2051年紅白
大晦日。
NHKホールの外は、白い吐息と人いきれでむんっとしていた。
中継カメラが、ライトアップされたホールの全景を舐めるように映し出す。
画面の左上には、でかでかとテロップ。
**第○○回 紅白歌合戦 生放送**
総合司会:M&Y(青柳光子/柳川優子)
白組司会:とんずらー
紅組司会:はなまるツインズ
観客のざわめきと、オーケストラピットの調弦の音。
そして――おなじみのオープニングテーマが高らかに鳴り始める。
◆ オープニング・カウントダウン
天井から吊られた巨大スクリーンに、カウントダウンが映る。
10…9…8…
客席のペンライトが、じわっと揺れ始める。
その中には、小さな腕でペンライトを振る陽翔と結音(5歳)、
「おっきいテレビ〜!」と目を輝かせている燈真と灯乃(3歳)、
抱っこされながら意味も分からず振っている**彩羽と悠翔(1歳)**の姿もいる。
春介・春海・穂乃果・水湊も、客席の端でステージを見つめていた。
3…2…1――
ホールの照明が一気に真っ暗になり、
次の瞬間、ステージ中央に白いスポットが二本、すっと落ちる。
◆ M&Y、センターに立つ
スポットの中に浮かび上がるのは、
真っ白と深紅のドレスに身を包んだ二人。
青柳光子
柳川優子
M&Yが、笑顔でこちらを向く。
光子:
「みなさーん! こんばんはー!!」
優子:
「第○○回、紅白歌合戦っ!
生放送でお届けしまーす!!」
客席:
「ワアァァァ!!」「M&Yーー!!」
両サイドの大階段に、
白組・紅組の出場歌手たちがずらりと並んでいく。
光子:
「今年も、歌と、想いと、
そしてちょっとだけ――」
優子:
「笑いすぎ注意報を添えて、お届けします!」
客席:
「ぎゃははは!」
テロップ:
《※今年も番組後半、腹筋崩壊にご注意ください》
◆ 白組司会・とんずらー 登場
光子:
「まずは白組司会の紹介からいきましょうか!」
優子:
「大晦日に“とんずら”はさせません。
最後までしっかり働いてもらいます!」
光子:
「白組司会――とんずらー!!」
右側の階段から、黒のタキシードに身を包んだとんずらーの二人が登場。
深々と一礼して、マイクを受け取る。
とんずらー・ボケ:
「どうも! 紅白という大舞台から、
すぐにでもとんずらしたいほうの、とんずらーです!」
とんずらー・ツッコミ:
「最初の一言がそれでええんか!」
優子:
「とんずら禁止よ? エンディングまで帰さんけんね?」
光子:
「途中で“CM中に消えた”とか許さんけん」
とんずらー・ツッコミ:
「そんなホラー演出いらんのよ!」
客席:
「アハハハ!」
◆ 紅組司会・はなまるツインズ登場
光子:
「続きましては紅組司会!」
優子:
「博多南小の頃から、
“将来は絶対ステージに立つ子たちやろうね”って
先生に言われ続けて――ほんとに来ました!」
光子:
「紅組司会――
はなまるツインズ! 八幡ひなた、枝光みずほ!!」
左側の階段から、
紅白の和モダンなドレスに身を包んだひなたとみずほが登場。
22〜23歳になっても、かつての“はなまるスマイル”は健在だ。
ひなた:
「みなさん、こんばんは! 紅組のひなたです!」
みずほ:
「みずほです! 今年は、“はなまる”な紅組勝利を目指します!」
光子:
「おお〜、言うねぇ〜」
優子:
「とんずらーさん、負けとっちゃいかんよ?」
とんずらー・ボケ:
「いやもう名前からして分が悪いでしょ。
“はなまる”対“とんずらー”って、先生に怒られる対決ですよ」
とんずらー・ツッコミ:
「通知表で“はなまる”つく側と、“職員室来なさい”って言われる側な!」
ひなた:
「でも、今日だけは仲良く頑張りましょうね!」
みずほ:
「“笑顔”と“ツッコミ”で、ホールを包みます!」
◆ オープニング・コンセプトトーク
音楽が少し落ち着き、
M&Yがカメラの正面に向き直る。
光子:
「今年もいろんなことがありました。
嬉しいニュースも、つらいニュースも、
涙が出るような出来事も、たくさんありました」
優子:
「そんな一年の最後の夜に、
ここNHKホールからお届けしたいのは――」
光子:
「歌で思い出を包み直すこと。
そして――笑って年を越すこと。」
優子:
「泣くのもオッケー。
でも最後は、ちょっとだけ口角が上がってる状態で
年を越してくれたらなって思います」
とんずらー・ツッコミ:
「ハードルの設定が細かい!」
ひなた:
「笑顔が一ミリでも増えたら、“はなまる”ですね」
みずほ:
「涙も、歌と一緒やったら、“がんばった証拠”です」
◆ 出場歌手ざっくり紹介&特別企画のフリ
光子:
「今年も、初出場から大ベテランまで、
たくさんのアーティストの皆さんに集まっていただきました!」
優子:
「話題のドラマ主題歌、SNSを席巻したあの曲、
そして、あの伝説の楽曲のスペシャルカバーまで!」
とんずらー・ボケ:
「え? 伝説の楽曲って、まさか――
“洗濯機プリン・リミックス”とかじゃないですよね?」
優子:
「それはNHKさんに全力で止められました」
客席:
