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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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54/97

◆ ヨハネスブルク・卓球会場 男子シングルス準々決勝



◆ ヨハネスブルク・卓球会場


男子シングルス準々決勝


柳川 拓実(日本) vs マルコ・ヨビッチ(セルビア)


ベスト8。

ここから先は、勝てばメダル確定、負ければ終わりの世界。


会場アナ

『Next match, Men’s Singles Quarterfinal!

 Japan, Yanagawa Takumi vs Serbia, Marko Jovic!』


コールと同時に、

セルビアのヨビッチが大きく手を振って登場する。

190cm近い長身、

強烈なバックハンドとサーブが武器の“欧州型エース”。


アナウンサー

「世界ランキングでも柳川選手と近い位置にいる、

 まさに“五分”と言っていい強敵です」


解説

「長身のヨビッチは、

 一発の威力と、角度のついたバックが脅威ですね。

 柳川がどこまでその“一発”を封じられるか」


拓実は、

少し長めに深呼吸をしてからコートへ足を踏み入れる。


(ここからが、本当の勝負。

 1本の判断ミスが、そのまま4年を決める。

 でもやることは変わらん。

 一球ずつ、“自分の仕事”をするだけや)



◆ 第1ゲーム:ヨビッチの“爆撃”


ヨビッチのサーブからスタート。


いきなり、

強烈なロングサーブ → 3球目バックドライブ。

ボールがテーブルから弾き飛ぶように飛んでいき、

観客がどよめく。


アナウンサー

『いきなりヨビッチのバックハンド炸裂!!』


解説

「今のは、柳川選手も“様子見”でしたね。

 相手のMAXパワーを一度見てから、

 対策を組み立てるタイプです」


その後も、

ヨビッチの一発が決まり、

第1ゲームは7-11で拓実が落とす。


観客

(おお…セルビアが先行か…)


タイムに戻ったベンチで、

コーチがタブレットを示しながら言う。


コーチ

「バック、強いのはわかっとったけど、

 今日は“いつもより当たってる日”じゃ。どうする」


拓実

「“爆撃ポイント”決めさせんように、

 そもそもの入り口いじりますわ」


コーチ

「入り口?」


拓実

「サーブのコースと長さ、

 ちょい変えて“バック振れる球”を減らします」



◆ 第2・第3ゲーム:入り口をずらす


2ゲーム目、

拓実のサーブが明らかに変化する。


・フォア前への短いサーブ

・バック前へ、ギリギリ台から出ないサーブ

・ときどきロングサーブで意表を突く


ヨビッチは、

さっきのように“思い切り振れる球”が減り、

ツッツキや中途半端なフリックが増える。


そこを拓実が、

3球目でコースを散らし、

長いラリーを選択して削る。


解説

「柳川は、“爆撃の入り口”を封じましたね。

 ヨビッチ選手が一番得意な形に入る前に、

 ラリーの形を変えています」


徐々に、

ヨビッチのミスが増え始める。


第2ゲーム 11-8、

 第3ゲーム 11-6。


スコアは2-1で拓実リード。



◆ 第4ゲーム:セルビアの意地、日本の粘り


4ゲーム目、

ヨビッチも黙ってはいない。


・サーブをさらに変則的に

・フォアハンドも解禁してパワーアップ


“バック頼み”だった攻撃に、

もう一つ武器が加わる。


アナウンサー

『ヨビッチ、ここでギアをもう一段上げてきました!』


互いに一歩も引かないラリー。

9-9まで競った末――

最後はヨビッチのバックカウンターが決まり、

9-11でヨビッチ。


スコアは2-2。


ベンチに戻った拓実に、

コーチが静かに水を渡す。


コーチ

「どうじゃ」


拓実

「うん、“お互いMAX状態”って感じですね」


コーチ

「7ゲーム目まで見据えて、体力配分するか?」


拓実

「いや――

 次とその次で終わらせます」


コーチ

「言うたな」



◆ 第5・第6ゲーム:最後は“勝ち切る男”


5ゲーム目。

拓実は、

サーブのテンポを少し早くする。


・考えるより前に構えさせる

・“打つかどうか迷う”時間を消す


ヨビッチの足が、

ほんの少し遅れ始める。


解説

「柳川は“時間を削る”方向にギアを上げましたね。

 考える暇を与えない、非常にいやらしい(褒め言葉)戦術です」


中盤で一気に引き離し、

11-5。


第6ゲーム。

ヨビッチは必死に追いすがるが、

拓実の集中は切れない。


* ブロック一つにも回転を乗せ

* 3球目・5球目でリスクを取りすぎず

* でも“ここ”という場面では一撃のカウンター


「攻めてるのに、無理をしていない」

そんな絶妙なバランス。


最後は、

バッククロスへのカウンターが

エッジをかすめて入る。


11-7。


レフリー

「ゲーム、セット、マッチ!

