静子ばあちゃん、ひとり暮らしの再スタート
◆ 静子ばあちゃん、ひとり暮らしの再スタート
安三郎を見送り、
四十九日も過ぎて、少し落ち着いた頃。
赤嶺家の食卓は、椅子がひとつ減って、
静かになった。
そして静子は――
再び“ひとり暮らし”を始めることにした。
もちろん、家族会議は大揉めだった。
美香:「おばあちゃん、本当にひとりで大丈夫?」
アキラ:「うち来たらいいやん」
美鈴:「週に何回かは様子見に行くよ」
優馬:「ばあちゃん、料理当番は俺が――」
静子:「あんた、料理して火ぃ出したらどうすっとね」
優馬:「ぐぬぬぬ……」
でも、静子はゆっくり笑って言った。
「じいさんに先立たれて寂しくないわけない。
でもね……寂しいからって誰かに寄りかかってばっかりもいかんのよ。
“ひとりの生活を楽しむ”ことも、わしの残りの人生やけん。」
⸻
◆ 畑に戻る静子
それから静子は、また早朝の畑に戻った。
まだ薄暗いうちから帽子をかぶって外に出る。
土の匂い。
朝露の冷たさ。
遠くで鳴く鳥の声。
鍬を握り、雑草を抜き、土を慣らし、苗を植える。
「じいさん……
あんたが育てよったトマト、今年はわしが責任持ってやるけんね」
ふと、風が吹いて、
麦わら帽子がカサリと揺れる。
その風に、安三郎が
“ほーっ、まだまだ動けるやないか〜”
と笑っている気がした。
静子は、苦笑しながら鍬を動かす。
「ったく……あんたは天国行っても騒がしかねぇ」
⸻
◆ 家族が訪れる日々
ひとり暮らしとはいえ、
静子の家は誰もが帰って来られる“第二の我が家”のまま。
◆ アキラ&美香(春介・春海を連れて)
「ばあちゃん、これ差し入れ」
「おぉ、美香ちゃんの煮物は上品でよかねぇ」
◆ 光子・優子
「ばあちゃん、ほら! 畑の草むしり手伝う〜!」
「いやこら、そげん根っこごと抜かんでよか!」
◆ 春介(15)
「ばぁちゃん、これジャガ芋の土寄せ、俺がやっとく」
「あんた、力はあるばってん不器用やけん気ぃつけてよ」
◆ 春海(15)
「ばあちゃん、今日の晩ごはん、何つくると?」
「鶏のみぞれ煮よ。あんたの好物やろ?」
こうして賑やかに出入りするから、
“完全にひとり”になる日は意外と少なかった。
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◆ 夜になると、ふっと寂しくなる
しかし夜。
食卓に、ひとり分の皿を並べて座ると、
やはり胸の奥に、
ぽつんと穴が空く。
安三郎が座っていた席。
ご飯をよそうときの「おぉ美味そうやんけ!」
テレビを見ながらのしょーもないエロネタ。
寝る前に「ほな、また明日な〜」と笑って言っていた声。
静子は、ひとり湯呑みに手を添える。
「……寂しかねぇ。
そりゃ、寂しかよ。
ばってん……あんたがおらんでも、生きていかないかんけん」
ぽつりとつぶやいて、
湯呑みの温かさを手に感じる。
⸻
◆ 小さな幸せの形
庭で育った野菜を自分で収穫し、
茹でて味噌で食べる。
畑の端に座って、夕焼けを見る。
ラジオをつけて、家族の出演番組を録音する。
光子と優子がテレビでギャグを飛ばしたら笑う。
美香のトロンボーンに涙ぐむ。
そんな小さな時間ひとつひとつが、
静子にとって“夫婦の残り香”になっていた。
「安三郎、見とるよね。
わしは大丈夫。
ひとりでも笑って生きるけんね」
風がまた、そよそよと畑を撫でる。
まるで天国から
“うんうん、よう言うた!”
