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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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51/96

男子団体 初戦 日本 vs オマーン。そしてシングルス5回戦



◆ ヨハネスブルク・卓球会場


男子団体 初戦 日本 vs オマーン


五輪団体戦、初戦の相手はオマーン代表。


世界ランク的には日本が圧倒的に上。

――なんだけど、

**「五輪で“初戦”に格下なんかおらん」**と、拓実はよく知っている。


男子団体は

1試合目:ダブルス

2試合目:シングルス

3試合目:シングルス

4試合目:シングルス

5試合目:シングルス


先に3勝したほうが勝ち。


拓実は、

2番シングルス(第1シングル)と、

 5番シングルス(最終戦)にエントリー。


「最初で流れを作る役」と

「もしも泥試合になった時の“最後の砦”」

両方を託された形だ。



◆ ダブルス ― 予想外のスタート


1試合目のダブルス。

日本ペアは、序盤から攻め続けるものの、

オマーンのペアが信じられない粘りを見せる。


アナウンサー

『オマーン、ここでまた追いつきます!』


解説

「いやぁ、これは予想以上ですね。

 “格下だから簡単”なんてことは、五輪にはないです」


フルゲームまでもつれ、

最後はわずかなミスが重なって――


2-3で日本ペアが敗退。


ベンチの空気が、

一瞬だけ、重くなる。


若手

「すみません……」


コーチ

「顔を上げろ。

 ここから“柳川の出番”や。

 お前たちの1点も、絶対ムダにはならんけぇ」



◆ 第2試合:シングルス1番 柳川 拓実 vs オマーン1番


コールが鳴る。


『Japan, Yanagawa Takumi!』


拓実

(よし。ここから、“いつもの仕事”)


最初の数ポイント、

オマーン選手は思い切りのいいバックドライブを連発し、

観客席から拍手を浴びる。


アナウンサー

『オマーンの1番、全く物怖じしていません!』


しかし、

拓実の表情は崩れない。


(いいね。

 怖さを知らない突っ込み方は、

 怖さを知ってる側からしたら、いちばん対処しやすい)


サーブでコースと回転を刻み、

台上で先に触り、

ラリーでは「2本打たせて3本目で仕留める」。


ジワジワと差が開き――


11-5 / 11-6 / 11-4、ストレート。


ベンチに戻ると、

若手のダブルスの2人に向かって、拓実が笑う。


拓実

「ほらな。

 お前らが“火を点けてくれた”けん、

 ええ感じにギア上げられたわ」


若手

「……ありがとうございます!!」


これで1勝1敗、タイに戻る。



◆ 第3試合・第4試合 ― まさかの展開


3試合目、

日本の2番手が出るが、

オマーンのエース級にミスを突かれ、

痛いゲームを落としてしまう。


フルゲームの末――

2-3でオマーン勝利。


アナウンサー

『なんと、日本、オマーンを相手に2敗目!

 これで1勝2敗、日本は崖っぷちです!』


解説

「相手に吹っ切れた攻撃を許しましたね。

 “勝って当たり前”のプレッシャーが、

 少し日本側の足を重くしているかもしれません」


続く第4試合。

日本のベテランが意地を見せ、

こちらもフルゲームの末に勝利。


これで2勝2敗。


会場アナ

『さぁ、いよいよ決着は第5試合へ!

 両国の命運をかけた最終戦は――

 日本、柳川 拓実!』



◆ 第5試合:運命のシングルス 柳川 拓実 vs オマーン2番


コートに立つ前、

拓実はベンチで深呼吸を一つ。


コーチ

「柳川。すまん、初戦からこんな展開にしてしもうて」


拓実

「いや、むしろ“助かる展開”ですよ」


コーチ

「助かる?」


拓実

「“初戦から、五輪ってどういう場所かを

 チーム全員で共有できた”ってことです。

 ここで締めときます」


コーチ

「……頼もしいのぉ」



◆ ゲーム開始


レフリー

「ラブオール。プレイ!」


序盤から、

オマーン選手も目一杯のプレーを見せる。

思い切ったフォアクロス、

予想外のチキータ、

声を張り上げてのガッツポーズ。


観客席も、

完全に“ジャイアントキリング”を期待した空気になっている。


アナウンサー

『これは会場、オマーンを応援するムードに傾いてきました!』


しかしその真ん中で、

拓実だけが、

まるで日曜日のリーグ戦のような顔をしていた。


(よし。

 “勢いだけで走れてる時間”は、もうすぐ終わる)



