ほんなら次は――俺の番やろ
翼の中で、なにかがカチッと入った。
(拓実も結衣さんも金。
“ちゅ〜ポイント”もゲット。
ほんなら次は――俺の番やろ)
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◆ テニス 男子シングルス決勝
青柳 翼(日本) vs カルロス・サントス(ブラジル)
ヨハネスブルク・センターコート。
陽射しは容赦ないが、スタンドの熱気はそれ以上。
アナウンサー
「さあ、男子シングルス決勝。
日本の青柳 翼が、ブラジルのカルロス・サントスと激突です!」
サントスは、
・豪快なフォア
・ネットに出てくる勇気
・“ブラジルらしい”攻撃的なテニス
でここまで勝ち上がってきた、南米の新エース。
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◆ 第1セット:脚を奪う“コーナー&ドロップ”作戦
立ち上がり、
翼は最初から明確なプランを持っていた。
(コーナーぎりぎり、
まずは後ろに下げる。
そっから前に引っ張り出す)
* フォアのクロスでサイドラインギリギリを突き
* 次の球でバック側のコーナーへ逆クロス
* サントスが大きく下がったところへ、ふわりとドロップ
サントス
「くっ……前か!!」
全速力で前に走るが、
届いてもネットを越すだけで精一杯。
その甘くなったボールを、
翼が冷静にオープンコートへ流し込む。
解説
「青柳選手、今日は最初から
“前後左右フルコース”ですね。
サントス選手の脚を、確実に削りにいっています」
中盤で一度ブレークを奪い、
6-3。
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◆ 第2セット:ブラジルの反撃 → さらに揺さぶる翼
サントスも黙っていない。
フォアの強打の比率を上げ、
サーブもセンターを多用してくる。
しかし翼は、
“強打一本”を簡単に決めさせない。
* 強打には、カウンター気味のブロック
* その次に、またコーナー深くスピンボール
* コーナーを踏まされたサントスに、再度ドロップ
サントス
(また前後か……!)
観客のどよめきとともに、
サントスの足取りが少しずつ重くなる。
解説
「サントス選手、徐々に足が止まり始めました。
青柳選手、1ポイントごとに“脚へのダメージ”を積み重ねている感じですね」
終盤、サントスの凡ミスが増え、
再びブレーク。
6-4。
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◆ 第3セット:円熟の“仕事完了モード”
(ここで終わらす。
だらだら長引かせたら、こっちの家族時間が減る)
翼の中には、
もう一つのモチベーションがあった。
(早よ終わらせて、
金メダル持って、
光子に“ちゅ〜ポイント1”もらわないかんし。)
第3セット、
サーブのコース配分がさらに冴え渡る。
* ワイドに振ってからの逆サイドへのフォア
* センターに打って身体を固めさせてから、ドロップ
* ときどきネットにも出て、プレッシャーをかける
サントスの肩が明らかに落ち、
最後のゲームではノータッチエースも飛び出す。
レフリー
「ゲーム、セット、マッチ!
青柳! 6-3, 6-4, 6-2!」
ストレート勝ち。
翼、シングルス金メダル。
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◆ 優勝インタビュー(翼)
インタビュアー
「青柳選手、金メダルおめでとうございます!
