うちら、8人の孫に恵まれとるねぇ」
◆「うちら、8人の孫に恵まれとるねぇ」
──美鈴、しあわせの気づきシーン
夜。
燈真の4歳誕生日パーティーが終わり、
キッチンでは光子・優子・美香の三姉妹が片付けをしている。
リビングからは、
陽翔・結音・燈真・灯乃・彩羽・悠翔の6人が
テンションMAXで走り回る声。
さらに──
春介:
「ひーちゃん! まてぇぇぇ!」
春海:
「ゆのんちゃん! 抱っこしてあげる〜!」
と、赤嶺家の双子まで参戦し、
リビングは完全に 地獄の大運動会モード。
美鈴:
「……あんたら、ほんと元気やねぇ……」
優馬(コーヒー片手):
「え? 俺らの子ども時代より静かやない?」
光子:
「いや、完全に“昔の私らレベル”超えたよ?」
優子:
「“八方向から抱っこ要求”って何よ……!」
三姉妹が苦笑していると、
美鈴はふと、手を止めてリビングを見つめた。
春介が春海とぶつかって、
陽翔と燈真が助けに入り、
結音と灯乃が爆笑しながら背中をさすり、
彩羽と悠翔が「だいじょぶ〜?」と寄っていく。
その光景に、
美鈴はぽつりと温かい声で言った。
⸻
美鈴
「……うちら、
8人も孫に恵まれとる っち、
ほんと思うたら涙出るねぇ」
光子・優子・美香
「……え?」
美鈴はニコッと笑って言った。
⸻
美鈴
「血がついとるかどうかじゃなか。
あんたたち三姉妹の子やったら、
みんな私の孫やけん。
春介も春海も、陽翔たちと同じ。
うちの宝もんや」
三姉妹、涙ぐむ。
優子:
「お母さん……」
光子:
「うちらも……そう思っとうよ……」
美香(涙こぼしながら微笑む):
「……ありがとう、お母さん」
美鈴:
「こんな幸せ、他にいっちょんいらん!」
その瞬間、リビングから
悠翔:
「おねえしゃーーーーん!!
だっこーーー!!」
灯乃:
「はいはい! 次ひの〜〜!!」
陽翔:
「ちょっとまった! じゅんばんじゃけん!!」
燈真:
「とぅまが先ーー!!」
春介:
「春介もーー!!」
春海:
「春海もーー!!」
全員:
「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」
美鈴:
「……はいはい、
まずは並ばんかい、このちびっこ暴走機関車ズ!!」
三姉妹:
「園長先生モード出た!!」
優馬:
「これは止められん……(笑)」
──家じゅうが笑いで震えた。
⸻
◆まとめ
美鈴が“8人の孫”と言うのは
春介・春海も含めた総勢8人を本当の孫として愛している から。
小倉家に迎えられた美香の子も、
光子・優子の子と完全に同じ存在。
それが、小倉家が何より大切にしてきた「家族」の形。
◆「この子らが成人するときには」
──美鈴、深夜のキッチンでそっと願う
燈真の誕生日パーティーが終わり、
部屋の片付けも終わった深夜。
キッチンにひとり残った美鈴は、
湯飲みにあたたかいほうじ茶を注ぎながら
賑やかだったリビングを見渡す。
床にはまだ
陽翔・結音・燈真・灯乃・彩羽・悠翔
そして
春介・春海のいたずら跡が残っている。
壁に貼られた「とぅま4さいおめでと〜!」の紙。
カーペットにはケーキのクリームの跡。
ソファは子どもたちの“抱っこ山脈”としてへたり気味。
美鈴
「……ほんと、騒がしかぁねぇ。
でも……幸せすぎるくらいやね」
湯気の立つ湯呑みを両手で包み込みながら、
美鈴はふっと、静かに目を閉じた。
リビングの奥から聞こえてくる、
子どもたちの寝息。
陽翔の無防備な寝顔。
結音と灯乃がくっついて眠る姿。
燈真が「いちご…もっと…」と寝言を言い、
悠翔がその足に抱きついて寝ている。
そして2階では、
春介と春海が「明日早起きしよ〜ぜ」と言いながら
結局並んで爆睡している。
そんな様子を想像して、
