表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/90

静子ばあちゃん、ひとり暮らしの再スタート

◆ 静子ばあちゃん、ひとり暮らしの再スタート


安三郎を見送り、

四十九日も過ぎて、少し落ち着いた頃。


赤嶺家の食卓は、椅子がひとつ減って、

静かになった。


そして静子は――

再び“ひとり暮らし”を始めることにした。


もちろん、家族会議は大揉めだった。


美香:「おばあちゃん、本当にひとりで大丈夫?」

アキラ:「うち来たらいいやん」

美鈴:「週に何回かは様子見に行くよ」

優馬:「ばあちゃん、料理当番は俺が――」

静子:「あんた、料理して火ぃ出したらどうすっとね」

優馬:「ぐぬぬぬ……」


でも、静子はゆっくり笑って言った。


「じいさんに先立たれて寂しくないわけない。

 でもね……寂しいからって誰かに寄りかかってばっかりもいかんのよ。

 “ひとりの生活を楽しむ”ことも、わしの残りの人生やけん。」



◆ 畑に戻る静子


それから静子は、また早朝の畑に戻った。


まだ薄暗いうちから帽子をかぶって外に出る。

土の匂い。

朝露の冷たさ。

遠くで鳴く鳥の声。


鍬を握り、雑草を抜き、土を慣らし、苗を植える。


「じいさん……

 あんたが育てよったトマト、今年はわしが責任持ってやるけんね」


ふと、風が吹いて、

麦わら帽子がカサリと揺れる。


その風に、安三郎が

“ほーっ、まだまだ動けるやないか〜”

と笑っている気がした。


静子は、苦笑しながら鍬を動かす。


「ったく……あんたは天国行っても騒がしかねぇ」



◆ 家族が訪れる日々


ひとり暮らしとはいえ、

静子の家は誰もが帰って来られる“第二の我が家”のまま。


◆ アキラ&美香(春介・春海を連れて)

「ばあちゃん、これ差し入れ」

「おぉ、美香ちゃんの煮物は上品でよかねぇ」


◆ 光子・優子

「ばあちゃん、ほら! 畑の草むしり手伝う〜!」

「いやこら、そげん根っこごと抜かんでよか!」


◆ 春介(15)

「ばぁちゃん、これジャガ芋の土寄せ、俺がやっとく」

「あんた、力はあるばってん不器用やけん気ぃつけてよ」


◆ 春海(15)

「ばあちゃん、今日の晩ごはん、何つくると?」

「鶏のみぞれ煮よ。あんたの好物やろ?」


こうして賑やかに出入りするから、

“完全にひとり”になる日は意外と少なかった。



◆ 夜になると、ふっと寂しくなる


しかし夜。


食卓に、ひとり分の皿を並べて座ると、

やはり胸の奥に、

ぽつんと穴が空く。


安三郎が座っていた席。

ご飯をよそうときの「おぉ美味そうやんけ!」

テレビを見ながらのしょーもないエロネタ。

寝る前に「ほな、また明日な〜」と笑って言っていた声。


静子は、ひとり湯呑みに手を添える。


「……寂しかねぇ。

 そりゃ、寂しかよ。

 ばってん……あんたがおらんでも、生きていかないかんけん」


ぽつりとつぶやいて、

湯呑みの温かさを手に感じる。



◆ 小さな幸せの形


庭で育った野菜を自分で収穫し、

茹でて味噌で食べる。

畑の端に座って、夕焼けを見る。

ラジオをつけて、家族の出演番組を録音する。

光子と優子がテレビでギャグを飛ばしたら笑う。

美香のトロンボーンに涙ぐむ。


そんな小さな時間ひとつひとつが、

静子にとって“夫婦の残り香”になっていた。


「安三郎、見とるよね。

 わしは大丈夫。

 ひとりでも笑って生きるけんね」


風がまた、そよそよと畑を撫でる。


まるで天国から

“うんうん、よう言うた!”