◆ 第1ゲーム ― 流れを奪う


最初の数ポイントは競り合い、

3-3、4-4と並んでいく。


そこから

拓実が、サーブの配球を一段変える。


・フォア前短いサーブ → ツッツキ → バック対バック

・そこから、突然のフォアクロスへの切り替え

・深いブロックで時間を奪う


オマーン選手の足が、

1本、2本と遅れ始める。


解説

「柳川は、“相手が一番気持ちよく打てるパターン”を

 ちゃんと消してますね。

 その上で、“しんどいけど打たざるを得ないボール”を出している」


点差がじりじり開き、

11-6。



◆ 第2ゲーム ― 圧をかける


第2ゲーム。

オマーン選手はさらに強打に出る。


だが、

拓実は一歩後ろに下がって、

そのドライブをすべて受け止める。


ブロック、ブロック、カウンター。

時には、

カウンターを打つふりをして、

軽くスピードを落としたブロックでタッチを狂わせる。


オマーン

(当たってるはずなのに、

 全部“ラケットに吸い込まれてる”……)


自分の全力が、“テーブルに返されるだけ”。

その感覚が、じわじわとメンタルを削っていく。


11-4。



◆ 第3ゲーム ― 五輪の洗礼


3ゲーム目。

オマーン選手は、

最後の意地を見せるように、

叫び声を上げながら打ち続ける。


会場も、

その姿に拍手と声援を送る。


アナウンサー

『オマーン、ここで意地のリード! 5-3!』


拓実

(うん、ここまでは、“全力で来てくれてありがとう”やね)


(じゃあ――

 五輪の“もう一段上”のスピード、見せとこうか)


サーブのテンポを少し上げる。

レシーブも、

それまでより一歩前で捕える。


ラリーが、

一段階、速くなる。


オマーン

(速い――!!)


わずか数ポイントで、

5-3 が 5-7 にひっくり返る。


ベンチで見ていた日本メンバーも、

思わず息を呑む。


若手

「……ギア、上げた」


コーチ

「“いつもの柳川モード”から、

 “世界トップギア”に入った瞬間じゃな」


最後は、

サービスエース、

バックカウンター、

フォアクロス。


11-7。


レフリー

「ゲーム、セット、マッチ!

 柳川! 3ゲームトゥラブ!」


これで、

団体戦・日本 3勝2敗で初戦突破。


ベンチに戻る拓実に、

チームメイトが駆け寄る。


若手

「ありがとうございました!!」


拓実

「おつかれ。

 こういう“冷や汗かいた初戦”って、

 後で振り返ると、だいたい一番大事な試合なんよ」



◆ 女子団体も初戦へ


同じ日、

女子団体も別コートで初戦を迎えていた。


相手はヨーロッパの中堅国。

こちらも油断できないチームだ。


女子エース

「男子がヒヤヒヤ勝ちやったけんね。

 こっちは**“スカッと勝って”**、雰囲気上げよ」


2試合目のシングルスで、

フルゲームの末に逆転勝ちを収める場面もありつつ――


* ダブルス:勝ち

* シングルス1番:勝ち

* シングルス2番:逆転勝ち


3-0のストレートで女子は初戦突破。


女子メンバー

「っしゃーー!!!」



◆ 日本・ちびっこ応援センターの様子


録画&ハイライトを駆使して、

夜のリビングはまたも卓球まつり。


陽翔(6)

「たくみおじちゃん、さいごの試合かっこよかった〜!」


結音(6)

「パパ、“しずかにこわいモード”になっとった」


灯乃(4)

「“おこってないけどつよいモード”やった!」


燈真(4)

「男子、ヒヤヒヤやったけど勝ってよかったね」


美香

「でもこういう試合が、

 “後で一番思い出すやつ”になるんよね」


光子

「女子は3-0でスカッと勝っとるし、

 これで日本チーム、男女ともに“エンジン始動”やね」


優子

「さ、ここからがほんとの勝負。

 団体も、シングルスも、ミックスも――

 とんでもない夏になりそうやね」





◆ ヨハネスブルク・卓球会場


男子シングルス 5回戦(ベスト8決め)


