混合ダブルス 3回戦(ベスト8決め)男子団体 2戦目 日本 vs イタリア
◆ ヨハネスブルク・卓球会場
混合ダブルス 3回戦(ベスト8決め)
柳川 拓実 & 三浦 結衣(日本) vs イギリスペア
会場アナウンスが響く。
『Mixed Doubles, Round of 16!
JAPAN, Yanagawa / Miura ――
GREAT BRITAIN, Collins / Brown!』
イギリスペアは、
金髪の男子コリンズと、
クレバーそうな女子ブラウンのコンビ。
解説
「イギリスは、ヨーロッパの中でも
“ダブルスの組み方”がうまい国ですからね。
簡単な相手ではありません」
ベンチ前で、拓実と結衣が小声で作戦会議。
結衣
「とりあえず、“相手が一番気持ちよく打てる球”は全部禁止で」
拓実
「了解。
こっちは“二人で楽して勝てる球”だけ選ぼう」
結衣
「サボる前提やん」
拓実
「省エネって言うて?」
ふたりの軽口に、コーチも苦笑いしながら背中を叩く。
コーチ
「いつもの感じでええ。
“二人で1人分の疲れ”くらいのつもりで、
賢く勝ってこい」
◆ 第1ゲーム:テンポで絡めとる
最初のサーブは結衣。
フォア前にキレッキレの横下回転サーブ。
ブラウンが慎重にツッツキで返す――が、
そのボールは思ったより浮いた。
すかさず拓実、
バックハンドで逆クロスへビシッ。
男子コリンズが飛びつくが、
ラケットの先にかすってオーバー。
結衣
「ナイッシュー!」
拓実
「ナイス“触りにくいサーブ”」
次のポイントは、
あえて長短を混ぜて、
イギリス側の“踏み込みのタイミング”を崩す。
解説
「柳川・三浦ペアは、
**“相手のステップが揃う前に、次の球を出している”**感じですね」
イギリスペアはパワーはあるが、
“打ちたいタイミング”と
“ボールが来るタイミング”が微妙にズレていく。
ラリーに入っても、
結衣が前でチョンと触り
拓実が後ろで深く返し
無理打ちを誘ってミス
という“円熟テンプレ”が淡々と回り始める。
第1ゲーム 11-5 JPN。
◆ 第2ゲーム:相手の瞬発力を逆利用
2ゲーム目、
イギリスは男子コリンズの強打を前面に押し出してきた。
アナウンサー
『イギリス、ここでパワー勝負に出てきました!』
しかし拓実は、
リターン位置を半歩下げただけ。
拓実
(うんうん、いいスイング。
“速い球をこっちにくれる人”は、助かるタイプ)
コリンズのフルスイングドライブ。
それを拓実が“厚いブロック”で深く返す。
コリンズ
(え、なんでそれがそんな重さで返ってくる!?)
強く打てば打つほど、
自分のパワーがそのまま“重い球”になって返ってくる感覚。
後ろでコリンズが崩れたところを、
前陣の結衣がスパッと角度をつけてフィニッシュ。
結衣
「ありがと、ナイス“元気玉”。」
拓実
「回転だけちょっと上書きしといた」
解説
「イギリスは決して悪くないんですが、
柳川・三浦ペアは**“相手の良さを自分たちの武器に変える”**のがうまいですね」
イギリスの攻撃が空回りしていく中、
第2ゲーム 11-6。
◆ 第3ゲーム:円熟の“遊び心”
3ゲーム目。
リードをもらい、
ふたりの表情に少し余裕が出てくる。
結衣
「たっくん、1本だけ観客用の“おぉ〜”ショット入れる?」
拓実
「じゃ、あの“バックカウンター上書き”1本だけね」
数ポイント後。
コリンズの渾身のバックハンドドライブ。
それを拓実が、
さらに被せるようにバックハンドカウンター。
ビターーーン。
観客
「うおぉぉぉ!!」
アナウンサー
『出ました、柳川のスーパーカウンター!!』
結衣
「はい、サービスショット終了。
あとは“省エネモード”戻りまーす」
ここからはまた、
短いサーブ、長いサーブ、
前後左右への散らしと、
堅実なラリー運び。
最後まで一度も主導権を渡すことなく――
11-4。
レフリー
「ゲーム、セット、マッチ!