と背中を押してくれるようだった。
⸻
◆ こうして——
静子ばあちゃんは
寂しさを抱えながらも、
ひとりの生活を丁寧に楽しむ日々を送り始めた。
畑と、家族と、思い出と、そして笑い。
静かだけれど、温かい。
そんな第二の人生の扉が、
ゆっくりと開いていくのだった。
◆ 畑帰りの夕方ラジオ
その日の夕方。
畑仕事をひと段落させて家に戻った静子は、
湯呑みにお茶をそそぎ、いつものようにラジオのスイッチを入れた。
カチッ。
ジジジッ……と少しノイズのあと、
おなじみのオープニングジングルが流れ出す。
♪ M&Yの〜
「フライデー爆笑ラジオカフェ!」
「ふふ……始まったねぇ」
静子は、テーブルの上にラジオを置き、
録音ボタンをポンと押した。
光子:
「どーもどーもどーも、
博多の光の戦士、青柳光子でーす!」
優子:
「そして、世界の“やさしか子”こと、柳川優子です。
今週もフライデー爆笑ラジオカフェ、フルパワーでやっていきまーす!」
「はいはい、世界のやさしか子ねぇ」
静子は笑いながら相づちを打つ。
⸻
◆ 今週のゲスト「とんずらー」
光子:
「さぁ、今日はですね〜、
若手お笑いコンビをゲストにお迎えしております!」
優子:
「いま福岡のライブハウス界隈で、
“逃げ足の速いボケ&ツッコミ”として話題の……」
光子:
「コンビ名がもうズルいよね。
**『とんずらー』**のお二人でーす!」
とんずらー・ボケ担当(修太):
「どうもー!
親に“まともな職につけ”と言われ続け、とんずらして芸人になりました、とんずらーの修太でーす!」
とんずらー・ツッコミ担当(智也):
「その横で、親戚一同に“あんたまでついて行ったんか!?”と言われたほう、智也です。よろしくお願いしまーす!」
静子は、ぷっと吹き出した。
「なん、この子たち。最初から“逃げとる宣言”やないの」
⸻
◆ ばあちゃん、ひとりで大笑い
優子:
「いやぁ、とんずらーの二人は、
わたしたちと同じく、もともと逃げがち人生やったそうで」
修太:
「そうそう。テストから逃げ、部活のバテバテメニューから逃げ、
最後は就職活動からも逃げまして」
智也:
「逃げた先にあったのが、なぜか“お笑いライブ会場”というね」
光子:
「ある意味、攻めとるやん!」
優子:
「**“逃げ続けたら最前線に出てしまった芸人”**って新ジャンルやね」
静子:「うまいこと言うねぇ」
光子:
「でもさ、“逃げてきた先”で、
本気で頑張っとる二人って感じがするっちゃんね」
優子:
「ネタ合わせ、1日どれくらいしようと?」
智也:
「長い日で5〜6時間ですね」
修太:
「で、合間に現実からとんずら〜」
智也:
「おい、そこで逃げるな! 仕事せんか!」
リビングに、静子の笑い声が響く。
「こら、うちの台所で腹筋鍛えさせんでよ〜。
ひとり暮らしん家と思えんくらい賑やかやん」
⸻
◆ 天国へも届くラジオ
番組中盤。
メール紹介コーナー。
優子:
「はい、ここからはリスナーさんからのおたより紹介のコーナーです」
光子:
「まずはラジオネーム“畑の静かな戦士”さん」
優子:
「……はい、名前からしてすでに怪しいですね」
光子:
「怪しゅうないわい。
えーと、『畑仕事の合間に、いつもラジオ聴いて笑わせてもろうてます。
先日、長年連れ添ったじいさんを見送りました。
エロ大魔王と呼ばれよった、口の悪いけど憎めん人でした。
あの世でもきっと、誰かにつまらんエロ話ばしよると思います。
あの人の分まで、私も笑って生きますけん。
これからも、アホな話をたくさん届けてくださいね。』」
読みながら、光子の声が少しだけ柔らかくなる。
優子:
「……あー、これたぶん、あれやね」
光子:
「うちらの“ひいじいちゃん”の話よね」
優子:
「うん。
“初代エロ大魔王”こと、赤嶺安三郎ひいじいちゃん」
静子は、一瞬ぴたりと手を止めた。
(……気づいとるやん、この子たち)
光子:
「ひいじいちゃんね、
