ見ていて、店員さんに

 **“このプリン、よかよか?”**って聞いたら」


優子

「通じた?」


パーベル

「店員さんが笑いながら

 『よかよか〜、それ一番人気〜!』って言ってくれました。

 その瞬間、“日本で生きていける”って思いました」


一同

「それは確かに(笑)」



撮影が終わるころには──

アリョーナスもカティアも、両親も、兄妹たちも、

笑いすぎて本当に腹筋を押さえていた。


エレナ

「この家族と一緒にいると、

 “笑うことが普通”になっていくのね……」


アリーナ

「でも、ちゃんと“たいせつな話”もしてくれる。

 それが、すごく不思議で、あったかい」



2.M&Yラジオ


―「世界とアホと、ちゃんと真面目な夜」篇―


金曜夜19時。

番組はいつものジングルから始まる。


♪ M&Yの〜〜

フライデー爆笑〜〜ラジオカフェ〜〜♪


光子

「こんばんは〜、ポニテのほう、光子です!」


優子

「ツインテのほう、優子です!

 今夜はね、“いつもよりちょっと真面目に、でも爆笑で”お届けします!」



◆ 国際部解説員・登場


優子

「今日のゲストはこの方です!

 某キー局・国際部の解説員、朝倉あさくら 真一しんいちさんでーす!」


朝倉

「よろしくお願いいたします。

 ……って、こんなテンションで入って良かったんでしょうか?」


光子

「よかよか〜。

 ここ、最初にテンション落とすと逆にやりにくくなるとこやけんね」


朝倉

「なるほど、“空気がすでに出来上がっているスタジオ”というのは、こういう……」


優子

「解説モード入らんでよかです(笑)」



◆ 前半:きっちり解説パート


光子

「さて朝倉さん。

 うちらの曲がきっかけのひとつになって、

 アリョーナスとカティアの国で、大きなうねりが起き始めました。


 “鉱物資源”とか、“大国の利権”とか、

 ニュースでちらちら聞くけど、

 正直、何がどうつながっとるか、イメージしにくい人も多いと思うんよね」


朝倉

「そうですね。簡単に言うと──」


・資源が豊富な国ほど、権力者が利権を握りやすくなること

・その資源を買う大国・大企業が、“安さ”を優先すると、人権問題が見えにくくなること

・不買運動や国際世論が動くと、企業が“この国から買うのはリスクだ”と判断し始めること

・それが、独裁政権にはプレッシャーになり、同時に国民が「外の世界は違う」と気づくきっかけになること


を、朝倉は丁寧に、かみ砕いて説明していく。


朝倉

「今回のケースは、

 アリョーナスさんたちの“告発動画”と、

 ファイブピーチ★の“反戦・反独裁へのメッセージ”が、

 世界のあちこちで同時に届いたことで、

 “点と点が線になった”印象がありますね」


優子

「なんか、うちらのやったことが、思ってたよりでっかい渦に繋がっとるの、

 正直ちょっと怖くもあるっちゃけど……」


朝倉

「でも、それが“音楽と笑い”で届いた、というのが大きいと思います。

 拳を振り上げるだけじゃなく、“一緒に笑える希望”がある。

 それが、人を動かしたんじゃないでしょうか」


光子

「……なんか、今日のうちら、

 ちゃんとNHKっぽくない?」


優子

「うん、“Eテレの真面目な番組”っぽい」


朝倉

「そこは“教育枠”なんですね(笑)」



◆ 後半:もちろん爆笑へ


光子

「じゃあここからは、“いつものM&Yっぽさ”もお届けしていきます」


優子

「実はですね、アリョーナスとカティアから、

 この番組宛に音声メッセージが届いとるとよ」


SE:ピロン♪


──録音音声。


アリョーナス(日本語)

『ミツコさん、ユウシさん、こんばんは。

 いつも、ハラタチマギレに 聴いています』


スタジオ

「腹立ち紛れ!?」


優子

「なんでそうなるとね!」


光子

「たぶん“イライラした時も笑えてスッキリする”みたいな意味やろうけど!」


朝倉

「新しい褒め言葉ですね、“腹立ち紛れリスナー”」


もう一通。


カティア

『おかげさまで、わたしたちの こくないでも、

 “わらって かんがえる”という ことば が ひろがっています。

 **“アホでも、世界をかえられる”**という コンセプトは、

 とても だいじ だと おもいます』


光子

「それ翼や!!」


優子

「アホのグランドスラムや!!」


朝倉

「国際政治の文脈で“アホでも世界を変えられる”って言われる番組、他にないですよ」



◆ 国際部解説員、崩壊する


優子

「ところで朝倉さん。

 ぶっちゃけ、このスタジオ入ってから、

 落ち着いて解説できとる時間、どれくらいありました?」


朝倉

「えーっとですね……

 最初の3分くらいは、ギリギリ“ニュースっぽい自分”を保っていたと思います」


光子

「残り27分は?」


朝倉

「ただの視聴者です」


スタジオ爆笑。


朝倉

「いや、本当に。

 国連だの制裁だの、普段は堅い話ばっかりしてるんですが、

 今日は途中から

 “あ、これ普通に聴いてた番組だ”ってなってしまって……」


優子

「それ、最高の褒め言葉やね」


光子

「“国際部解説員をただのリスナーに戻す番組”

 M&Yのフライデー爆笑ラジオカフェです」



◆ エンディング


光子

「今日は、“笑いながらちゃんと考える”って話を、

 アリョーナスたちのことを通して一緒に考えてもらいました」


優子

「世界は広くて、問題も山ほどあるけど、

 笑いがゼロの正義は、どこかで息切れするって、うちらは思っとる。


 だからうちらは、

 “アホで、まじめに、しぶとく”いきます」


朝倉

「そのスタンス、

 国際報道にも必要かもしれませんね。

 **“絶望の中にも笑える余白を残しておく”**という視点は、

 とても大事です」


光子

「というわけで本日のゲスト、

 国際部解説員の朝倉真一さんでした〜!」


優子

「来週も、“アホでも世界を考える金曜夜”でお会いしましょう。

 M&Yの──」


2人

「フライデー爆笑ラジオカフェでした!」


ジングルが流れ、ON AIRランプが消える。


スタジオには、

まだしばらく、笑い声と、

どこかじんわりした余韻だけが残っていた。



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