ヤナガワ/ミウラ、スリーゲームズトゥラブ!」
拓実&結衣
「ありがとうございました!」
これで、
混合ダブルス ベスト8進出。
◆ ヨハネスブルク・テニスセンター
混合ダブルス 3回戦(ベスト8決め)
青柳 翼 & 上原 玲奈(日本) vs アルゼンチンペア
こちらはテニスのミックスダブルス会場。
相手はアルゼンチンの
パワフルな男子ストローカーと、
ネットプレーのうまい女子プレイヤーのペア。
アナウンサー
「アルゼンチンは、ラテン系らしい“勢い”と“感情の波”を活かすコンビですね!」
コートチェンジの合間、
翼と玲奈が作戦を確認する。
玲奈
「今日のテーマ:“走ってもらうのは相手”。」
翼
「異議なし。
こっちは“立ち位置ちょっと変えながら、
同じ顔してテニスする”ね」
玲奈
「いつもの“腹黒テニス”でよろしく」
翼
「表現やめて?」
◆ 第1セット:テンポで呑み込む
序盤から、
アルゼンチン男子のフォアハンドが火を吹く。
クロスに、逆クロスに、
スタンドからも歓声が飛ぶ。
だが――
翼はそのボールを、
“半歩下がった位置”で受け続けていた。
・強打は一度スライスでいなす
・浅くなったところを玲奈が前でボレー
・ロブを混ぜてポジションを入れ替えさせる
解説
「青柳・上原ペアは、
**“相手にだけ瞬発力を使わせて、自分たちは省エネ”**という
非常にいやらしいテニスをしてますね(褒めてます)」
ゲームカウントは、
気づけば 4-1。
玲奈のリターンも冴えていた。
クロスに強打するように見せて、
スライスでショートクロス。
相手女子が慌てて走らされる。
玲奈
「ごめんね〜、ちょっと意地悪コースで」
翼
「性格出てるよ」
そのまま
第1セット 6-2。
◆ 第2セット:瞬発力の“逆手取り”
2セット目、
アルゼンチンペアはリスク覚悟の前詰め作戦に出る。
男子がサーブ&ボレーで前に詰め、
女子もすぐにネットへ。
“ネットべったりダブルス”で一気に畳みかけようとしてきた。
アナウンサー
『アルゼンチン、ここで勝負に出ました!』
翼
(よし、
“頭の上を気にしながらの瞬発力”に
変えてしまおうか)
以降、
翼の配球が一気に立体的になる。
1球目:強いトップスピンで足元に沈める
2球目:ふわっとロブ
3球目:相手が下がった瞬間、前にドロップ
アルゼンチン男子
(前に出たいのに、前に出たらロブ……
後ろ下がると前に落とされる……!)
玲奈も、
ボレーで鋭いアングルをつきながら、
たまにわざと“甘いボール”を返しておびき寄せ、
その上からロブで抜く。
解説
「相手の瞬発力が、
完全に“空回りさせられて”いますね」
中盤で2度のブレイクに成功し、
4-1。
最後は、
玲奈のリターンエースと、
翼のサービスエースで締め。
最終スコア 6-2 / 6-3。
レフリー
「ゲーム、セット、マッチ!
AOYAGI / UEHARA!」
翼
「よし、いい省エネ勝利」
玲奈
「これでベスト8。
帰国したら光子ちゃんにネタにされる準備しとこ」
翼
「“省エネとか言いながら世界取る男”って
絶対ラジオでいじられるやつやね」
◆ 日本・ちびっこ応援センター
夜のリビング。
卓球とテニスのミックスダブルスハイライトを見ながら、
またもやカオスな解説タイム。
陽翔
「パパ、なんか“あんまり走ってないのに勝っとった”!」
燈真
「“じっとしてるのにあいてだけつかれる作戦”やね!」
結音
「たくみパパとゆいおねえちゃんも、
ふたりで“ほとんどミスせんペア”やった〜」
灯乃
「“あいてにだけがんばらせる作戦”や!」
美香
「表現ひどいけど、あながち間違ってない(笑)」
光子
「でも実際、
こういう“円熟味のある勝ち方”ができるって、
ここまで積み重ねてきた証拠やもんね」
優子
「シングルスでも、団体でも、ミックスでも――
2人とも、いよいよ“伝説ゾーン”入ってきたねぇ」
◆ ヨハネスブルク・卓球会場
男子団体 2戦目 日本 vs イタリア
初戦・オマーン戦で冷や汗をかいた日本男子。
あのヒヤヒヤの3-2勝利から一夜明けた控え室は、
妙に静かだった。
若手A
「昨日はすみませんでした……」
