旅スナップ大放出 ― 「爆笑編」「名所編」「歴史編」
旅スナップ大放出 ― 「爆笑編」「名所編」「歴史編」
りんくうタウンのホテルの一室。
子どもたちが寝静まり、大人4+祥子&隼の6人がテーブルを囲む。
光子
「そろそろ、ここまでの写真、ちゃんと出しとこっか」
優子
「タイムラインが“飯テロと浴衣と鉄道”でカオスになりつつあるしね」
翼
「分類しますか。今日は編集部モードやな」
拓実
「テーマは三本立てでどや。
①爆笑編 ②名所編 ③歴史編」
祥子
「マラソンでも、“ペース走”“インターバル”“ジョグ”って分けるしね。
写真もメリハリ大事」
隼
「じゃあ僕、撮影係として、データ出しますね」
① 爆笑編
まずは全員一番楽しそうなやつから。
・鳴門の渦潮バックに、全員変顔ジャンプ
・甲浦ホームで、「端っこなんかじゃない」のポーズで線路の先を指さすキッズ
・宿毛の湯上がり浴衣で、なぜか全員きれいに白目になった瞬間
・足摺岬で、風に煽られて髪がライオン化した光子
・高師浜で、砂に足がずぶっとハマって尻もちつく優子
優子
「これはもう、“爆笑発電所・変顔&事故写真スペシャル”やね」
光子
「笑いのためなら、多少の黒歴史は差し出します」
アップした投稿には、
「#爆笑発電所旅の記録」「#端っこなんかじゃないツアー」
などのタグをつけて一気に投下。
② 名所編
次はちゃんと“観光してますよ”アピール用。
・明石海峡大橋をバックに、やたらキメ顔の12人
・高浜港でフェリーと電車と海が一枚に収まった一枚
・四万十川と予土線の車両が一緒に映った奇跡のショット
・宇和島城天守から見下ろす街と海
・道後温泉本館前で、全員でポーズ
翼
「これはもう、普通に旅行パンフレットに載せられるレベルやろ」
拓実
「キャプションでふざけなければ、な」
で、そのキャプションがこれ。
『全部“仕事です”って顔しようとしたけど、
どう見てもただの全力で遊んでる大人たちです。』
優子
「ふざけるなって言われても無理〜」
③ 歴史編
そして最後に、
旅の“重心”でもある 歴史編。
・広島 平和記念公園の夕暮れと、黙祷のあとの後ろ姿
・呉の戦跡で、説明パネルを真剣に読む子どもたち
・足摺岬の断崖と、海に向かって歌っているシルエット
・宇和島城の石段で、息を切らしながらも笑っているショット
・播州赤穂の史跡前で、きちんと整列して頭を下げている一枚
光子
「これは、あんまり言葉盛りすぎんほうがいいよね」
優子
「うん。“楽しかった”だけやない旅の部分。
ちゃんと残したいところやけん」
キャプションは、いつもより少しだけ静かめに。
『笑いながら旅をしているけど、
その足もとには、いろんな時代の“泣きたい夜”が重なっている。
ちゃんと知って、ちゃんと笑いたいから、
みんなで歩いて、みんなで聞いて、みんなで見てきました。』
タイムライン、コメントの津波
3つの投稿をほぼ同時に上げた瞬間、
通知が鳴り止まなくなる。
爆笑編へのコメント
《鳴門の変顔ジャンプ、腹筋ちぎれる》
《宿毛の白目浴衣、スタンプ化希望》
《風に負けた光子さん、ライオンキングコラボですか?》
《“端っこなんかじゃないポーズ”全国で流行らせたい》
《子どもたちの笑顔が正義すぎる》
福岡本部アカ
「公式に、“白目も芸のうち”という認識でよろしいですね?」
徳島支部アカ
「甲浦でのあの日、実は後ろで拍手してたのうちです(小声)」
名所編へのコメント
《普通に観光パンフレット》《旅行会社さん案件では?》
《鉄道と景色の撮り方うますぎ》《予土線の写真、ポスター級》
《道後本館前、みんなのポーズが統一されてないのが逆に好き》
《“仕事のはずなのに、全力のオフ感”が最高》
ジュネーブ支部アカ
「“笑いと音楽で世界会議”やってる人たちのオフショット、
ぜんぜんオフじゃないエネルギー」
メルボルン支部アカ
「いつか“世界支部合同・線路ツアー”お願いします」
歴史編へのコメント
ここは、空気が少し変わる。
《笑ってる写真もいいけど、こういう写真が一番刺さる》
《戦争の展示を見ている子どもたちの後ろ姿、泣きそうになった》
《足摺岬で歌ってるシルエット、ずっと見ていたくなる》
《笑ってばかりじゃない旅だって伝わるのが、M&Yらしい》
《“ちゃんと知って、ちゃんと笑いたい”って言葉、大事にしたい》
LA支部アカ
「こっちの子どもたちにも見せたい写真です。」
ウクライナ支部っぽいフォロワー
「遠く離れていても、“祈ってくれている人がいる”って伝わります」
コメントの波を見ながら
スマホの画面を見つめる6人。
光子
「“爆笑編”だけでも、“名所編”だけでも、
“歴史編”だけでも、うちらじゃないよね」
優子
「この3つ全部混ざっとるのが、うちらの旅なんやな〜って、
コメント見ながら改めて思った」
翼
「真面目なコメントと、アホなコメントが同居してるタイムライン、好きやわ」
拓実
「どっちかだけやと、息切れするもんな」
祥子
「“走る”と一緒やね。
真面目に走るだけやとしんどいし、
ふざけてばかりでもゴール着かんし」
隼
「でも、ゴールしたあとに笑っていられたら、それでいいんだと思います」
光子
「よし。
じゃあこの旅、最後まで――
ちゃんと見て、ちゃんと笑って、ちゃんと伝えて 行こっか」
優子
「コメントくれたみんなのことも、
どっかの駅から一緒に乗ってきてくれた“旅の仲間”ってことで」
通知は、まだポンポン鳴り続けている。
でも、それをうるさいとは誰も思わなかった。
それはたぶん、
この旅が“ちゃんと届いている証拠”だから。