『わしが死んだら、葬式ん時にエロ談義で爆笑して送り出せ』って遺言残してって」
優子:
「実際、爆笑葬儀になりましたけども」
光子:
「でもね、そのおかげで、
“別れの悲しさ”やなくて、“一緒に生きてきた面白さ”のほうを
ようけ思い出すようになった気がするとよ」
優子:
「ラジオネーム“畑の静かな戦士”さん」
光子:
「きっと今ごろ、畑でニヤニヤしながら聞いとんしゃろうね〜」
静子:「……この子たち、ほんになんちゅうとね」
目頭を指でちょいと押さえながら、
笑いと一緒に、少しだけ涙がにじむ。
⸻
◆ とんずらーの一言
修太:
「なんか、いいですね」
智也:
「“笑い”って、葬式の場でも、ちゃんと味方になってくれるんやなぁって」
修太:
「うちのじいちゃんは、
『葬式で泣いた回数だけ、後で笑い話増やせ』って言いよったですね」
智也:
「お、それええな」
光子:
「とんずらー、ええこと言うやん!」
優子:
「逃げてばっかりかと思ったら、
たまに名言ぶっこんでくるタイプやね」
修太:
「“逃げてもいいけど、笑いからは逃げんほうがいい”
って最近思いよります」
智也:
「あ、それ今日イチやわ」
光子:
「今日イチ出た!」
優子:
「“逃げ芸人”のくせに締めがカッコいいってどういうこと?」
静子は、ぽんと膝を叩いた。
「そうたいねぇ……
笑いから逃げんやったら、なんとかなるとよ」
⸻
◆ ひとりじゃない夜
番組のエンディング。
光子:
「というわけで、今週のゲスト、とんずらーのお二人でした〜!」
智也:
「ありがとうございました〜!」
修太:
「逃げ足だけは速いですけど、また呼んでください〜!」
優子:
「みんな、逃げ足はほどほどにね〜」
光子:
「では、来週もまた、“心の電気をつける一時間”をお届けします。
ここまでのお相手は、青柳光子と」
優子:
「柳川優子でした。
みんな、今週も“笑って元気に”いきんしゃいね〜!」
ジングルが流れ、番組が終わる。
ラジオから音が消えた部屋で、
静子はしばらく、余韻のように笑ったまま座っていた。
「……ひいじいちゃん」
ふと、仏間のほうを振り返る。
遺影の中で、
安三郎がいつもの笑顔で笑っている。
「聞いた? あんたのこと、ラジオで言いよったよ。
“初代エロ大魔王”やって」
自分で言って、自分で吹き出す。
「天国でも、ようけ笑い取ってきんしゃいね。
こっちはこっちで、あの子らがしっかり笑わせてくれよるけん」
湯呑みのお茶をひと口飲んで、
ふぅっと息をつく。
さっきまでよりも、
少しだけ胸の中があたたかい。
ひとり暮らしの家。
だけど、ラジオの向こうには
光子と優子がいて、
新しい若手芸人がいて、
笑い声がちゃんと届く。
(ひとりやけど、ひとりやないね)
静子は、
録音済みのカセットテープをそっとラベルに書き込んだ。
フライデー爆笑ラジオカフェ
ゲスト:とんずらー
ひいじいちゃんの話あり』
「よし、これはじいさんにも聴かせたかった一回やね」
そうつぶやきながら、
テープを棚の一角に並べる。
その棚にはもう、
これまでの放送がぎっしり並んでいた。
笑いと、思い出と、家族の声。
静子の“ひとり暮らしの夜”を照らす、
大事な宝物たちだった。
◆ テレビをつけたら、そこは“ファイブピーチ★祭”
ラジオを切り、
「ちょっと休もうかねぇ」とつぶやきながら
静子がテレビのリモコンを手に取る。
ピッ。
映ったのは――
ちょうど始まったばかりのバラエティ音楽特番。
画面いっぱいに、派手なピンクとオレンジの照明。
その真ん中で跳ね回っているのは……
ファイブピーチ★
ピーチブロッサム★
静子:「あらまぁ、今日は豪華やねぇ〜」
⸻
◆ オープニングから全力の“素の笑顔”
ステージに勢ぞろいしたファイブピーチ★。
光子と優子はもちろん、
美香、奏太、小春が、観客席へ手を振っている。
その後ろでは、
陽翔、結音、燈真、灯乃、悠翔、彩羽たち
“ピーチブロッサム★”も小さくぴょんぴょん跳ねていた。
光子:「こんばんは〜っ!