と背中を押してくれるようだった。



◆ こうして——


静子ばあちゃんは

寂しさを抱えながらも、

ひとりの生活を丁寧に楽しむ日々を送り始めた。


畑と、家族と、思い出と、そして笑い。


静かだけれど、温かい。

そんな第二の人生の扉が、

ゆっくりと開いていくのだった。




◆ 畑帰りの夕方ラジオ


その日の夕方。

畑仕事をひと段落させて家に戻った静子は、

湯呑みにお茶をそそぎ、いつものようにラジオのスイッチを入れた。


カチッ。


ジジジッ……と少しノイズのあと、

おなじみのオープニングジングルが流れ出す。


♪ M&Yの〜

 「フライデー爆笑ラジオカフェ!」


「ふふ……始まったねぇ」


静子は、テーブルの上にラジオを置き、

録音ボタンをポンと押した。


光子ラジオ

「どーもどーもどーも、

 博多の光の戦士、青柳光子でーす!」

優子:

「そして、世界の“やさしか子”こと、柳川優子です。

 今週もフライデー爆笑ラジオカフェ、フルパワーでやっていきまーす!」


「はいはい、世界のやさしか子ねぇ」

静子は笑いながら相づちを打つ。



◆ 今週のゲスト「とんずらー」


光子:

「さぁ、今日はですね〜、

 若手お笑いコンビをゲストにお迎えしております!」

優子:

「いま福岡のライブハウス界隈で、

 “逃げ足の速いボケ&ツッコミ”として話題の……」

光子:

「コンビ名がもうズルいよね。

 **『とんずらー』**のお二人でーす!」


とんずらー・ボケ担当(修太):

「どうもー!

 親に“まともな職につけ”と言われ続け、とんずらして芸人になりました、とんずらーの修太でーす!」

とんずらー・ツッコミ担当(智也):

「その横で、親戚一同に“あんたまでついて行ったんか!?”と言われたほう、智也です。よろしくお願いしまーす!」


静子は、ぷっと吹き出した。


「なん、この子たち。最初から“逃げとる宣言”やないの」



◆ ばあちゃん、ひとりで大笑い


優子:

「いやぁ、とんずらーの二人は、

 わたしたちと同じく、もともと逃げがち人生やったそうで」

修太:

「そうそう。テストから逃げ、部活のバテバテメニューから逃げ、

 最後は就職活動からも逃げまして」

智也:

「逃げた先にあったのが、なぜか“お笑いライブ会場”というね」

光子:

「ある意味、攻めとるやん!」

優子:

「**“逃げ続けたら最前線に出てしまった芸人”**って新ジャンルやね」


静子:「うまいこと言うねぇ」


光子:

「でもさ、“逃げてきた先”で、

 本気で頑張っとる二人って感じがするっちゃんね」

優子:

「ネタ合わせ、1日どれくらいしようと?」

智也:

「長い日で5〜6時間ですね」

修太:

「で、合間に現実からとんずら〜」

智也:

「おい、そこで逃げるな! 仕事せんか!」


リビングに、静子の笑い声が響く。


「こら、うちの台所で腹筋鍛えさせんでよ〜。

 ひとり暮らしん家と思えんくらい賑やかやん」



◆ 天国へも届くラジオ


番組中盤。

メール紹介コーナー。


優子:

「はい、ここからはリスナーさんからのおたより紹介のコーナーです」

光子:

「まずはラジオネーム“畑の静かな戦士”さん」

優子:

「……はい、名前からしてすでに怪しいですね」

光子:

「怪しゅうないわい。

 えーと、『畑仕事の合間に、いつもラジオ聴いて笑わせてもろうてます。

  先日、長年連れ添ったじいさんを見送りました。

  エロ大魔王と呼ばれよった、口の悪いけど憎めん人でした。

  あの世でもきっと、誰かにつまらんエロ話ばしよると思います。

  あの人の分まで、私も笑って生きますけん。

  これからも、アホな話をたくさん届けてくださいね。』」


読みながら、光子の声が少しだけ柔らかくなる。


優子:

