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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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35/90

夏・吹奏楽コンクール福岡県大会当日



◆ 1.夏・吹奏楽コンクール福岡県大会 当日


7月末。

真夏の太陽が、会場のガラスにぎらぎら反射している。


福岡市民会館・大ホール。


ロビーには、あちこちの学校の制服と楽器ケース。

その一角に、ひときわ目立つ一団がいた。


光子:

「はいはーい、遅刻せんごと集合〜」


優子:

「今日は“応援団モード”やけんね、出しゃばり禁止よ」


美香:

「いや、出しゃばるのはだいたい光子と優子でしょ」


奏太:

「ギター持ってきてないだけ、今日はまだマシやろ?」


小春:

「“まだ”って言うな。“今日は”って言いなさい」


その後ろでは、

優馬と美鈴、翼、拓実、

そして陽翔・結音・燈真・灯乃たちキッズも小さくはしゃいでいた。


陽翔:

「はるにぃと、はるねぇ、がんばれ〜!」


結音:

「金賞もって帰ってきて〜!」


燈真:

「とぅま、ティンパニの音、よう聞いとく!」


灯乃:

「ひの、“おにーしゃんたちの応援係”やけん!」



◆ 楽屋前 ― 福高吹部、緊張の時間


福岡高校吹奏楽部は、

ステージ裏の待機スペースで最後の確認中。


顧問・白川先生:

「よし、チューニング終わったわね。

 ここから先は“調整”じゃなくて“覚悟”の時間よ」


三輪(部長):

「はい!」


平尾(Perc):

「打楽器、スネア・ティンパニ最終確認しとこ」


春海:

「了解……(深呼吸)」


春介はチューバを抱えながら、

壁にもたれて空を見上げているような顔をしていた。


中条(2年Tuba):

「緊張しとる?」


春介:

「……すこーしだけ。

 でも、なんか“いい緊張”って感じです」


舟木(3年Tuba):

「ふふ、それが一番強いんよ」


白川先生が、全員をぐるりと見渡す。


白川:

「課題曲は『風のア・ラ・カルト』、

 自由曲は『暁に立つ風』。

 どっちも、“今の福高吹部”をそのまんま出せば大丈夫。


 音程もバランスも大事だけど――

 一番大事なのは、“自分たちの音を信じること”。

 いいわね?」


部員全員:

「「はい!!」」


春介・春海:

「「はいっ!!」」



◆ 2.ステージ本番 ― 課題曲&自由曲


◆ ステージ袖


係員:

「福岡高校吹奏楽部の皆さん、ステージへご案内します」


三輪:

「行こう。――福高サウンド、見せちゃろうや」


ステージ袖から見える、大ホールの照明。

客席は暗くて顔までは見えないけれど、

その向こうに確かに誰かの気配がある。


春海:

(じいちゃん、

 安三郎ひいじいちゃん、

 見とってよ)


春介:

(俺たち、“笑いも音楽も、本気”でやるけんね)


 


◆ 課題曲 『風のア・ラ・カルト』


ステージに並ぶ。

白川先生が一礼し、指揮台に立つ。


客席の後ろの方で、光子がごそごそ。


光子:

「お母さん、お母さん。

 あそこあそこ、チューバのとこ……」


美鈴:

「わかっとーて。息子の孫の孫やけんね」


優子:

「表現おかしくない?」


チューニングの音がホールに溶けていく。


アナウンス:

「それでは次の団体、福岡高校吹奏楽部の演奏です。

 課題曲『風のア・ラ・カルト』。どうぞ」


――タクトが振り下ろされた。


軽快なリズム。

クラリネットの軽やかなフレーズ。

木管のパッセージに、金管の合いの手。


後ろからは、

春海のスネアとバスドラが“土台”を刻む。


タン・タン・タタッ、タン・タン・タタッ


(走らせない、でも前へ前へ――)


春海の目は、譜面と指揮とステージ奥の“空気”を

常に行ったり来たりしている。


中間部の柔らかいハーモニー。


ボォォォ……


春介のチューバが、

ほんの一瞬、優しく息を吹き込む。


客席の中段あたりで、美香が小さく頷いた。


美香:

