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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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19/90

紅白の大トリ

ニュース明け。

時計の針は、いよいよ年越しが近づきつつあった。


NHKホールの照明がふっと落ち、

テーマジングルが短く流れたあと――

再び、M&Yがカメラの前に立つ。



◆ 後半トップバッターは――


光子:

「さぁみなさん、お待たせしました。ここからは紅白・後半戦です!」


優子:

「前半のラストは、赤嶺双春 with H&M が

 伝説のロック『DAHLIA』をぶちかましてくれましたが――」


光子:

「後半のトップも負けとらんよ?」


優子:

「ロックで始まって、ロックで再起動。

 博多発、“最強はなまる姉妹”いきます!」


スクリーンにタイトルがドーン。


紅組・後半トップバッター

はなまるツインズ『好き』


その下に小さくテロップ。


Drums:赤嶺 春海

Guitar:柳川 水湊


客席が、一気にざわつく。



◆ ステージセット


ステージは前半の「DAHLIA」の赤黒世界から一変、

夜空みたいな濃紺と、ピンクゴールドのライティング。


中央には、スタンドマイクが2本。

左右にはギターアンプとキーボード。

奥には、さっきと同じセットだが雰囲気を変えたドラム。


バスドラムのヘッドには、

手書き風の文字でこう書いてある。


「はなまる × 双春」


春海:

(ふふ…カメラにちゃんと抜いてくれるかな)



◆ メンバー配置


・ドラムセットに座る 赤嶺 春海(15)

 さっきのDAHLIAモードより、少し軽やかで楽しそうな顔。


・ステージ右、ギターを構える 柳川 水湊(18)

 今度はエレキ。艶のあるストラトタイプ。


・ステージ中央に並ぶのは――

 八幡ひなた & 枝光みずほ(はなまるツインズ・23)


ひなたは、燃えるような赤のショートドレス。

みずほは、ディープブルーにゴールドのアクセントが入ったロングスカート。


2人とも、目は完全に“ロックモード”。



◆ 曲紹介


イントロ前、

ひなたがマイクを握って一歩前に出る。


ひなた:

「後半トップ、はなまるツインズです!」


みずほ:

「わたしたちからお届けするのは――

 “好き”という気持ちまるごと、爆発させたロックナンバーです。」


ひなた:

「家族でも、友だちでも、恋でも、

 ステージでも、音楽そのものでも。

 どうしようもなく“好き”になってしまった思いを――」


みずほ:

「全部まとめて“好き”って叫んでもいいやろ?

 って曲を、作りました!」


春海:

(よっしゃ、暴れつつも歌をちゃんと前に出すやつね)


水湊:

(“音で告白”の気持ちで弾くか)


ひなた:

「聴いてください」


2人そろって。


はなまるツインズ:

「『好き』!!」



◆ イントロ


水湊が、ジャーン!とコードを鳴らす。

ディレイのかかったギターの響きが、夜空に飛んでいくよう。


春海がスネアでタカタカッと軽快なフィルを入れ、

そのまま8ビートに乗せる。


テンポは速め。

前へ前へ、背中を押すようなロック。


ステージ背後のスクリーンには、

赤やピンクの光が線となって走り、

ときどき“好き”の文字が、

落書きみたいにビュッと走り書きされる。



◆ Aメロ ― ひなたの熱


ひなた:


♪ まぶしい とか すごい とか

そんな言葉じゃ 追いつかないくらい

きみのこと 目で追ってるたびに

心が走り出す


声に芯がある。

パワーもある。

でも、決して怒鳴らない。


「熱」が喉じゃなくて胸のあたりから出ている感じ。


春海のドラムは、

ハイハットを軽快に刻みながらも、

キックはしっかりと前ノリ。

ちょっとパンク寄りの押し出し。



◆ Bメロ ― みずほの優しさ


みずほ:


♪ へたくそな 恋の歌

何回も 消して は書き直して

それでもまだ ぜんぶは書けなくて

だから いま 歌うよ


声質はやわらかいのに、

音程の芯はぶれない。


ひなたの“前へ飛ぶ声”に対して、

みずほの声は“包み込む音”。


2人のハーモニーに、

水湊のギターがエモい単音フレーズを絡める。



◆ サビ ― タイトルフレーズ炸裂


ひなた&みずほ:


♪ 好きだ 好きだ 好きだーーー!!