「……あー、これたぶん、あれやね」

光子:

「うちらの“ひいじいちゃん”の話よね」

優子:

「うん。

 “初代エロ大魔王”こと、赤嶺安三郎ひいじいちゃん」


静子は、一瞬ぴたりと手を止めた。


(……気づいとるやん、この子たち)


光子:

「ひいじいちゃんね、

 『わしが死んだら、葬式ん時にエロ談義で爆笑して送り出せ』って遺言残してって」

優子:

「実際、爆笑葬儀になりましたけども」

光子:

「でもね、そのおかげで、

 “別れの悲しさ”やなくて、“一緒に生きてきた面白さ”のほうを

 ようけ思い出すようになった気がするとよ」

優子:

「ラジオネーム“畑の静かな戦士”さん」

光子:

「きっと今ごろ、畑でニヤニヤしながら聞いとんしゃろうね〜」


静子:「……この子たち、ほんになんちゅうとね」


目頭を指でちょいと押さえながら、

笑いと一緒に、少しだけ涙がにじむ。



◆ とんずらーの一言


修太:

「なんか、いいですね」

智也:

「“笑い”って、葬式の場でも、ちゃんと味方になってくれるんやなぁって」

修太:

「うちのじいちゃんは、

 『葬式で泣いた回数だけ、後で笑い話増やせ』って言いよったですね」

智也:

「お、それええな」

光子:

「とんずらー、ええこと言うやん!」

優子:

「逃げてばっかりかと思ったら、

 たまに名言ぶっこんでくるタイプやね」


修太:

「“逃げてもいいけど、笑いからは逃げんほうがいい”

 って最近思いよります」

智也:

「あ、それ今日イチやわ」

光子:

「今日イチ出た!」

優子:

「“逃げ芸人”のくせに締めがカッコいいってどういうこと?」


静子は、ぽんと膝を叩いた。


「そうたいねぇ……

 笑いから逃げんやったら、なんとかなるとよ」



◆ ひとりじゃない夜


番組のエンディング。


光子:

「というわけで、今週のゲスト、とんずらーのお二人でした〜!」

智也:

「ありがとうございました〜!」

修太:

「逃げ足だけは速いですけど、また呼んでください〜!」

優子:

「みんな、逃げ足はほどほどにね〜」

光子:

「では、来週もまた、“心の電気をつける一時間”をお届けします。

 ここまでのお相手は、青柳光子と」

優子:

「柳川優子でした。

 みんな、今週も“笑って元気に”いきんしゃいね〜!」


ジングルが流れ、番組が終わる。


ラジオから音が消えた部屋で、

静子はしばらく、余韻のように笑ったまま座っていた。


「……ひいじいちゃん」


ふと、仏間のほうを振り返る。


遺影の中で、

安三郎がいつもの笑顔で笑っている。


「聞いた? あんたのこと、ラジオで言いよったよ。

 “初代エロ大魔王”やって」


自分で言って、自分で吹き出す。


「天国でも、ようけ笑い取ってきんしゃいね。

 こっちはこっちで、あの子らがしっかり笑わせてくれよるけん」


湯呑みのお茶をひと口飲んで、

ふぅっと息をつく。


さっきまでよりも、

少しだけ胸の中があたたかい。


ひとり暮らしの家。

だけど、ラジオの向こうには

光子と優子がいて、

新しい若手芸人がいて、

笑い声がちゃんと届く。


(ひとりやけど、ひとりやないね)


静子は、

録音済みのカセットテープをそっとラベルに書き込んだ。


フライデー爆笑ラジオカフェ

 ゲスト:とんずらー

 ひいじいちゃんの話あり』


「よし、これはじいさんにも聴かせたかった一回やね」


そうつぶやきながら、

テープを棚の一角に並べる。


その棚にはもう、

これまでの放送がぎっしり並んでいた。


笑いと、思い出と、家族の声。

静子の“ひとり暮らしの夜”を照らす、

大事な宝物たちだった。





◆ テレビをつけたら、そこは“ファイブピーチ★祭”