「……うん、“地に足のついた音”になってる」


課題曲の最後。

木管の細かいパッセージながらも、

誰も崩れない。


バスドラが最後の“ドン!”を打ち、

ホールに余韻が広がる。


 


◆ 自由曲 『暁に立つ風』


少し間を置いて、

自由曲の紹介アナウンス。


白川先生の後ろ姿が、ほんの少しだけ大きく見えた。


イントロ。

木管の静かな旋律に、ホルンがそっと重なる。


そして――低音。


ボォォォォォン……


春介のロングトーン。

緊張しているはずなのに、

音はまったく揺れない。


陽翔(客席):

「おれの“はるにぃ”、すご……」


結音:

「ゆのんの“はるねぇ”も、後ろでドンドコしよるよ」


中間部、金管のハーモニーが鳴り響く。


ティンパニ前の春海。

ペダルで音程を調整しながら、

小さく息を整える。


(ここから、“風が立つ”)


タクトが上がり――


ドン…… ドドン……

 タタタタタタタッ……!


一気に疾走する中盤。

トランペットの鋭いテーマ。

サックスの駆け上がり。

トロンボーンのグリッサンド。


低音隊は、

全員で“踏み固められた道”を作るみたいに刻む。


ボン・ボン・ボン・ボン!


春介のチューバ、

中条&舟木と完全に一体化している。


春介:

(ここで、置いて行かん。

 全員を“前に押す低音”になる)


クライマックス手前。

一瞬、音がすっと抜ける。


そこに入るのは、春介の短いソロ。


ボォォォ…… ボォン……


ホール後方の暗がりで、

優馬が目頭を押さえた。


優馬:

「……なんやろうな。

 “じいちゃんの笑い声”が、

 ちょっとだけ重なって聞こえるばい」


美鈴:

「うん……」


 


◆ ラスト・クライマックス


タクトが高く振り上がる。


白川:

(ここからは、“福高の風”だけでいい)


タタタタタタッ!!


春海のスネアロールから、

全パート一斉フォルテ。


金管・木管・打楽器・低音。

全員の音が、

一瞬だけ“真ん中”で重なる。


最後の一打。


ダァァァァァン!!


――世界が、静かになった。


客席は、一瞬だけ息を詰め、

そのあと割れるような拍手に包まれた。


光子:

「ブラボー!!!」


優子:

「福高、やるやん!!」


美香:

「……春介、春海。よくやったね」


奏太:

「テンポ、1ミリも崩れとらんかった」


小春:

「音の“抜きどころ”も完璧やった」


陽翔&結音:

「「はるにぃーー!! はるねぇーー!!!」」



◆ 3.結果発表 ― 福高吹部、ついに“あの色”を手にする


全団体の演奏が終わり、

夕方のホールに、結果発表の時間がやってきた。


ステージ上には、各校の代表者が並んでいる。

福岡高校からは、三輪部長。


アナウンス:

「それでは結果を発表します。

 まずは、銀賞の団体――」


番号と校名が読み上げられていく。

自分たちの番号が呼ばれないことを祈りながら、

福高の部員たちは手を握り合う。


春海:

(銀は……嫌だ……!)


春介:

(ここまできたんやけん、

 じいちゃんに“金やったぞ!”って言いたい)


アナウンス:

「続いて――金賞の団体です」


場内が一段と静かになる。


「エントリー番号〇番――

 福岡高校吹奏楽部」


一瞬、音が消えた。


次の瞬間、

福高ブロックが爆発した。


「「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」


春海の目から、

ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。


春介:

「取った……! 金取った……!」


隣の3年生たちも、

肩を抱き合って泣いている。


アナウンスは続いた。


「なお、今年の代表団体として――

 福岡高校吹奏楽部が、

 九州大会へ推薦されました」


場内:

「「おおおおおお!!!」」


平尾(Perc):

「うそ……代表まで……」


佐伯(Fl):

「夢みたい……」


三輪(部長):

「……福高吹部、

 “全国への扉”が、ひとつ開いたぞ……!」



◆ 4.楽屋裏 ― 号泣と笑いのごった煮


ステージ裏に戻った福高吹部。


白川先生が入ってくるなり、

三輪が深々と頭を下げた。


三輪:

「先生……金賞、そして代表、本当に……!!」


白川:

「頭を上げなさい。

 これは私の賞じゃないわ。

 “あなたたち”が勝ち取った音の結果よ。」


ちょっとだけ、声が震えている。


白川:

「……でも、一つだけ言わせて。


 ありがとう。

 あなたたちの音が、私の宝物になりました。」


その瞬間、

3年を中心に、あちこちで号泣の輪が広がった。


春海:

「センセぇぇぇぇ……」


春介:

「まだ引退じゃなかとに、卒業式みたいになっとるやん……」


 


◆ そこへ乱入・M&Y&ファイブピーチ★


ガラッ。


光子:

「失礼しまーーす!」


優子:

「おじゃましまーーす!」


美香:

「入っていい?」


奏太:

「代表おめでとう。マジで震えたばい」


小春:

「泣きすぎてメイク全部落ちた」


白川先生:

「わっ、みなさん……!?」


光子:

「ブラボーやったけんねぇ。

 “もうプロの入り口”って感じやったよ?」


優子:

「打楽器隊、キレッキレやったし。

 低音、ホールの床抜けるかと思った」


春介・春海:

「「ありがとうございます……!」」


美鈴と優馬も入ってきて、

孫たちをぎゅっと抱きしめた。


美鈴:

「やったねぇ……代表やね……!」


優馬:

「お前たちのおかげで、

 じいちゃんにまた自慢できるばい」


春介:

「……うん。

 “ひいじいちゃん、俺ら、代表やったぞ”って

 絶対報告する」


春海:

「九州大会でも、

 もっとええ音届けるけんね」



◆ 5.打ち上げ → ファイブピーチ★の爆笑ギャグタイム


その夜、

学校近くの大きめのファミレスを貸し切っての打ち上げ。


顧問・白川先生も含め、

部員全員+M&Y&ファイブピーチ★+家族がぎゅうぎゅう状態。


店員さん:

「ドリンクバーのグラス、足りなくなったの初めてです……」


三輪:

「じゃあ、部長としてひと言。


 金賞&代表、おめでとう!

 そして、これから九州大会に向けて――

 もっとおもろく、もっと上手くなるぞ!!


 かんぱーい!!」


「「かんぱーーい!!!」」


ジュース、ウーロン茶、コーラ、

そして大人組のノンアルカクテルが一斉に掲げられる。



◆ ファイブピーチ★、待ってましたの爆笑ショー


一通り食べて飲んで、

みんなお腹が落ち着いた頃。


光子:

「それじゃあ……ここからは、

 “祝・金賞&代表記念・爆笑ミニライブ”

 しちゃってよかですか〜?」


部員:

「「よかです!!!(全力)」」


店員さん(心の声):

(今日、この店なんかすごい人たちおるな……)


優子:

「じゃあ、最初はショートコントからいこか。

 タイトルは――


 『コンクール九州大会当日、

 絶対にしてはいけない福高吹部の行動』」


部員:

「(デジャヴ……)」


 


■ コントその1:本番直前のあり得ない光景


光子(指揮者役):

「はーい、福高吹部のみんな〜、本番5分前やで〜。

 気合い入っとう?」


優子(Trp):

「センセー、今日のマウスピース……

 家の犬が“ガジガジガジッ”て……」


深町(Trp/ガチ本人):

「いや、やめてください実話みたいな話は!!!」


店内:

「ギャハハハハ!!!」


美香(Perc):

「センセー、ティンパニの皮がさっき“ビシィ!”って……」


春海(素で):

「やめて!? 想像しただけで胃が痛い!!」


小春(Cl):

「“ビシィ!”って言った瞬間に

 **“諦めのミ♭”**に移調します」


部員:

「また出た“諦めのミ♭”!!」


奏太(Tb):

「センセー、九州大会、

 みんな緊張しとるけん、俺、

 ステージ上で“おならブー・セーフティーロック”やっていいすかね?」


光子(指揮者):

「それは二度と九州大会に呼ばれん!!」


全員:

「腹いてぇぇぇ!!!」



■ コントその2:福高吹部・もしも審査員だったら


優子:

「じゃあ次は、

 **“福高吹部の人たちが審査員やったら”**って設定で」


光子(審査員役):

「えー、では講評です。

 “トランペット、とてもよく鳴っていました。

 ただし、出番前に“マウスピースでソフトクリーム食べた?”