 Yanagawa Takumi wins, four games to two!」


拓実

(よし――

 とりあえず、“メダル圏の扉”はノックできた)



◆ 女子シングルス準々決勝


三浦 結衣(日本) vs メリッサ・カーター(アメリカ)


続いて女子シングルス準々決勝。

結衣の相手は、アメリカのメリッサ・カーター。


パワフルな両ハンドと、

トリッキーなサーブが持ち味の、

“アメリカ女子のエース”。


アナウンサー

「カーター選手は、

 “乗ったときの爆発力”が世界トップクラスです。

 三浦選手がどこまでその波を抑えられるか」


結衣

(どれだけ爆発してきてもいい。

 こっちは“崩れないこと”だけやる)



◆ 前半:アメリカの勢い、日本の“受け止め”


第1ゲーム、

カーターはいきなりフルスイング。


サーブからの3球目で、

強烈な両ハンドドライブを叩き込み、

ポイントを量産していく。


観客

「Wow!!」


アナウンサー

『カーター、いきなり全開です!』


結衣は、

それを淡々とブロック・カウンターで受けながら、

相手の“勢いのパターン”を記憶していく。


(サーブはこの3種類。

 “本気で振ってくる形”は2パターン。

 ブロックの高さとコース、

 あと半歩だけ変えたら、ぜんぶズレてくる)


第1ゲームは8-11で落とすが、

表情は一切変わらない。



◆ 中盤:波を“ずらす”


2ゲーム目から、

結衣のサーブとレシーブが細かく変わり始める。


・ナックル気味のサーブで、

 相手の感覚を狂わせる

・レシーブでストップとフリックを織り交ぜる

・あえて、ラリーを長くする選択を増やす


カーターはまだ強烈なショットを打ち続けるが、

少しずつ、

“打ちたい高さ”より低いところで打たされていく。


解説

「三浦選手は、

 相手の“いい波”が来る前に、

 その波のリズムをずらしていますね」


2ゲーム目 11-7、

3ゲーム目 11-9 と連取し、

スコアは2-1で結衣リード。



◆ 終盤:粘られても“勝ち切る”


4ゲーム目。

カーターも意地を見せる。


声を張り上げながらフルスイング、

時にチキータ、

時にバックのダウン・ザ・ライン。


観客も完全にヒートアップし、

9-9までまったく譲らない展開。


ここで、

結衣はサーブ前にほんの少しだけ、

ラケットを持つ手を見つめる。


(崩れなくていい。

 でも――“ここだけは取りに行く”ポイントって、

 必ずある)


9-9、結衣サーブ。


・1本目:

 短い横回転サーブ → 甘いレシーブ → フォアでカウンター

 → 10-9


・2本目:

 同じ構えから、今度はロングサーブ。

 カーターが無理に振りにいき、オーバー。


第4ゲーム 11-9。


そして第5ゲーム。

カーターはなおも粘り、

6-6、7-7と食らいついてくる。


だが、

結衣は最後までブレない。


・台上では常に“先に触る”

・ラリーでは、1本多く返す意志を崩さない

・決め球は必要最低限だけ


アナウンサー

『三浦、最後まで表情を変えません!』


解説

「“勝ち切る”というより、

 **“勝つ場所まで連れていって、

 そこから静かにドアを閉めた”**という感じですね」


最終スコア 8-11 / 11-7 / 11-9 / 11-9 / 11-8。


レフリー

「Game, set, match, Miura!」


これで、

拓実も結衣も――

シングルス準決勝進出、メダルに王手。



◆ とんでもない波乱


試合を終え、

クールダウンエリアに戻った頃。


スタッフ

「拓実、結衣さん。

 男子のもう一つの準々決勝、やばいです」


モニターには、

世界ランク1位・中国のエースと、

台湾の若手エースのスコアが映っている。


3-3、最終ゲーム 9-9。


拓実

「マジで?」


結衣

「でも、あの中国の1位が……?」


画面の中で、

台湾選手が渾身のラリーを制し、

クロスへバックハンド。


中国選手のカウンターが、

わずかにエンドラインを越えた。


11-9。


会場はざわめきと悲鳴と、

歓声が入り混じったような騒ぎに包まれる。


アナウンサー

『なんと!!

 世界ランキング1位、中国のエースが敗れました!!

 台湾の若き挑戦者が、大金星です!!』


解説

「これは……

 大会全体の構図が変わる大波乱です」



◆ 日本チームの反応


控え室に戻り、

日本スタッフと選手たちがスコアを確認する。


コーチ

「……中国1位、ここで消えるか」


若手

「これで柳川さんの山、

 金メダルまでの道が少し楽に――」


拓実

「いや、“楽”にはならんよ。」


若手

「え?」


拓実

「中国の1位が負けるくらい、

 “今の世界は横一線で強い”ってことやけん。

 誰が来ても、結局“全員強い”」


結衣

「そうそう。

 それに、あの台湾の子――

 今日いちばん勢い乗っとるの、あの子やろ」


コーチ

「つまり?」


結衣

「“ラスボス候補が変わっただけ”ってことです」


拓実

「でも――」


ふたりは顔を見合わせて、

少しだけ笑う。


拓実

「“ラスボスが誰か”より、

 こっちがどれだけ自分の卓球を出せるか、やけんね」


結衣

「うん。

 メダルの色は、“相手”じゃなくて、“自分ら”が決める」



◆ 日本・ちびっこ応援センターの夜


ニュース速報で、

「中国トップ選手敗退」のテロップが流れ、

リビングがざわつく。


陽翔

「えっ、中国のおにいちゃん、まけたと!?」


燈真

「“さいきょうのひと”でも負けることあるんやね」


結音

「じゃあ、たくみパパ、

 “もっと金メダルちかづいた”?」


灯乃

「“ちょっとだけドアがあいた”って感じやない?」


美香

「表現が妙に的確なんよね、あんたら……」


光子

「でもホント、

 誰が勝ってもおかしくない世界で勝ち残るって、

 それだけでもう“伝説”やけん」


優子

「さぁ、ここからが本当の山場。

 準決勝、決勝――

 どんなドラマ持ってくるとやろね、うちらの家族は」



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