ラジオを切り、

「ちょっと休もうかねぇ」とつぶやきながら

静子がテレビのリモコンを手に取る。


ピッ。


映ったのは――

ちょうど始まったばかりのバラエティ音楽特番。


画面いっぱいに、派手なピンクとオレンジの照明。

その真ん中で跳ね回っているのは……


ファイブピーチ★


ピーチブロッサム★


静子:「あらまぁ、今日は豪華やねぇ〜」



◆ オープニングから全力の“素の笑顔”


ステージに勢ぞろいしたファイブピーチ★。

光子と優子はもちろん、

美香、奏太、小春が、観客席へ手を振っている。


その後ろでは、

陽翔、結音、燈真、灯乃、悠翔、彩羽たち

“ピーチブロッサム★”も小さくぴょんぴょん跳ねていた。


光子:「こんばんは〜っ!

    うちはファイブピーチ★、今日も全員、元気満タンでーす!」

優子:「ギャグ補給完了っ!どこからでもかかってこんね〜!」

美香:「音楽担当の美香です。今日は真面目に行く……つもりでした」

小春:「(小声)……だったよね?」

奏太:「いやいや、今日の台本に“真面目”って文字なかったやろ!」


客席:ドッ!!


静子:「なんやこの子ら……

    楽しんどるっちゅうか、

    もう遊びに来とるノリやんね」



◆ ピーチブロッサム★まさかの“開幕ウィンク連射事件”


アナウンサー


「そして今回は特別に、次世代ユニット“ピーチブロッサム★”も参加しています!」


カメラが子どもたちに寄る。


陽翔はると


「きょうは〜、おじいちゃんとおばあちゃんに、ウィンクおくる〜!」

→ 両目でウィンクしようとして、ただの“目パチパチ”になる。


結音ゆのん


「あのね〜、きょうは〜……えーっと、忘れた!」


光子:「はい突っ込んだー!」


結音:「えへへ〜」


静子:「……かわいかねぇ〜」


ほっぺがとろける。


燈真とうま


「じゃあぼく、“ひとりだけ必殺技”する!」


何かと思ったら――

突然の“うんばぁ〜決め顔”

(※ふわもちぷにすけ直伝)


灯乃ひの悠翔ゆうとが同時に叫ぶ:


「それ反則やろーーー!!」


彩羽いろはが後ろで

**“ニュルッと肩から顔を出す”**必殺技(美咲師匠直伝)を発動。


観客席:

「きゃああああ!!かわいい!!」


静子:「あー、もう……

    この家、子どもまで芸人気質になっとるやん。

    どげんすっと?」



◆ 歌コーナー:真面目に始まるはずが……


美香:「それでは一曲目、“虹色スキップ・マーチ”どうぞ!」


♪〜(軽快なブラス)


歌い出しは完璧。

フォーメーションもビシッと決まる。


――が。


燈真がリズムにノッて

勢い余って転ぶ。


それを見た陽翔と結音も

わざと転んで“連鎖コケ”。


光子・優子


「やめんかー!!ライブ中やぞーー!!」


でも笑いながら言ってる。


ファンもスタッフも

「またやりよる!」と爆笑。


静子はお腹を抱えた。


「この子らはねぇ……

 “ウケ狙い”やなくて、

 自然体がもう面白いとよね。

 ほんと、それが一番よ」



◆ 番組後半:ファイブピーチ★の“ガチ演奏”


ドタバタのあと、急に照明が落ち、

静かなピアノの音。


美香:「……それでは次の曲は、

    家族を思いながら作った『いつかの青空へ』をお届けします」


空気が変わる。

笑いの後の“本気の音楽”。


光子の澄んだハイトーン。

優子のあたたかい低めのメロ。

奏太のギター。

小春の透明なコーラス。


静子の目尻が、自然にゆるんでいく。


(ほんと、いい歌やねぇ……)



◆ 最後まで“やりたい放題”