 ってくらい甘い音でした”」


深町:

「いる!? その比喩!!」


白川先生:

「でも、なんか具体的で分かりやすいわね……」


美香(審査員):

「“打楽器、たいへんノリがよく素晴らしかったです。

 けれども、テンポが走るたびに、

 後ろでファイブピーチ★がニヤニヤしていました。

 気を付けましょう。”」


打楽器パート:

「これ一番怖い!!」


奏太(審査員):

「“低音パート、よく支えていました。

 でも時々、

 “俺が支えてやってんだぞ感”が音から漏れてました。”」


春介:

「それ、絶対言われたくないやつ!!」


中条&舟木:

「刺さる刺さる!!」


店内、笑いすぎて

何人か椅子からずり落ちている。



◆ トドメ:双春&ファイブピーチ★コラボギャグ


光子:

「じゃあ、最後は――

 “双春+ファイブピーチ★”の

 スペシャルコラボネタで締めちゃろかね?」


春介:

「え、俺らもやる流れ!?」


春海:

「まぁ……ここまできたらやるしかないか……」


光子・優子・美香・奏太・小春・春介・春海、

7人が横一列に並ぶ。


光子:

「タイトルは――


 『九州大会の朝、

 全員寝坊してもなぜか間に合ってしまう福高吹部』」


部員:

「(フラグが強すぎる!!!)」


 


■ 開始


春介ナレーション

「九州大会当日の朝――

 福高吹部は、まさかの全員寝坊した!!」


全員:

「「うわぁぁぁぁぁ!!!」」


春海:

「“集合時間に起きる”って、

 もう集合終わっとるやん!!」


優子(Trp):

「“とりあえず化粧だけしてきました”」


坂口(Fl):

「いやそこじゃない!!!」


美香(Perc):

「打楽器だけは昨日のうちに搬入してたけんセーフ」


白石・金田:

「そこだけリアル!!」


奏太(Tb):

「“今日は全員、譜面忘れましたー!!”」


三輪(部長):

「いちばん忘れちゃいかんやつ!!」


小春(Cl):

「でも大丈夫。

 “全部心に刻まれとうけん!”」


白川先生:

「それがいちばん理想的なんだけども!!」


最後に、

春介と春海が一歩前に出る。


春介:

「そんなわけで――

 “春をふたつ、にこひとつ。

 忘れ物しても心は忘れません!”」


春海:

「“安全運行で、九州のステージに向かいます!”」


2人:

「双春でしたーー!!

 ストップ! ぎゅー! ライト!!」


\ウィンク→ちゅっ→両手ストップポーズ/


福高吹部:


「「あっち世界行くーーーー!!!」」


笑いすぎて、

テーブルに突っ伏す者、

涙を流して床を叩く者、

「腹筋が死んだ」とうずくまる者。


店員さん:

「こんなに楽しそうな打ち上げ、初めて見ました……」


白川先生:

「……ふふ。

 この子たちなら、九州大会もきっと“泣いて笑って”終えられるわね。」


光子:

「音楽って、そういうもんやけん」


優子:

「“音が止まっても、笑顔は止めんでよ”」


美香:

「それが、うちらの教わってきた“音楽の形”やもんね」



その夜、

福岡高校吹奏楽部のメンバーは、

**“笑いすぎて全員ヘロヘロ”**になりながらも、


「九州大会、もっとええ音出そうぜ」

「今日みたいな音、今度はもっと広い会場で鳴らしたい」


と、

それぞれ胸の中で静かに誓っていた。


――そしてその横で、

ファイブピーチ★のメンバーはと言えば。


光子:

「ねぇお母さん、うちらも高校時代に

 こんな打ち上げしたかったねぇ」


美鈴:

「いや、あんたらはあんたらで、

 十分カオスやったけん」


優子:

「それな」


笑いと音楽に包まれた一日は、

こうしてゆっくりと幕を閉じていった。


――まだまだ、物語は続いていくけどね。

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