うちはファイブピーチ★、今日も全員、元気満タンでーす!」
優子:「ギャグ補給完了っ!どこからでもかかってこんね〜!」
美香:「音楽担当の美香です。今日は真面目に行く……つもりでした」
小春:「(小声)……だったよね?」
奏太:「いやいや、今日の台本に“真面目”って文字なかったやろ!」
客席:ドッ!!
静子:「なんやこの子ら……
楽しんどるっちゅうか、
もう遊びに来とるノリやんね」
⸻
◆ ピーチブロッサム★まさかの“開幕ウィンク連射事件”
アナウンサー
「そして今回は特別に、次世代ユニット“ピーチブロッサム★”も参加しています!」
カメラが子どもたちに寄る。
陽翔
「きょうは〜、おじいちゃんとおばあちゃんに、ウィンクおくる〜!」
→ 両目でウィンクしようとして、ただの“目パチパチ”になる。
結音
「あのね〜、きょうは〜……えーっと、忘れた!」
光子:「はい突っ込んだー!」
結音:「えへへ〜」
静子:「……かわいかねぇ〜」
ほっぺがとろける。
燈真
「じゃあぼく、“ひとりだけ必殺技”する!」
何かと思ったら――
突然の“うんばぁ〜決め顔”
(※ふわもちぷにすけ直伝)
灯乃と悠翔が同時に叫ぶ:
「それ反則やろーーー!!」
彩羽が後ろで
**“ニュルッと肩から顔を出す”**必殺技(美咲師匠直伝)を発動。
観客席:
「きゃああああ!!かわいい!!」
静子:「あー、もう……
この家、子どもまで芸人気質になっとるやん。
どげんすっと?」
⸻
◆ 歌コーナー:真面目に始まるはずが……
美香:「それでは一曲目、“虹色スキップ・マーチ”どうぞ!」
♪〜(軽快なブラス)
歌い出しは完璧。
フォーメーションもビシッと決まる。
――が。
燈真がリズムにノッて
勢い余って転ぶ。
それを見た陽翔と結音も
わざと転んで“連鎖コケ”。
光子・優子
「やめんかー!!ライブ中やぞーー!!」
でも笑いながら言ってる。
ファンもスタッフも
「またやりよる!」と爆笑。
静子はお腹を抱えた。
「この子らはねぇ……
“ウケ狙い”やなくて、
自然体がもう面白いとよね。
ほんと、それが一番よ」
⸻
◆ 番組後半:ファイブピーチ★の“ガチ演奏”
ドタバタのあと、急に照明が落ち、
静かなピアノの音。
美香:「……それでは次の曲は、
家族を思いながら作った『いつかの青空へ』をお届けします」
空気が変わる。
笑いの後の“本気の音楽”。
光子の澄んだハイトーン。
優子のあたたかい低めのメロ。
奏太のギター。
小春の透明なコーラス。
静子の目尻が、自然にゆるんでいく。
(ほんと、いい歌やねぇ……)
⸻
◆ 最後まで“やりたい放題”
番組ラスト。
MCが締めようとした瞬間――
ピーチブロッサム★が走り込む。
陽翔:「さいごにーー!!“必殺ハイパー誘惑ウィンク”!!」
結音:「そして“うんばぁ〜”!」
全員:「ピーチギャラクシー∞!!」
スタジオ爆笑。
観客総立ち。
MCが声を裏返して叫ぶ。
「やめろー!!まだ締めてない!!」
でもファイブピーチ★は大笑いしながら言う。
光子:「いいやろ?楽しんどるけん!」
優子:「うちらが楽しんだら、みんなも楽しくなるっちゃ!」
静子はテレビを見ながら、
ふっと優しく微笑んだ。
「そうやねぇ……
あの子らは“与える側”やなくて、
自分たちが楽しんで、その笑顔が伝染していくタイプやね。
見てるこっちまで元気になる」
ラジオも、テレビも。
孫たちも、ひ孫たちも。
みんな笑顔で、楽しそうで。
静子は湯呑みを置き、
ぽつりとつぶやいた。
「……あんた、見とるやろ?