何回言っても 足りないから

声が枯れても 叫んでいたい

世界でいちばん――


春海、ここでライドシンバルに切り替え、

音の天井を広げる。


春海(心の中):

(はい、ここ感情爆発ゾーン。

 でも、歌が主役やけん、叩きすぎ注意……叩きすぎ注意……)


→ 結局ちょっと叩きすぎる。

ツーバスを控えめに入れてしまい、

カメラがニヤリと春海を抜く。


客席:

「出た、“控えめ”って言いながら控えめじゃないやつ!」


スクリーンには、

大きな「好き」の文字が、

花火みたいに何度も弾ける。



◆ 2番&間奏 ― 兄妹チームの熱


2番では、歌詞にぐっと現実の距離が近づく。


ひなた:


♪ ケンカして 泣いた夜

それでも やっぱ 会いたくなって

意地張ってる 自分ごと

好きだって言えたら いいのに


みずほ:


♪ ごめんねの 言い方も

さよならも うまくないけど

手を伸ばした 指先で

明日をつかみにいこう


スクリーンの映像には、

街の夜景、電車、

廊下でふたり並んで座ってるシルエット――

誰の物語にも重ねられそうな、ふわっとした映像。


間奏に入る前、

春海が派手なフィルを回す。


春海:

(ここや、ここはちょっとだけ暴れていいやつ!!)


タカトコタカトコタカトコドドドド!!


→ 間髪入れず、水湊のギターソロ。


水湊のソロは、

テクニカルさよりも“メロディの熱”。


フレーズのラストで、

思いっきりチョーキングして、

ぎゅーーっと伸ばす。


客席:

「うわ〜〜〜」「エモい!」



◆ ブリッジ ― しゃべるような歌


音が一度ぐっと落ちる。

ドラムはスネアとハイハットだけ。

ベースはルートをポン…ポン…と鳴らすだけ。


ひなた:


♪ まっすぐなんて こわいよね

だって 逃げ道なくなっちゃうもん


みずほ:


♪ でも きみを見てたら 思ったの

逃げなくていい ここにいるって


2人:


♪ わたしの全部で――

好きって言ってみたい


ここ、歌詞が刺さる。

客席の中高生あたりが、

「あ〜〜〜」と小さく崩れる。



◆ ラストサビ ― 大合唱


春海、クラッシュを叩きつけて全開モードへ。


ひなた&みずほ:


♪ 好きだ 好きだ 好きだーー!!

泣きたくなるほど 好きなんだよ

もしも明日が こなくても

きみを好きでいたい


スクリーンには、

“好き”の文字が多言語で次々と表示される。


「好き」「LOVE」「사랑해」「I like you」

「Я люблю тебя」「Te quiero」…


光子:

「世界中の“好き”かぁ……反則やろ、これ」


優子:

「翻訳しても“胸キュン”は万国共通やね」


ラストフレーズ。


ひなた&みずほ:


♪ 世界でいちばん――

好き!!


春海の一撃。

水湊の最後のコード。


ライトが白くフラッシュして、曲が終わる。



◆ 拍手・コメント


客席、総立ちに近い拍手。


光子(花道で登場しながら):

「はなまるツインズ、そしてバックバンドの春海ちゃん・水湊くん!!

 めちゃくちゃ熱かったーー!!」


ひなた(息切れしながら):

「はぁ…はぁ…ありがとうございます!!」


みずほ:

「“好き”って気持ちって、

 なんか恥ずかしいけど、

 言わんと伝わらんから…

 歌に乗せて全部言っちゃえ、って曲です」


優子:

「いや〜、23歳の“好き”は破壊力あるねぇ〜」


光子:

「春海ちゃん、またちょっと暴れとったやろ?」


春海(苦笑い):

「“控えめに”って自分に言い聞かせてたんですけど、

 サビ入った瞬間、足が独立しまして…」


客席:

「アハハハ!」


水湊:

「でも、はなまるの2人の“好き”が

 ちゃんと前に飛ぶように、音のバランスは頑張りました!」


ひなた:

「水湊くん、さっきまで『DAHLIA』弾いてた人と同一人物とは思えんよね」


みずほ:

「ギターの表情も“好き”って言ってました!」


光子:

「ロックで始まる後半トップ、

 紅組らしい“情熱の一発目”でした!」


優子:

「はなまるツインズ、『好き』でしたーー!!」


大きな拍手と歓声。

カメラがゆっくり引いていく中、

ひなたとみずほが客席に深く一礼した。   





紅組・白組の曲も、残すところわずか。

会場の空気が、「もうすぐ終わるんだ」という少しの切なさと、

「ここからクライマックスだ」という高揚で揺れている。



◆ 白組・大トリ前の曲紹介とんずらー


白組司会席。

とんずらーの2人が、ちょっと緊張した顔で立っている。


ツッコミの方が、台本を見ながら一息つく。


ツッコミ:

「さぁ、それではいよいよ…

 今年の白組、大トリの時間が近づいてまいりました」


ボケ:

「いや〜、“大トリ”って言葉だけで胃がキリキリしますねぇ」


ツッコミ:

「お前がトリみたいに言うな! お前はただの前説や!」


客席:

「アハハハ!」


ボケ:

「でもね、今日の大トリの曲、

 正直、ぼくらもリハーサルで泣きました」


ツッコミ:

「お前、裏で“こんなん反則やん…”って

 ハナすすりながら言いよったもんな」


ボケ:

「だってね?