柳川 拓実(日本) vs ムバリ・ジョエル(南アフリカ)


アフリカンビートが鳴り響くような歓声の中、

地元・南アフリカのエース、ムバリ・ジョエルが入場する。


アナウンサー

「会場の声援を一身に受けているのは、

 地元・南アフリカのムバリ。

 一撃の破壊力と、コートカバーの速さが持ち味です!」


解説

「完全アウェーですね。

 柳川にとっては、“空気ごと敵”みたいな試合になります」


拓実は、ブーイングと歓声のミックスを

“いつもの練習場のざわめき”くらいにしか感じていない顔をしていた。


(いいね。

 こういう“全部押し寄せてくる感じ”は嫌いじゃない)



◆ 第1ゲーム:爆発力 vs 吸収力


ムバリのサーブから始まる。


いきなりバックハンドでチキータ、

そこから超速フォアドライブ。

観客席が「ウォォォッ!!」と揺れる。


アナウンサー

『いきなり地元エースがフルスイング!!』


しかし――

そのボールは、

テーブルのギリギリでオーバー。


拓実

(はい、“最初のオーバー”いただき)


序盤はムバリの派手なドライブと、

それを微動だにせずブロックし続ける拓実、

という構図が続く。


ムバリ

(なんでそれ全部入るんだよ……!)


拓実のブロックは、ただ返すだけではない。

回転を増やし、深く、時に少し遅く。


相手の瞬発力が生む“球の勢い”に、

自分の回転を足して“重さ”に変えてしまう。


解説

「柳川は、相手のパワーを“そのまま返さず、

 一度自分の中で消化してから出している感じですね」


ムバリがさらに力を込めれば込めるほど、

ボールは自分のコートに重く戻ってくる。


第1ゲーム 11–6 拓実。



◆ 第2ゲーム:瞬発力の“逆利用”


2ゲーム目。

ムバリはコースを散らし、

早い展開で勝負しにくる。


だが、拓実は

あえてラリーのテンポを上げない。


・速いボールには、

 ブロックで“1テンポ遅いリズム”を返す。

・甘いボールには、

 コンパクトなカウンターで逆コース。


ムバリ

(振った瞬間に、“次の一歩”が出せない……)


(足が、ほんのちょっとだけ遅れる……!)


アナウンサー

『南アフリカのムバリ、攻撃は悪くないんですが、

 “全部ほんの少しだけ崩されている”印象ですね!』


解説

「瞬発力のある選手ほど、

 “自分のタイミング”を狂わされるとキツいんですよ。

 柳川はそこを、的確に突いています」


拓実は中盤、

サーブを短く・長く・横回転・下回転と細かく変え、

ムバリの“出足のスイッチ”を狂わせ続ける。


気がつけば

第2ゲーム 11–4。



◆ 第3ゲーム:ギアアップで締め


3ゲーム目、

ムバリは最後の力を振り絞るように、

開始からフルスイングを続ける。


会場も総立ち。

まるで決勝のような騒ぎだ。


アナウンサー

『会場は完全にムバリ一色!!』


拓実

(よし、ここで“世界トップの速さ”見せとこ)


それまで少し後ろで受けていた位置を、

半歩前に詰める。


同じスイング。

でも、タイミングがほんの少し早くなる。


その瞬間――

ムバリのドライブが、

ことごとくブロック・カウンターで返り始めた。


・クロスに打てば、ダウン・ザ・ライン。

・フォア側を狙えば、逆クロスのカウンター。


ムバリ

(追いつけない……

 “自分の速さ”が、そのまま自分に返ってきてる……)


最後は、

ラリーの中でじっくり回転をかけたドライブを混ぜ、

一瞬のタメからのフォアスマッシュ。


11–7。


レフリー

「ゲーム、セット、マッチ!