安三郎さん。
うちらの家族、今日も賑やかやねぇ」
天国の“初代エロ大魔王”にも、
きっと届いている――そんな気がした。
◆ 爆笑発電所・年末特番
「家族バクロ合戦SP」
福岡のホールは満席。
ステージ中央にはドーンとでかいタイトルが光る。
《爆笑発電所 年末大感謝まつり
家族バクロ合戦SP》
MCの芸人が、ニヤニヤしながらマイクを握る。
MC:
「さぁ続いては〜、この番組ではすっかりおなじみ、
“未来のWボケ車掌”こと、この二人です!
双春ーー!!」
スポットライトの中に、制服風衣装の春介と春海(15)が登場。
客席:
「キャーー!!」「双春きたー!!」
春介:
「どうも〜! 春をふたつ、にこひとつ!」
春海:
「安全運行でまいりまーす!」
二人:
「双春です、よろしくお願いしまーす!」
拍手と歓声。
客席にはファイブピーチ★、ピーチシード★のメンバー、家族席も映る。
⸻
◆ ネタテーマ「家系に受け継がれるエロ大魔王」
春介:
「今日はですね、我が家にまつわる、
**“エロ大魔王一族の悲しい物語”**をお届けしたいと思います」
客席:もうこの時点でざわざわ&笑い。
春海:
「ちょっと待って。タイトルからアウト臭しかしとらんけど」
春介:
「まず初代エロ大魔王、ひいじいちゃん」
春海:
「はい、これはもう、家族全員一致で“殿堂入り”」
客席、モニターに安三郎の遺影+「初代エロ大魔王」のテロップ。
どっと笑い。
春介:
「で、そのひいじいちゃんが亡くなったあと、
家の片付けしよったら出てきたんですよね」
春海:
「“絶対開けるな”って書いてある段ボール。」
春介:
「開けるわ!!」
春海:
「むしろ開けろ言いよるやん」
客席:ドッ。
春介:
「開けたら中に何が入っとったか。
ここで問題です。せーの!」
観客:
「えっちなDVDーー!!」
春海:
「正解率100%やったね」
カメラが客席の優馬を抜く。
膝に手を置いて項垂れている。
テロップ:
《本日の被害者その1/二代目エロ大魔王候補・小倉優馬》
⸻
◆ おじいちゃんの「大切な遺品発言」
春介:
「で、リビングに集まって家族会議ですよ」
春海:
「ひいじいちゃんの遺品としての、エッチなDVD」
春介:
「おばあちゃん(静子ばあちゃん)が言うわけです」
“これ、どうしよっかねぇ”」
春海:
「そしたらうちのおじいちゃんが、すっと前に出てきて」
春介:
「“あの……大切な遺品ですので、私が責任をもって保管を……”」
客席:大爆笑。
春海:
「ここで会場のみなさん、よく考えてほしい」
「誰が信じるかそんな言い訳。」
春介:
「全国の視聴者のみなさんもご一緒に。
せーの!」
観客:
「どの口が言いよるとーー!!」
モニターに、スタジオ合成で
「優馬の口」アップ&×印テロップ。
光子:
「編集さん仕事が早い!」
優子:
「ほんとにテレビでやるとは思わんかった…」
⸻
◆ スーパーこちょこちょの刑・15歳目線
春海:
「でね、そこからが地獄絵図ですよ」
春介:
「お母さん、美鈴ばあちゃん、光子おばちゃん、優子おばちゃんの
