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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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32/90

吹奏楽部の新入生歓迎合奏の日。

福岡高校・音楽棟。

吹奏楽部の新入生歓迎合奏の日。


部室の空気は、ちょっとピリッとして、ちょっとワクワクしていた。


三輪(3年・Trp/部長):

「じゃあ今日は、新入生のみんなにも軽く音出してもらうけんね。

 その前に、自己紹介が終わった“赤嶺ペア”は、一言だけ意気込みを」


春介:

「はい。チューバの赤嶺春介です。

 目標は、“音でバンドを支えつつ、笑いでもバンドを支える”です」


春海:

「打楽器の赤嶺春海です。

 目標は、“テンポとツッコミのタイミングを絶対に落とさない”です」


部員一同:

「「なんか危険な双子来たぞ」」


内山(3年・Tb/副部長):

「音楽用語に“ツッコミ”ってあったっけ?」


平尾(3年・Perc):

「打楽器には“ツッコミ”も“オチ”も全部含まれますよ、副部長」



◆ いきなり始まる双春コント


三輪:

「ま、とりあえず座って。

 せっかくやけん、赤嶺コンビになんか一発やってもらおうか」


春介:

「いきなりハードル高くないですか部長!?」


春海:

「まだ入部届、インク乾いてないですけど!?」


先輩たち:

「やれやれやれ」「見たい見たい」


春介と春海、しばらく顔を見合わせてから、

すっと前に出る。


春介:

「じゃあ、“音楽科あるあるコント”をひとつ」


春海:

「タイトルは……

 『音楽の授業、普通だと思ってたら全然普通じゃなかった件』」


(部室、すでに笑う準備万端)


春介:

「中学までの音楽の授業ってさ、

 『今日はリコーダー吹きます』とかやったやん?」


春海:

「それが高校の音楽科に来たら——」


 春海、いきなり隣のスネアにスティックを構える。


春海:

「“はい、今日は初見でコレ振りまーす。拍子変わるけ気をつけて〜”」


春介:

「初見で? ねぇ先生、

 五線譜って“なぞなぞ”でしたっけ!?」


(どっ と笑い)


春海:

「しかも“テスト”とか言って、

 “この和音聞いて何調でしょう〜?”って」


春介:

「いや、“何調でしょう”の前に “何じゃろう” って聞きたい!!」


部員たち:

「ぶはっ」「それはガチ」


三輪:

「……お前ら、“音楽科1週間目”とは思えんキレやな」



◆ しかし、音を出した瞬間に空気が変わる


三輪:

「よし、笑いは確認できた。

 次は“実力の確認”いこか。

 赤嶺春介、低音隊ちょっといい?」


舟木(3年・Tuba):

「じゃあ基礎合奏でやっとるロングトーン、

 俺と交代しながら吹いてみよっか」


春介:

「はい!」


チューバを構えた春介が、

スッと姿勢を正す。


先輩たちの視線が、

さっきのコントとは違うトーンで集まる。


舟木:

「音階でB♭ロングトーン、下から順に。

 “音が前に飛ぶ”って意識してな」


春介:

「了解です」


スーッと息を吸い込む音がして——


ボォォォォ……


柔らかいけれど芯のある、

まっすぐなB♭の低音が部室に広がった。


そのまま、

ゆっくりと音階を上がっていく。


舟木:

「…………おぉ?」


内山:

「え、普通に“即戦力”やん」


西園寺(3年・Euph):

「音程も揺れんし、“下で支える”ってこういうことよね」


2年・中条(Tuba):

「息のスピード、きれいに保っとるな……」


三輪:

「さっきまでコントやってた奴とは思えん」


春介、最後の音を吹き終わって、軽く一礼。


春介:

「……こんな感じです」


舟木:

「うん、“こんな感じ”どころやないな。

 今日からうちの低音、めちゃくちゃ分厚くなるわ。」



◆ 打楽器隊にも衝撃


平尾:

「じゃあ次、春海ちゃん。

 打楽器、何が一番得意?」


春海:

「スネアとティンパニが好きです」


平尾:

「じゃあスネア、

 “8分→16分→3連→6連”ってパターンで、

 テンポ120くらいで繋いでみよっか」


春海:

「了解でーす」


メトロノームのカチカチが鳴る。

春海はスティックを軽く回して構え、深呼吸。


タッ・タッ・タッ・タッ……

8分音符から入り、


タタ・タタ・タタ・タタ……

16分、

タタタ・タタタ・タタタ……

3連符、

タタタタタタ……

6連。


音量は一定、テンポはぶれない。

スティックさばきは軽やかで、

打面のど真ん中を捉えている。


白石(2年・Perc):

「え、うまっ……」


金田(2年・Perc):

「テンポの芯、ガチでぶれとらん……」


平尾:

「最後、アクセント入れてみよっか。

 “頭強く・尻すぼみにならんように”ね」


春海:

「はい!」


もう一度パターンを回し、

要所要所にアクセントを入れる。


タッ・タッ・タッ・タッ(頭強め)

