卓球ミックスダブルス決勝
◆ 卓球 ミックスダブルス決勝
柳川 拓実 + 三浦 結衣(日本)
vs 中国ペア
相手は、何度も世界大会で当たってきた中国の強豪ペア。
お互いに手の内は知り尽くしている――はずだった。
試合前、コート脇でアップを終えたところで。
拓実
「結衣さん」
結衣
「ん?」
拓実、声を落として耳元でささやく。
拓実
「今日さ……
最後の最後の奥の手、二つ用意しとるやん?
そのうちの“ひとつ目”出すけん。」
結衣の目が、すっと細くなる。
結衣
「…あれ、やるんね」
拓実
「うん。
ここで使わんかったら、いつ使うとって話やし」
結衣
「了解。じゃあ私は、その後ろで“世界一安心できる壁”やるわ」
ふたりは拳を軽く合わせて、
台に向かう。
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◆ 第1ゲーム:様子見と“従来型”
最初は、お互いに今までのパターンをぶつけ合う。
* 中国ペア:速攻+台上の質の高さ
* 日本ペア:拓実の多彩なサーブと、結衣のブロック&カウンター
互いにブレイクを取り合い、
点差は開かない。
終盤、
8-8 から、
中国ペアが一瞬の隙を突いて連続得点。
8-11。
中国が先にゲームを取る。
ベンチに戻りながらも、
拓実の表情はむしろ楽しそうだった。
拓実
「よっしゃ。だいたい再確認できた。
次から“本気の嫌がらせ”行くけん。」
結衣
「その言い方よ」
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◆ 第2ゲーム:奥の手サーブ 解禁
レシーブからの展開で1点ずつ取り合い、
3-3 になったところで――
拓実、サーブエリアにボールを持って立つ。
グリップをほんの少し変える。
結衣
(来た、“奥の手その1”。)
トスはいつもより低め。
ラケットは台のすぐそばをかすめるように振り抜かれ――
キュインッ
と、ボールが不自然なほど強く沈み込む。
1バウンド目:
自陣台上で“ギュッ”と食いつき、
急ブレーキ。
2バウンド目:
相手コートに飛び出した瞬間、
横+強烈バックスピンのせいで
あり得ない方向にコロコロ転がる。
中国ペア
「!?」
完全にタイミングを外され、
ラケットが空を切る。
主審
「ポイント ジャパン!」
観客
「今の何!?」「え、どこ行くか分からん…!」
解説
「今のは……見たことない回転ですね。
一度バウンドしてから、どこに行くか本当に読めない。
公式戦では初披露でしょうか?」
拓実
(よし、“ボールに聞いてくれサーブ”、成功)
以降、この“超バックスピン+横回転サーブ”が
要所要所で炸裂。
* 相手のツッツキがネット直撃
* 無理やりフリックしてオーバーミス
* 読めたと思っても、コースがズレる
サーブからほぼノーリスクで2〜3点稼ぎ、
流れを完全に日本側へ。
11-6。
ゲームカウント 1-1 に戻す。
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◆ 第3ゲーム:ペアリングの真骨頂
中国ペアも修正を試みるが、
既に“心に引っかき傷”が入ってしまっている。
* 拓実のサーブにビビって前に出れば、
結衣の台上ストップ&プッシュが刺さる
* 下がれば、ミドルを突かれて体勢を崩される
中盤、
結衣が神がかったブロック連発で
ラリーを切らさない。
結衣
「はい、返す。はい、返す。
あなたが打ちたいところに打ちなさい。」
拓実
「お言葉に甘えて〜!」
ロングラリーの末、
拓実の鋭いバックハンドが決まり、
ベンチも総立ち。
11-7。
日本 2-1 のリード。
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◆ 第4ゲーム:押し切る
中国ペアは、
“奥の手サーブ”を封じようと
思い切ってレシーブ位置を変えてくる。
だが、それこそが拓実の狙いでもあった。
拓実
(奥の手はサーブだけやない。
サーブを警戒させて、
“その後ろの形”で点取るのもセットやけん。)
サーブだけでなく、
3球目・5球目攻撃のパターンが
綺麗にハマりはじめる。
結衣も、
相手の強打を冷静にブロックし、
“壁”として君臨。
結衣
「焦るのは向こう。
うちらは、いつも通り。」
終盤、
8-6 → 9-7 → 10-8 とマッチポイント。
最後は、
再び“奥の手サーブ”を選択。
拓実
「行くよ、世界初・正式採用、
ボールに聞いてくれサーブ・ファイナルバージョン。」
強烈な回転がかかったサーブに、
相手のレシーブが高く浮く。
そこを結衣が、
落ち着いてバックハンドで叩き込む。
11-8。
主審
「ゲーム、セット、アンドマッチ!