若手B
「俺らがもっとしっかりしてたら、
たくみさんに5試合目まで回さずに済んだのに……」
そこへ、タオルを首にかけた拓実が、
ペットボトル片手にふらっと入ってくる。
拓実
「ん〜? 何その“しょんぼり反省会”。
初戦から五輪の怖さ体験できたんやけ、
むしろラッキーと思っとき」
若手A
「でも……」
拓実
「そのかわり、“二戦目からは本領発揮します”って
プレーで示したらいい。
『昨日の日本は、ウォーミングアップでした』って
相手に思わせよ」
若手B
「……はい!!」
◆ オーダー発表
監督
「対イタリア、オーダーは――
1試合目:ダブルス
→ 柳川(拓実)・若手B
2試合目:シングルス
→ 若手A
3試合目:シングルス
→ 柳川(拓実)
4・5試合目:状況に応じて」
若手B
「お、俺ダブルスで拓実さんと……!?」
拓実
「ほらチャンス来たやん。
“昨日の借りは団体二戦目で返す”ってな」
若手B
「ぜ、全力でついていきます!」
◆ 第1試合:ダブルス ― “柳川システム”全開
相手は、
イタリアの技巧派ダブルス。
サーブ・レシーブが上手く、
ラリーより“型”で崩してくるタイプ。
レフリー
「ラブオール、プレイ!」
最初の数ポイント、
イタリアの細かい台上プレーに、
若手Bがちょっとだけ遅れを取る。
しかし――
すぐ横で、拓実が低い声でぽつり。
拓実
「今のは、“触らんほうがよかった球”。
次、そこ来たら任せて。
代わりにあっちのバック前狙っとき」
若手B
「……はい!」
次のポイント。
イタリアのサーブが同じコースに来た瞬間、
今度は拓実がスッと前に出てチキータ。
相手ペアの陣形が崩れ、
若手Bがフォアで抜く。
若手B
「ナイスカバーです!」
拓実
「ナイス“仕事の分担”。
全部取ろうとせんでええけ、
“自分の担当ゾーン”だけ死守したら十分」
ペアとしての役割をはっきりさせたことで、
若手Bの動きが一気に軽くなる。
・拓実:台上処理と配球設計
・若手B:決め球とフォロー
“柳川システム”が乗り始めると、
イタリアのややトリッキーなサーブも
全く怖くなくなっていく。
11-6 / 11-7 / 11-5。
ストレートでダブルス先勝。
◆ 第2試合:シングルス若手A ― “昨日の借りは今日返す”
第2試合は若手A。
昨日は硬くなって本来のプレーが出せなかったが、
今日は表情からして違う。
拓実
(お、ちゃんと“目の焦点”合っとるやん)
若手Aは、
序盤からバックハンドを積極的に振っていく。
解説
「昨日とは別人のようですね。
『守りに行かない』という意思を感じます」
イタリアのエース級相手に、
堂々と打ち合い、
ときどきミスをしながらも
一歩も下がらない。
タイム中、
ベンチに戻ってきた若手Aに、
拓実がタオルを渡す。
拓実
「ミスは全然OK。
“打たないほうが罪”やけん。
このまま最後まで前のめりで行け」
若手A
「はいっ!」
そのまま気持ちを切らさず――
3-1で勝利。
これで日本は2勝0敗、王手。
◆ 第3試合:柳川 拓実 ― 締めの“本領発揮モード”
「もし2勝0敗で回ってきたら、
ワンチャン若手に託すか」
そんな話もあったが、
相手の3番も強そうだということで、
予定どおり拓実がコートへ。
アナウンサー
『昨日の“チームの命綱”柳川が、
本日は“締め役”としての登場です!』
初戦のオマーン戦とは違い、
今日はどこか“肩の力が抜けている”拓実。
サーブからの3球目、
レシーブからの4球目。
すべてが“予定通り”に運ばれていくような、
完成された試合運び。
解説
「これぞ柳川の本領、という試合ですね。
相手の良さをすべて把握した上で、
“そこを使わせない”テーブルテニスです」
イタリア選手が強打を放てば、
ブロックで回転を乗せて深く返し、
少し甘くなった隙にカウンター。
ループドライブも、
速いラリーも、
全部“想定の範囲内”に収まっている感じ。
11-4 / 11-6 / 11-5。
ストレートで勝ち切り、
日本、イタリア戦を3-0のパーフェクト勝利。
ベンチに戻ると、
若手たちが口々に言う。
若手A
「これが“本領発揮”の日本……!」