タタ・タタ・タタ・タタ(粒揃ってる)

タタタ・タタタ・タタタ(ノリが出る)

タタタタタタ!!(決めの6連、キレッキレ)


平尾:

「……うん、

 “テンポとツッコミのタイミング落とさない”宣言は伊達じゃなかったね。」


打楽器パート一同:

「「よろしくお願いします!!」」



◆ 部室の評価が一気に「ネタ枠+ガチ戦力」


三輪:

「よし、みんなわかったやろ。

 この双子——」


内山:

「“コント担当”であり」


舟木:

「“低音とリズムの要”でもある、と」


坂口(2年・Fl):

「うわぁ……また濃いのが入って来た」


黒川(2年・Cl):

「でも、夏に向けて戦力アップって感じやね」


深町(2年・Trp):

「コンクール前にネタ放り込んでくる予感しかしない」


春介:

「いやいや、

 本番中には放り込みませんよ?(たぶん)」


春海:

「リハーサルとMCでは……ちょっとだけ……」


三輪:

「おいそこ! “ちょっとだけ”が一番危ない!!」


(でも顔は嬉しそう)



その日の終わり。


帰り支度をしながら、

3年の舟木が小声でつぶやく。


舟木:

「……この世代、ちょっと楽しみになってきたな」


平尾:

「ですね。

 “笑いも音楽も、本気でやる世代” になりそうです」


音楽棟の窓の外には、

福岡の春の夕焼け。


その色は、

これから始まる“福高吹部・双春世代”の

賑やかで熱い日々を、

そっと予告しているかのようだった。




◆ 福岡高校吹奏楽部・放課後


部室にて——


新歓合奏が終わり、ほっとして雑談モードに入った頃。


平尾(Perc):

「そういえば春海ちゃん、

 “紅白で叩いた”って噂、本当なん?」


春海:

「あ、はい。去年……その……ちょっとだけ」


黒川(Cl):

「“ちょっとだけ”が一番気になるやつ!」


深町(Trp):

「ていうか“紅白”って、あの!? NHKの!?」


坂口(Fl):

「芸能人のやつ!? ほんものの全国放送!??」


春海は照れくさそうにスマホを出し、

動画フォルダを開く。


春介:

「春海、その映像……見せるん?」


春海:

「うん。“何を目標に叩いてるか”は伝わった方がいいし」


そう言って

—再生を押した。



◆ 2051年 紅白歌合戦


《双春 with H&M》

X JAPAN『DAHLIA』カバー


映ったのは、

紅白の大ホールを揺らすライト。


中央で春海(当時15歳)が、

スティックを軽く回しながら

プロと同じ位置・同じ構図で座っている。


最初のシンバルロールから、

ステージの空気が一変した。


ドンッ! ダダダダダッ!


超高速のスネア連打。

重心の低いキック。

クラッシュのキレ。

フィルインの滑らかさ。


平尾(3年Perc):

「…………ちょっ……え?」


白石(2年Perc):

「プロ……じゃん。ていうかプロ超えてない……?」


金田(Perc):

「こ、これ……中学生の音やないって……」


部室中、完全に固まる。


続いて、

ギター(水湊)とベース(穂乃果)の重低音が乗り、

春介のコーラスが入る。


映像の中の春海は、

緊張一つ見せず、

まるで呼吸するように速い譜面を叩きこなしている。


ラスト。

超速テンポの6連フィルからの——


ドォォォォォン!!!


決めのクラッシュ。


照明が白く炸裂する。


そして、15歳の春海が

少し息を弾ませながら微笑むシーン。



◆ 福高吹部、死ぬほど固まる


動画が終わる。


誰も喋らない。


春海:

「……あの……すみません……」


三輪(部長3年):

「……すみませんじゃない。

 これ、紅白の“前半トリ”のやつやろ???」


春海:

「あ、はい……去年の……」


内山(Tb):

「ちょっと待って。

 これレベルの人、今日“入部しました”って言った???」


坂口(Fl):

「春海ちゃん……私たちの“憧れ側”の存在やん……」


平尾(Perc):

「部活のレベルが……一気に“全国銅〜銀圏”から

 “金賞本気で狙える圏”に跳ね上がったぞ……」


白石(Perc):

「ていうか……うちの打楽器パート……

 春海ちゃんが入った瞬間に“プロ枠”になってない?」


全パート:

「「…………(うなずく)」」



◆ そして、春海の“爆笑落ち”


春海:

「あの……本当にすごいのは……

 編集で私の変顔が全部消されたこと……」


全員:

「そこ!?!?!?」


春介:

「春海、実はサビ直前で

 “変顔で気合い入れるクセあるんです」


春海:

「やめてそれ暴露するの!!」


(部室、爆笑の渦)



◆ 結果


双春の実力、福岡高校吹部全体にバレる。

そしてこの日から、


* 春介 →「低音隊の秘密兵器」

* 春海 →「高校レベルを超えた天才ドラマー」


として、一気に部の中心メンバー扱いになるのだった。



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