 ヤナガワ、スリーゲームズトゥラブ!」


拓実は、

会場四方に軽く会釈しながらベンチへ戻っていった。


(ありがとう、ナイスファイト。

 君の瞬発力のおかげで、こっちもいいギアに入れた)



◆ ヨハネスブルク・テニスセンター


男子シングルス 5回戦(ベスト8決め)


青柳 翼(日本) vs ダニエル・テスファイ(エチオピア)


場所は変わって、テニスのコート。


対戦相手のダニエル・テスファイは、

エチオピア期待の超新星。

フットワークとカウンターが武器の“走れるストローカー”。


アナウンサー

「こちらも、“瞬発力と脚力の怪物”と言われるテスファイ。

 青柳にとっては、やりがいのある相手です!」


翼はベースラインでストレッチをしながら、

相手のフットワークをじっと観察していた。


(うん、速い。

 でも、“速さの使い方”までは、まだ体が覚えきれてない感じ)



◆ 第1セット:走らせる側が、走らせ“きる”


最初の数ゲームは互いにキープ。

テスファイは、

とにかく走る、走る、走る。


・逆クロスに放ったボールでも追いつく。

・ドロップショットにも全力疾走。

・コートの外からでもカウンターを放つ。


観客

「おおおお!!」


アナウンサー

『テスファイ、驚異的な走力です!』


しかし、

翼の頭の中には、

すでに“何ゲーム後かの絵”が見えていた。


(いいね。

 じゃあ、その瞬発力――

 全部こっちの設計図の上で使ってもらおうか)


ラリーの中で、

翼はあえて“ギリ届く”ボールを配球する。


・クロス→クロス→逆クロス

・フォア側を空けておいて、最後にそこへ打つ

・ベースラインギリギリの深さを維持


テスファイは、

ほとんどのボールに追いつくが、

最後の一本でどうしても体勢が崩れる。


ミスが増え始め、

ゲームカウントはじわじわと日本に傾く。


6–3 翼。



◆ 第2セット:瞬発力が“重くなる”時間


2セット目序盤、

まだテスファイの足は動く。

だが、

ラリーが長くなればなるほど、

ショットの精度が落ちてきた。


解説

「青柳は、“相手の瞬発力が落ちる時間帯”を

 最初から計算して試合を組み立ててますね。

 とにかく“走らせきる”ラリーを繰り返している」


テスファイ

(まだ走れる、まだいける……!)


そう思って全力スプリントを続ける。

だが、呼吸と足の動きが、

微妙にかみ合わなくなってきた。


そこに、翼の“静かな一撃”。


ドロップショット。

ロブ。

ネットに詰めてのボレー。


プレーの“種類”を、ここで一気に増やしてくる。


アナウンサー

『青柳、ここにきてプレーの幅を一段階広げてきました!』


6–2 翼。



◆ 第3セット:逆手取りの締め


3セット目。

テスファイはまだあきらめない。


走る。

叫ぶ。

打つ。


スタンドからも、「ダニエル!」コール。


だが、

翼の中では、もう答えが出ていた。


(君の速さは、本当に素晴らしい。

 でも今は――

 “どこに走るか”まで俺が決める側やけん)


・外へ振って、内側に戻さない。

・逆をついたあと、さらに逆で“脚の入れ替え”を強制。

・最後の最後は、エースを狙うのではなく、

 “返すだけになった球”を淡々とコーナーに運ぶ。


テスファイの振り抜いたラケットが、

何度も何度も空を切る。


自分の瞬発力が、

自分を追い詰める形になっていく。


最終スコア 6–3 / 6–2 / 6–3。


レフリー

「ゲーム、セット、マッチ! 青柳、スリーセットストゥラブ!」


握手の時。

テスファイは、

肩で息をしながらも、

笑って言った。


テスファイ

「君とやると、自分が“もっと賢くならないと”ってわかったよ」


「いや、今日はただ、

 君の速さを“俺のテニスの一部”として使わせてもらっただけ。

 すぐに、もっと強くなるよ」



◆ 日本・ちびっこ応援センターの反応


またしても、

夜のリビングは大騒ぎ。


陽翔

「パパ、めっちゃ走らせとった〜!」


燈真

「“にげられない鬼ごっこ”みたいやった!」


彩羽

「ぱぱ〜、かっこいい〜♡」


結音

「たくみパパも、“じぶんはあんまり動かんのに、

 ボールだけめっちゃ動いとった」


灯乃

「“しずかにあいてをつかれさせる作戦”やね!」


美香

「表現がもう、スポーツ漫画の解説みたいになっとる(笑)」


光子

「でもほんと、

 “瞬発力のある相手ほど、

 落ち着いたほうが強い”っていう、教科書みたいな試合やったね」


優子

「さぁ、これで2人ともベスト8。

 ここから先は、

 1試合1試合が“伝説入りコース”やねぇ」



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