“四天王”が立ち上がりまして」
春海:
「おじいちゃん、ソファーに押し倒されて」
春介:
「“スーパーこちょこちょの刑”執行」
春海:
「15歳の俺たちから見ても、
あれはもはや公開処刑。」
春介:
「横で俺ら見ながら思ったもん。
“じいちゃん、人として何かを失ったな”って」
客席:ドカーン。
優馬、椅子で崩れ落ちそうになってる。
美鈴は膝叩いて涙目で笑っている。
⸻
◆ DVD売却のくだり
春海:
「で、そのあとどうなったかっていうと」
春介:
「エッチなDVD一式、全部まとめて中古ショップ行きですよ」
春海:
「ここでうちのお母さんのセリフがこれ」
“これで赤嶺家も小倉家も、ちょっとは浄化されるばい”
春介:
「どんな家系なん、それ」
観客:笑。
春介:
「で、気になる査定額ですよ」
春海:
「ひいじいちゃんのロマンと、おじいちゃんの野望が詰まったあの箱が——」
春介&春海(声をそろえて):
「3,280円。」
一拍おいてから、客席、爆発。
春介:
「ひいじいちゃんの人生の趣味、3,000円台で片付いてもうた」
春海:
「リサイクルって残酷やね」
⸻
◆ ダメ押しのオチ
春介:
「でね、その帰り道、おじいちゃんがボソッと言うたんですよ」
“環境のためには……しゃあないもんな”」
春海:
「急にSDGs意識し出すな!」
客席:大爆笑。
春介:
「その日からうちのおじいちゃん “サステナブル”って単語聞くたびに、
遠くを見る目をするようになりました」
春海:
「たぶん心の中で、
“あのコレクションもリサイクルされたんかな……”って」
春介:
「いや、おじいちゃん」
「そこは未練を捨てろ。」
締めの一言。
春海:
「というわけで、我が家の教訓」
「“エロ大魔王の血は受け継いでも、
DVDは受け継がない”」
春介:
「以上、双春でした!
春をふたつ、にこひとつ——」
二人:
「今後も安全運行でまいります!!」
客席スタンディングオベーション。
笑いすぎて席にもどれない人多数。
画面に「魂抜けかけ注意」のテロップまで出る。
⸻
◆ 客席&天国サイド
カメラが家族席を抜く。
・優馬:
テーブルに突っ伏して白目(テロップ:本日の最大被害者)
・美鈴:
「いや〜よう言うた! あんたら最高や!」と号泣しながら爆笑。
・光子&優子:
「テレビ全国放送でやる!?そこまで暴露する!?
でもめっちゃオモロかった…!」と笑い転げている。
・春介&春海の後輩芸人たち:
「先輩マジで頭おかしい(褒め言葉)」と拍手。
——そして、どこか雲の上、天国サイド。
安三郎:
「はっはっはっは!
ワシのDVDで、こんだけ笑い取っとるなら本望やないか〜!!」
周りの天国住人たち:
「おじいさん、腹筋返して……!
こっちでも魂飛びかけとる!!」
⸻
こうして。
**「ひいじいちゃんのエッチなDVD処分事件」**は、
爆笑発電所の公式ネタとして全国に知れ渡り、
スタジオの観客も、テレビの前の視聴者も、
そして天国の安三郎までもが、
一瞬「あっち側」に魂が飛びかけるほどの
伝説級ギャグとして刻まれることになったのだった。