見事なストレート勝ちでした!」
翼
「ありがとうございます。
サントス選手、めちゃくちゃ強かったですけど……
今日は“脚をどこまで使ってもらうか”ってことだけ考えてました。」
インタビュアー
「前後左右への揺さぶり、すごかったですね。
最後までペースを落としませんでしたが、
原動力になったものは?」
翼
「え〜……あの、卓球で拓実がですね、
『優子に怒られんで済んだ。ちゅ〜ポイント1ゲット〜』とか言ってたじゃないですか」
観客:ドッと笑い。
翼
「それ聞いて、“あ、負けとれんわ”と思いまして。
俺も金メダル獲って、光子から“ちゅ〜ポイント1”もらおうって。」
インタビュアー
「ここでも“ちゅ〜ポイント”ですか(笑)」
翼
「はい。
ただ、うちの嫁はツンデレなんで、
ポイント貯めるだけ貯めて、
実際もらえるかは分からんですけどね」
観客:爆笑&拍手。
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◆ 女子シングルス決勝
水川 玲奈(日本) vs 強打派トップ選手
相手は、世界ランキング上位の強打派。
名前を呼ぶ国アナウンスが響くたびに、
会場の空気がピンと張りつめる。
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◆ 試合は当然のようにフルセット
* 第1セット:相手の強打が炸裂し 4-6。
* 第2セット:玲奈がリターンを修正、粘って 7-5。
* 第3セット:再びパワーに押され 3-6。
* 第4セット:丁寧なラリーで崩し 6-4。
セットカウント 2-2。
ファイナルセットへ。
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◆ ファイナルセット → デュース地獄
ファイナルセット、
ゲームカウントが並び続ける。
・3-3
・4-4
・5-5
どちらも一歩も譲らず、
気づけば 6-6 → タイブレーク。
タイブレークも、当然もつれる。
* 4-4
* 6-6
* 8-8
玲奈
(ここまで来たら、
“怖い”か“好き”かで打ち方変わる。
私は、“テニスが好きなほう”に賭ける)
相手の強烈なサーブにも、
ブロック気味のリターンで食らいつき、
自分のサービスゲームでは、
セカンドでも思い切ってコーナーを突く。
そして――
10-10。
ここで相手が、
痛恨のダブルフォルト。
観客
「うわぁぁぁ……!」
スコアは 11-10(玲奈のチャンピオンシップポイント)。
玲奈、ベースラインの後ろでボールをつく。
深呼吸ひとつ。
(最後は――自分の“一番好きなサーブ”で終わらせる)
トスを高く上げ、
しなやかなフォームから振り抜かれたボールは――
センターへ伸びるノータッチのサービスエース。
主審
「ゲーム、セット、マッチ!
ミズカワ! 4-6, 7-5, 3-6, 6-4, 7-6!」
玲奈も金メダル。
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◆ 優勝インタビュー(玲奈)
インタビュアー
「水川選手、壮絶なフルセット、
最後はサービスエースでの勝利でした!
今のお気持ちは?」
玲奈
「もう、正直言うと……
『やっと終わった〜!』って感じです(笑)」
会場:笑いと拍手。
インタビュアー
「最後のポイント、
あの場面でセンターへのフラットサーブを選んだ理由は?」
玲奈
「たぶん、“怖いから置きにいく”とか
“ミスしたくないから回転かける”とか、
いろいろ頭をよぎるんですけど……
“一番好きなサーブ、どれ?”って自分に聞いたら、
真っ直ぐバンって打つやつだったんで。
それで決まったら気持ちいいかなって」
インタビュアー
「出発前に『ちゅ〜ポイントおねだり』の話もされていましたが…」
玲奈
「あ〜、はい(笑)
卓球の拓実さんが“ちゅ〜ポイント1ゲット〜”ってやってて、
翼くんも『光子にちゅ〜ポイントもらう』って言ってたので、
“じゃあうちも旦那におねだりちゅ〜ポイント1、
堂々と請求していいよね?”って。」
観客、大爆笑。
インタビュアー
「ご主人の反応が楽しみですね」
玲奈
「きっと赤面して、
“テレビで言わんでくれ〜”って言うと思います(笑)」
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◆ 日本・青柳家リビング
テレビから、
翼の「ちゅ〜ポイント」発言、
玲奈の「おねだりちゅ〜」が続けて流れてくる。
光子
「…………」
陽翔
「ママ、パパ、また“ちゅ〜ポイント”って言いよるよ!」
燈真
「ママ、パパにちゅ〜してあげると?」
彩羽
「ちゅ〜〜!!(よく分かってないけど混ざる)」
光子、額に手を当ててため息一つ。
光子
「……やっぱり、うちの旦那、この前よりもっとアホになっとる。
世界配信で、どんだけ“ちゅ〜ちゅ〜”言うとね……」
でも、その横顔はしっかり笑っていて、
目尻には少しだけうるんだ光が浮かんでいる。
美鈴
「でもねみっちゃん。
あの“アホさ”で、どれだけ世界中の人が笑ってくれようかね」
優馬
「せやな。
メダルと笑いと、ちゅ〜ポイント。
どれも、平和なときにしか手に入らんもんや。」
光子
「……そう言われたら、
しゃーなかねぇ。
ほんなら、ちょっとくらいポイント使わせちゃろうかね、“旦那さん”に」
陽翔&燈真
「パパ、よかったね〜〜!!」
彩羽
「ぱぱ、ちゅ〜!!」
――こうして、
テニスも卓球も、
“メダル+笑い+ちゅ〜ポイント”付きで
日本に届けられることになったのだった。