 タイトル聞いた時点で、もうダメなんですよ」


ツッコミ:

「ほな、紹介しよか…」


2人、客席とカメラに向き直る。



◆ M&Y、大トリへ


ツッコミ:

「今年、白組・紅組の垣根をこえて、

 “大トリ”として歌ってくれるのは――」


ボケ:

「この紅白の総合司会でもあり、

 歌でも、笑いでも、言葉でも、

 いろんな“祈り”を届けてきた2人です」


ツッコミ:

「大事な家族を、

 笑って送り出したいと願った、ひとりのじいちゃんの歌」


ボケ:

「亡くなった、赤嶺安三郎さん。

 “エロ大魔王”なんて言われながらも(笑)、

 いちばん家族思いで、

 孫たちのステージを、一番近くで応援していたおじいちゃん。」


客席から、ふっとあたたかい笑いが漏れる。


ツッコミ:

「そんなじいちゃんを思って、

 M&Yが作った曲です」


ボケ:

「少し笑えて、でも、気づいたら涙が出てる――

 そんな歌です」


2人、深く一礼して。


とんずらー:

「大トリ・M&Y『じいちゃん、笑っていこう』

 どうぞ!」


(※タイトルはイメージで。ここでは仮にこう呼びます)



◆ ステージセット ― 安三郎じいちゃんへのステージ


ステージ中央。

そこには派手な映像も炎もない。


代わりに、

畑を思わせるような柔らかいグリーンのライトと、

木のテーブルと椅子がひとつ。


テーブルには、

・湯呑み

・新聞

・そして、小さな写真立て。


写真には、

笑顔の 赤嶺安三郎と、

幼い頃のアキラ、美香、光子、優子たちが写っている。


ゆっくりと歩いてくる、ドレス姿の光子と優子。

ドレスはさっきまでのきらびやかなものより少し落ち着いた、

深い紺とワインレッド。


光子が、写真立てを両手で持ち上げて、

客席とカメラにそっと見せる。


光子:

「ねぇ、じいちゃん。

 とうとう、ここまで来たよ」


優子:

「今日はさ…

 じいちゃんに、ちゃんと“ありがとう”言うために歌ってもいい?」


照明が、2人を静かに包む。



◆ 1番 Aメロ ― じいちゃんの日常


軽くアコギが鳴る。

ピアノがやさしく和音をつける。

バンドはいるけど、音量はあくまで控えめ。


光子(Aメロ):


♪ 朝いちばんに テレビつけて

“今日は誰が出とると?”って

ちっちゃい孫の名前を

画面の向こうに 探してた


優子(続けて):


♪ 焼けた畑の 手のひらで

ぎこちなく 頭 なでながら

「お前らの声が いちばん効くばい」って

照れくさそうに 笑ってた


スクリーンには、

・畑で笑うじいちゃんの後ろ姿

・テレビの前に正座してるじいちゃんのシルエット

・ラジオに耳を近づける横顔


そんな“誰の家にもいそうな”じいちゃんたちの映像が、

モンタージュのように流れる。



◆ Bメロ ― 爆笑とエロ大魔王


光子:


♪ 口を開けば 下ネタまじりで

ばあちゃんに しばかれよったけど


優子:


♪ それでも 私ら 本当は知っとった

その分だけ 誰より 優しかったってこと


客席にくすくす笑いが広がる。

でも、その笑いの奥はもう、ちょっと潤んでいる。



◆ サビ1 ― 「笑って見送れ」の約束


2人でまっすぐ前を見て、ハモる。


♪ 泣くな 泣くなと 言ったくせに

こっそり 涙ぐむ じいちゃんを見た

あの日の 背中を ずっと忘れんよ

笑って 見送ってくれって 言ったやろ


♪ ならね こっちも 約束守るけん

じいちゃんの話は いつもオチつきで

みんなで 大声で 笑いながら

「行ってらっしゃい」って 手を振るけんね


スクリーンには、

葬儀の日、

笑いながらじいちゃんを送った家族のイラストのような映像。


涙と笑顔が、ごちゃまぜになっている。



◆ 2番 Aメロ ― 隠し場所と、バレた宝物


少しテンポが上がる。

ここは“ちょい笑える”ゾーン。


優子:


♪ 押し入れの 一番奥に

“大事なコレクション” 隠しとって


光子:


♪ ばあちゃんに見つかって 空から叫んどった

「あれはワシの青春ばい!」って


客席:

「アハハハ!!」


※ 実際の“DVD”とか具体ワードは避けて、NHK仕様のやんわり描写。


スクリーンには、

押し入れのダンボールから“何か”が大量に出てくるアニメ風シーンと、

天国のじいちゃんが頭を抱えてるコミカルな絵。



◆ 2番 Bメロ ― スマホの中のラジオ


光子:


♪ スマホの中の フォルダには

私らの ラジオが ぎゅうぎゅう詰めで


優子:


♪ 再生ボタン 何回も押した跡

そこにあったのは “親衛隊”のしるし


ここで、一瞬音が落ちて、

光子が語るように。


光子:

「ねぇ、じいちゃん。

 全部、録っとったんやね。

 私ら、自分の声、あんなに何回も聴いてもらっとるって、

 知らんやったよ」


優子:

「“エロ大魔王”ってからかわれても、

 いちばん“ジジバカ”やったもんね」


客席から、また笑いとすすり泣き。



◆ サビ2 ― 「今もどこかで笑いよるやろ?」


2人:


♪ どうせ今ごろ 天国のどこかで

ばあちゃんや 見知らん人も巻き込んで

エロ話と 孫自慢で ひとり漫才して

周りの天使 ひっくり返しよるやろ


♪ こっちはこっちで まだ歌いよるけん

「あいつら相変わらず バカやなぁ」って

笑いながら 聴きよってくれたらいい

それがいちばんの 供養やけん


スクリーンには、

天国の宴会場みたいな場所で、

安三郎が腹抱えて笑ってるシルエット。

周りで天使たちも転げ回っている。



◆ ブリッジ ― ひ孫たちの声


音がふっと落ちて、

ピアノだけになる。


そこに、録音された小さな声が重なる。


陽翔(5歳/録音):

『ひいじいちゃん、はるとでんちゃ、きょうも うんこうしてるよ〜!』


結音(5歳):

『ゆのんの うたも ききよってね〜!』


燈真(3歳):

『とーまの れんあいそうだんも きこえる〜?』


灯乃(3歳):

『ひーちゃん、きょうは つぶされてないよ〜!』


彩羽&悠翔(1歳):

『あー! ばぁ! きゃっきゃ!』


客席:“あぁ〜〜〜”って感じの笑いと涙が同時に漏れる。


光子(ブリッジ歌):


♪ ひ孫の声が

ちゃんと届いとるなら

それだけで こっちは

明日も 笑って暮らせるけん


優子:


♪ だからね じいちゃん

たまには 夢の中でいいけん

「お前らよう頑張っとるぞ」って

いつもの調子で 笑いに来て



◆ ラストサビ ― 「笑っていこう」


ドラムが静かに戻り、

ストリングスがふわっと広がる。


2人:


♪ 泣いて 笑って 怒って また笑って

ぐちゃぐちゃな日々を 受け止めてくれて

ありがとねって まだ言えてないから

今日くらいは 素直に言わせて


♪ じいちゃん じいちゃん

出会ってくれて ありがとう

うちらが 歌える場所までくるまで

見守ってくれて ありがとう


♪ これから先も

なんべん転んでもいいやろ?

立ち上がるたび きっと思い出す

「笑っていこうや」っていう じいちゃんの声


最後の一行だけ、

ふたり、マイクを少し離して生声に近い音で。


♪ だから 今日も――

笑って いこうか


ピアノの和音が、

そっとホールに溶けていく。



◆ 静寂と拍手


一瞬、音が消える。


客席の誰も、すぐには拍手できない。


ほんの2秒――

でも、永遠に感じる沈黙。


そして――

割れんばかりの拍手。


立ち上がる人。

ハンカチで目を押さえる人。

笑いながら涙を拭う人。


家族席で、アキラがうつむいて、

そっと目をぬぐっている。


横で美香も、静子も、

目を真っ赤にしながら笑っている。


静子:

「…あの人、

 また空の上で調子に乗って話しよるね、きっと」



◆ エンディング前のひと言


光子(涙をぬぐいながら、でもちゃんと笑顔で):

「じいちゃん。

 見とってね。

 これからも、うちら――

 笑って、歌って、生きていくけん。」


優子:

「悲しいことも、つらいこともぜんぶ、

 最後には“笑っていこうか”って言えるように。

 みんなで、ここからも生きていくけんね」


客席から、ひときわ大きな拍手が送られ、

紅白歌合戦はラストの全員合唱と、勝敗発表へと向かっていく。


でもこの夜、

多くの視聴者の胸に残ったのは、

「大トリの派手さ」よりも――


一人のじいちゃんを笑って見送ろうとした、

家族の歌だった。

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