「そりゃそうだ!!」
光子:
「代わりにですね、
X JAPANさんの『DAHLIA』を、
赤嶺双春 with H&M がロックにカバーしてくれます!」
ざわつく客席。
客席端で、春介と春海がこそっと頭をかく。
とんずらー・ツッコミ:
「15歳であの曲は攻めすぎやろ!」
ひなた:
「楽しみですね〜。
“笑いの家系”から、ガチロックが飛び出します」
みずほ:
「紅白ならではの、音楽のごった煮をご堪能ください!」
◆ さあ、開幕
光子:
「それでは、皆さん。
2025+α な今年のクライマックス、ご一緒に作っていきましょう!」
優子:
「紅組も!」
ひなた&みずほ:
「がんばるぞー!!」
優子:
「白組も!」
とんずらー:
「とんずらせんぞー!!(客席:笑)」
光子:
「視聴者のみなさんも、どうか最後まで――」
全員で声をそろえて。
「紅白歌合戦をお楽しみください!!」
テーマファンファーレが鳴り響き、
カメラが引いていく。
光子:
「それでは、トップバッター――
紅組からのスタートです!」
ここから、2051年の“歌と笑いと涙の夜”が、
ゆっくりと、でも確実に幕を開けていくのだった。
◆ 前半トリ:
赤嶺 双春 with H&M ―「DAHLIA」(X JAPAN カバー)
NHKホールがゆっくり暗転した。
ざわ…ざわ…と客席の空気が震える。
司会席の光子と優子も、
これだけは“身内びいき抜きで”本気の表情になる。
光子:
「さぁ、前半最後を飾ってくれるのは…
今年、紅白を最もザワつかせたと言ってもいいユニットです」
優子:
「平均年齢15歳。
でも演奏レベルは、“十数年修羅場をくぐったプロ並み”。
いま、音楽業界でもっとも注目されている4人」
ざわつきが大きくなる。
光子:
「それでは聴いていただきましょう――
赤嶺 双春 with H&M『DAHLIA』!!」
◆ ライトアップ
ステージ中央、
白いスモークがゆっくり流れ込み、
花びらのような赤と金のレーザーが交差する。
最初の爆音――
ドォンッ!!
観客席からどよめきが走る。
◆ メンバー紹介(演出として)
ステージ床のLEDパネルに、
血のような赤い文字が浮かぶ。
Drums:赤嶺 春海(15)
スティックが高速で回転し、
キレのある狂気的なフィルインを連発。
Bass:青柳 穂乃果(21)
黒髪を振り乱し、タイトな低音で曲の心臓部を支える。
Guitar:柳川 水湊(18)
冷静な表情で、繊細なアルペジオから鋭いリフまで完全再現。
そして――
Vocal:赤嶺 春介(15)
黒のロングシャツ、瞳だけがライトに反射して青く光る。
◆ 「DAHLIA」イントロ
水湊の繊細なアルペジオ。
美しくて、どこか壊れそうな音。
春海の足がハイハットを刻む。
穂乃果のベースがゆっくり加わると、
ホールの空気が一気に張りつめた。
春介の声が入る。
♪ Why do you still…
continue to suffer… ?
少年の声ではない。
大人でもない。
その“狭間の透明さ”が、Xの世界観に異様にハマっている――
そんな声。
客席から、思わず息を呑む音がこぼれる。
◆ サビ・爆発
春海のカウント。
1、2、3、4!!
ステージ背後で赤い炎の映像が渦巻く。
春海がドラムを叩きつける。
春介がシャウトを放つ。
DAHLIA──!!
照明が真っ赤に染まり、
観客席のペンライトが一斉に揺れる。
光子:
「……(口に手を当てて)すごっ…」
優子:
「これ、ほんとに紅白……? ライブフェスやん……」
◆ 中盤・テクニカルパート
● 水湊のギターソロ
攻撃的でありながら、どこか優しさの残る音。
本人の性格そのもの。
● 穂乃果のベースライン
低音の波が客席の腹の底に響く。
● 春海の超高速ツーバス
鬼神のような表情で、腕と足がまるで別の生き物のように動く。
客席:
「うおおおおおお!!」
「中学生でこれって反則やろ!!」
◆ ラストサビ
春介のシャウトが、天井を突き破るように響く。
声が震えて、でも壊れず、まっすぐ伸びていく。
曲の最後、
ステージ後方のLEDに巨大なダリアの花が開き、
光の花びらが舞い散る。
最後の一撃。
ドォンッ!!!!
春海が最後のスネアを叩き抜く。
ライトが一気に落ちる。
しん……と一瞬の静寂――
次の瞬間、客席が爆発した。
観客:
「スッゲーー!!!」
「鳥肌立った!!」
「前半トリにふさわしすぎる!!」
◆ 司会席へ
光子:
「……いや……はぁ……
双春、うちの甥っ子、
あいつら……マジで化け物やね……」
優子:
「春介も春海も、
“笑いの家系”って言われてきたけど……
音楽の家系でもええやろ!?」
とんずらー・ツッコミ:
「もう今日だけで三つくらい家系名乗れるやろ!?」
はなまるツインズ:
「紅白の空気が一気に変わったねぇ……」
◆ 締め
優子:
「以上、前半最後を飾ったのは――
赤嶺 双春 with H&M!」
光子:
「この後はニュースを挟んで後半戦です。
息して待っとってね!!」
客席:
「はぁい!!!」