若手B
「こんな試合運び、いつか自分も……!」
拓実
「いやいや、まずは晩ごはんちゃんと食べるとこからや」
若手たち
「そこから!?」
◆ 女子団体 2戦目 日本 vs ウクライナ
一方、
女子はウクライナとの2戦目。
結衣
「ウクライナ、粘り強さでは世界トップクラスやけんね。
**“点を急がない”こと。これだけ覚えとき」
若手女子
「はい!」
オーダーは、
1試合目:ダブルス
→ 三浦結衣 + 若手C
2試合目:シングルス
→ 若手D
3試合目:シングルス
→ 三浦結衣
「結衣を軸」に据えた、
“安定感マシマシ布陣”だ。
◆ 第1試合:ダブルス ― 結衣の“舵取り”
ウクライナペアは、
回転量の多いサーブと、
しつこいラリーが持ち味。
最初こそラリーが長くなり、
やや日本ペアが押される時間帯もあったが――
結衣
「Cちゃん、**『1本で決めようとしない』**ね」
若手C
「……了解です!」
そこからは、
無理に決めに行かず、
3球目・5球目・7球目と
“ジワジワ削るスタイル”へ切り替える。
解説
「三浦選手は、
ダブルスの“ラリー設計”が本当にうまいですね。
ペアの子に、難しい仕事をさせていません」
台上でのちょこんとした一手、
コースを少し変えるブロック、
それだけで相手の“しつこさ”を上書きしていく。
結果――
11-7 / 11-8 / 11-6。
ストレートで先勝。
◆ 第2試合:若手D ― 結衣の背中を見て
2試合目は、
ウクライナのエースと若手D。
ラリーが続く展開に、
最初は押され気味だったが、
タイムで戻ってきた彼女に、
結衣が一言。
結衣
「相手、“しんどいときにちょっとだけ無理する癖”ある。
そこまでラリー連れていけたら、
最後の1本は勝手にミスってくれるけん」
若手D
「……やってみます!」
それまで浅くなっていたツッツキを、
しっかりエンドラインまで送るよう意識。
相手のドライブを
1本、2本とブロックで受け、“3本目で勝負”へ切り替える。
ミスを恐れず、
長いラリーを選んだ結果――
終盤、
本当にウクライナ選手のほうが
先に無理をしてミスし始めた。
若手D
(ほんとに……こうなるんだ……)
フルゲームの末、11-9で競り勝ち。
◆ 第3試合:結衣のシングルス ― “危なげない”という芸術
2勝0敗で迎えた3試合目。
結衣のシングルス。
アナウンサー
『日本女子、エース・三浦 結衣。
これまで団体戦・個人戦を通じて、
まだ1ゲームも落としていません!』
結衣自身は、
それを特に意識している様子もなく、
いつもの落ち着いた顔。
(危なげなく、
でも“手を抜かず”。
それが一番、チームにとって安心やけん)
サーブ、レシーブ、
最初の一歩目。
全てが無駄なく、スッと出ていく。
派手なスーパープレーは少ないが、
・相手が嫌がる回転をかけ
・嫌がるコースを突き
・嫌がるタイミングで触る
それを、
機械のような精度で続ける。
解説
「華やかなドライブよりも、
“崩れないことの強さ”を見せてくれる選手ですね。
まさに団体戦の“軸”です」
結果は――
11-5 / 11-7 / 11-6。
ほとんど危なげなく、
ウクライナ戦も3-0で勝ち抜け。
ベンチで、
後輩たちが口を揃える。
若手女子
「結衣さんが真ん中におってくれるだけで、
ほんと、心臓のドキドキ半分になる……」
結衣
「それはそれでプレッシャーやけど(笑)
でも、“安心を渡す仕事”って悪くないよ?」
◆ 夜、日本のリビングにて
テレビでは、
男子・女子団体二戦目のハイライトが連続で流れている。
陽翔
「たくみおじちゃん、きょうは“冷や汗モード”じゃなかった!」
燈真
「“おだやかにつよいモード”やった!」
結音
「ゆいおねえちゃん、
ぜんぜんあわてんで、ずーっと強かった〜」
灯乃
「“しずかなセンターライン”って感じやった!」
美香
「表現がもう、
スポーツ雑誌のコラムみたいやねぇ(笑)」
光子
「でもホント、
初戦でもたついた分、
二戦目は“これぞ日本”って内容やったね」
優子
「さ、ここからはベスト8、ベスト4の世界。
一つ一つが、歴史に残る試合やろねぇ。」