柳川/三浦! 3-1!!」
日本、ミックスダブルス金メダル。
拓実&結衣、2個目の金メダルゲット。
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◆ 優勝インタビュー(名物・爆笑バージョン)
コートサイド。
ふたりにマイクが向けられると、
客席からひときわ大きな歓声が上がる。
● 拓実インタビュー
インタビュアー
「柳川選手、三浦選手、
ミックスダブルス優勝、おめでとうございます!
まずは柳川選手、今日の勝因を教えてください」
拓実
「ありがとうございます。
そうですねぇ……
相手よりちょっとだけ、
変なサーブを練習してきたことですかね。」
会場:早速笑い。
インタビュアー
「やはりあの、“どこに跳ねるか分からないサーブ”ですね。
解説席も騒然となっていましたが、
あのサーブ、どういうサーブなんでしょう?」
拓実
「簡単に言うと……
一度バウンドしたあと、どこに行くかは、
俺にも分かりません。」
会場、大爆笑。
拓実
「なんで、“行き先はボールに聞いてくださいサーブ”って
自分では呼んでます」
インタビュアー
「ご自身でも分からないんですか!?」
拓実
「はい。分からんです。
でも、結衣さんが後ろにおるけん、
“どこに行ってもなんとかしてくれるやろ”っていう、
半分信頼、半分丸投げです。」
結衣
「こら」
さらにインタビュアーが聞く。
インタビュアー
「シングルスに続き、ミックスでも金メダル。
今のお気持ちは?」
拓実
「これでまた、
優子に怒られずに済みました。
シングルスで“ちゅ〜ポイント1”もらったんで、
“ミックス分で+1”ってことで、
現在ちゅ〜ポイント合計2で〜す。」
観客
「うおおおお!!(笑)」
インタビュアー
「また“ちゅ〜ポイント”ですね(笑)」
拓実
「はい。
ただし、ポイントを実際に使わせてくれるかどうかは、
優子の機嫌次第です。
そこが一番難しい決勝戦かもしれません」
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● 結衣インタビュー
インタビュアー
「三浦選手にも伺います。
拓実選手の“奥の手サーブ”を、
どう感じていましたか?」
結衣
「最初見たときは、
**『なにそれ、反則やん』**って思いました(笑)」
会場、再び笑い。
結衣
「でも、今日の決勝まで、
公式戦では一回も使ってなくて、
ひたすら練習だけしてたんですよ。
“いつ出すと?”って聞いたら、
『五輪の決勝まで我慢する』って言い張ってて」
インタビュアー
「まさに“奥の手”ですね」
結衣
「はい。
出したあとに、
『あ、これで優子にまたちゅ〜おねだりできる〜』
ってニヤニヤしとったんで、
“あ、この人やっぱり変わっとるな”って確信しました。」
拓実
「そこまで言う?」
インタビュアー
「三浦選手も、
これで2個目の金メダルですね。
ご主人には、何か“おねだり”は?」
結衣
「そうですねぇ……
拓実さんが“ちゅ〜ポイント2”なら、
私は旦那に“ハグポイント”でも請求しようかなと。
世界中にバレたので、
もう逃げられませんよね?」
観客、大爆笑と拍手。
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◆ 日本・柳川家リビング(お約束のリアクション)
テレビから、
「どこに行くか分からないサーブ」
「ちゅ〜ポイント2」
「ハグポイント」まで全部流れてくる。
優子
「…………」
結音
「ママ、またパパ“ちゅ〜ポイント”増えたって」
灯乃
「“2ポイント”やって〜。
ママ、どうすると?2回? 3回?」
悠翔
「おねーしゃん、ハグポイント〜〜!!」
(なぜか結音と灯乃に抱きつく)
優子、大きくため息。
優子
「……はぁ。
シングルス金、ミックス金、
そして世界配信ちゅ〜宣言2回分。
まとめて説教してから、
ポイントの使い道は考えちゃる。」
結音&灯乃
「ママ、やっぱりツンデレ〜〜!!」