美鈴の胸はじんわりと温かくなる。
そして──
ぽつりと、小さく、誰にも聞こえない声でつぶやいた。
⸻
美鈴
「……この子らが成人するときには、
争いごとのない、
みんなが仲良う暮らせる世の中であってほしかねぇ……」
湯呑みの白い湯気が、
静かに天井へと昇っていく。
美鈴
「ほんとに……
笑って、泣いて、助け合って……
この子らみたいに、手ぇつないでいける世界になってほしか」
爆笑発電所の仲間たち。
山口や博多で出会った友人たち。
海外で見た、戦争や災害に苦しむ子どもたち。
ウクライナ、アメリカ、オーストラリア……
光子と優子が世界で出会ってきた子どもたち。
そのひとりひとりの顔が、美鈴の頭に浮かぶ。
美鈴
「争っても、憎しみあっても……
なんも残らん。
残るとなら、
誰かの笑顔がよか」
そのとき――
リビングの方から、
小さな足音がとてとてと近づいてきた。
彩羽(寝ぼけ声)
「……おばあたん……だっこ……」
美鈴
「あら、起きてしもうたと? こげな時間に……ふふ。
はいはい、ぎゅーしちゃるけんね」
彩羽を抱き上げると、
ちいさな腕がぎゅっと美鈴の首に回される。
彩羽
「おばあたんだいすき……」
美鈴
「……ばあちゃんも、
あんたたちのこと、
世界でいちばん大好きよ」
彩羽はこくりと眠り、肩に頭を預けた。
美鈴はそっと部屋の明かりを消し、
寝室へ戻りながら小さく微笑む。
⸻
美鈴(心の声)
「どうか……
この子らの未来が、
平和で、あったかくて、
笑い声の絶えん世界でありますように」
そしてその祈りは、
夜の静けさに溶けていった。
◆「世界がつながる日」
──ソフィーアの結婚式の招待状
美鈴が寝落ちした彩羽をそっと布団に寝かせ、
静かに部屋を後にした朝。
まだ薄明るい博多の空を見上げながら
玄関先のポストを開けると──
見慣れない封蝋のついた、
海外からの手紙が一通。
淡いブルーの封筒の縁には、
ウクライナの伝統模様“ヴィシヴァンカ”の絵柄。
美鈴
「……あら、これ……。
もしかして……あの子らの?」
そっと封を切ると、
中から現れたのは
柔らかな金の箔押しで書かれた文字。
“Invitation to the Wedding”
── Sofia Petrenko & Dmytro Petrenko
光子と優子が
キーウでの舞台制作で出会い、
心の深いところでつながった友人。
戦火の中で必死に文化を守り、
世界に平和の光を届けてきた
ソフィーアとドミトロ。
その二人の門出に──
招かれたのだ。
美鈴は手紙を胸に抱きしめ、
自然と涙がこぼれそうになる。
美鈴
「……よかったねぇ、ソフィーアちゃん。
やっと……幸せば掴んだとねぇ……」
封筒の中には、出席者の名前を記入する欄。
* 赤嶺美香・赤嶺章・春介・春海(4名)
* 青柳光子・青柳翼・陽翔・燈真・彩羽(5名)
* 柳川優子・柳川拓実・結音・灯乃・悠翔(5名)
* 小倉美鈴・小倉優馬(2名)
総勢 16名の大家族編成。
美鈴は机にペンを握り、
一人ひとりの名前を丁寧に書き込む。
書いている途中で、
ふっと、さっき胸の中で願った言葉が蘇る。
「この子らが成人するときには、
どうか争いごとのない世界で――」
まるで、その願いに呼応するかのように
遠い国から届いた“幸せの知らせ”。
美鈴は記入を終え、
便箋をそっと封筒に戻し、
穏やかに微笑んだ。
美鈴
「もちろん……全員で出席させてもらいます。
ソフィーアちゃん、ドミトロさん。
幸せのお裾分けを、ありがとうねぇ……」
書き終えた返信を封筒に入れ、
ポストへ投函する。
カタン……という小さな音が響いた瞬間、
どこか“世界がひとつにつながった”ような
不思議な温かさが、美鈴の胸に広がった。