番組ラスト。

MCが締めようとした瞬間――


ピーチブロッサム★が走り込む。


陽翔:「さいごにーー!!“必殺ハイパー誘惑ウィンク”!!」

結音:「そして“うんばぁ〜”!」


全員:「ピーチギャラクシー∞!!」


スタジオ爆笑。

観客総立ち。

MCが声を裏返して叫ぶ。


「やめろー!!まだ締めてない!!」


でもファイブピーチ★は大笑いしながら言う。


光子:「いいやろ?楽しんどるけん!」

優子:「うちらが楽しんだら、みんなも楽しくなるっちゃ!」


静子はテレビを見ながら、

ふっと優しく微笑んだ。


「そうやねぇ……

 あの子らは“与える側”やなくて、

 自分たちが楽しんで、その笑顔が伝染していくタイプやね。

 見てるこっちまで元気になる」


ラジオも、テレビも。

孫たちも、ひ孫たちも。

みんな笑顔で、楽しそうで。


静子は湯呑みを置き、

ぽつりとつぶやいた。


「……あんた、見とるやろ?

 安三郎さん。

 うちらの家族、今日も賑やかやねぇ」


天国の“初代エロ大魔王”にも、

きっと届いている――そんな気がした。




◆ 爆笑発電所・年末特番

「家族バクロ合戦SP」


福岡のホールは満席。

ステージ中央にはドーンとでかいタイトルが光る。


《爆笑発電所 年末大感謝まつり

  家族バクロ合戦SP》


MCの芸人が、ニヤニヤしながらマイクを握る。


MC:

「さぁ続いては〜、この番組ではすっかりおなじみ、

 “未来のWボケ車掌”こと、この二人です!

 双春そうしゅんーー!!」


スポットライトの中に、制服風衣装の春介と春海(15)が登場。


客席:

「キャーー!!」「双春きたー!!」


春介:

「どうも〜! 春をふたつ、にこひとつ!」

春海:

「安全運行でまいりまーす!」

二人:

「双春です、よろしくお願いしまーす!」


拍手と歓声。

客席にはファイブピーチ★、ピーチシード★のメンバー、家族席も映る。



◆ ネタテーマ「家系に受け継がれるエロ大魔王」


春介:

「今日はですね、我が家にまつわる、

 **“エロ大魔王一族の悲しい物語”**をお届けしたいと思います」


客席:もうこの時点でざわざわ&笑い。


春海:

「ちょっと待って。タイトルからアウト臭しかしとらんけど」


春介:

「まず初代エロ大魔王、ひいじいちゃん」

春海:

「はい、これはもう、家族全員一致で“殿堂入り”」


客席、モニターに安三郎の遺影+「初代エロ大魔王」のテロップ。

どっと笑い。


春介:

「で、そのひいじいちゃんが亡くなったあと、

 家の片付けしよったら出てきたんですよね」

春海:

「“絶対開けるな”って書いてある段ボール。」


春介:

「開けるわ!!」

春海:

「むしろ開けろ言いよるやん」


客席:ドッ。


春介:

「開けたら中に何が入っとったか。

 ここで問題です。せーの!」

観客:

「えっちなDVDーー!!」


春海:

「正解率100%やったね」


カメラが客席の優馬を抜く。

膝に手を置いて項垂れている。


テロップ:

《本日の被害者その1/二代目エロ大魔王候補・小倉優馬》



◆ おじいちゃんの「大切な遺品発言」


春介:

「で、リビングに集まって家族会議ですよ」

春海:

「ひいじいちゃんの遺品としての、エッチなDVD」


春介:

「おばあちゃん(静子ばあちゃん)が言うわけです」

 “これ、どうしよっかねぇ”」


春海:

「そしたらうちのおじいちゃんが、すっと前に出てきて」

春介:

「“あの……大切な遺品ですので、私が責任をもって保管を……”」


客席:大爆笑。


春海:

「ここで会場のみなさん、よく考えてほしい」

「誰が信じるかそんな言い訳。」


春介:

「全国の視聴者のみなさんもご一緒に。

 せーの!」


観客:

「どの口が言いよるとーー!!」


モニターに、スタジオ合成で

「優馬の口」アップ&×印テロップ。


光子:

「編集さん仕事が早い!」

優子:

「ほんとにテレビでやるとは思わんかった…」



◆ スーパーこちょこちょの刑・15歳目線


春海:

「でね、そこからが地獄絵図ですよ」

春介:

「お母さん、美鈴ばあちゃん、光子おばちゃん、優子おばちゃんの

 “四天王”が立ち上がりまして」


春海:

「おじいちゃん、ソファーに押し倒されて」

春介:

「“スーパーこちょこちょの刑”執行」


春海:

「15歳の俺たちから見ても、

 あれはもはや公開処刑。」


春介:

「横で俺ら見ながら思ったもん。

 “じいちゃん、人として何かを失ったな”って」


客席:ドカーン。


優馬、椅子で崩れ落ちそうになってる。

美鈴は膝叩いて涙目で笑っている。



◆ DVD売却のくだり


春海:

「で、そのあとどうなったかっていうと」

春介:

「エッチなDVD一式、全部まとめて中古ショップ行きですよ」


春海:

「ここでうちのお母さんのセリフがこれ」

“これで赤嶺家も小倉家も、ちょっとは浄化されるばい”


春介:

「どんな家系なん、それ」


観客:笑。


春介:

「で、気になる査定額ですよ」

春海:

「ひいじいちゃんのロマンと、おじいちゃんの野望が詰まったあの箱が——」


春介&春海(声をそろえて):

「3,280円。」


一拍おいてから、客席、爆発。


春介:

「ひいじいちゃんの人生の趣味、3,000円台で片付いてもうた」

春海:

「リサイクルって残酷やね」



◆ ダメ押しのオチ


春介:

「でね、その帰り道、おじいちゃんがボソッと言うたんですよ」

“環境のためには……しゃあないもんな”」


春海:

「急にSDGs意識し出すな!」


客席:大爆笑。


春介:

「その日からうちのおじいちゃん “サステナブル”って単語聞くたびに、

 遠くを見る目をするようになりました」


春海:

「たぶん心の中で、

 “あのコレクションもリサイクルされたんかな……”って」


春介:

「いや、おじいちゃん」

「そこは未練を捨てろ。」


締めの一言。


春海:

「というわけで、我が家の教訓」

「“エロ大魔王の血は受け継いでも、

  DVDは受け継がない”」


春介:

「以上、双春でした!

 春をふたつ、にこひとつ——」

二人:

「今後も安全運行でまいります!!」


客席スタンディングオベーション。

笑いすぎて席にもどれない人多数。

画面に「魂抜けかけ注意」のテロップまで出る。



◆ 客席&天国サイド


カメラが家族席を抜く。


・優馬:

 テーブルに突っ伏して白目(テロップ:本日の最大被害者)


・美鈴:

 「いや〜よう言うた! あんたら最高や!」と号泣しながら爆笑。


・光子&優子:

 「テレビ全国放送でやる!?そこまで暴露する!?

  でもめっちゃオモロかった…!」と笑い転げている。


・春介&春海の後輩芸人たち:

 「先輩マジで頭おかしい(褒め言葉)」と拍手。


——そして、どこか雲の上、天国サイド。


安三郎:

「はっはっはっは!

 ワシのDVDで、こんだけ笑い取っとるなら本望やないか〜!!」


周りの天国住人たち:

「おじいさん、腹筋返して……!

 こっちでも魂飛びかけとる!!」



こうして。


**「ひいじいちゃんのエッチなDVD処分事件」**は、

爆笑発電所の公式ネタとして全国に知れ渡り、


スタジオの観客も、テレビの前の視聴者も、

そして天国の安三郎までもが、


一瞬「あっち側」に魂が飛びかけるほどの

伝説級ギャグとして刻まれることになったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