終着駅・甲浦で、海とホームのゲリラライブ 徳島駅 朝のサプライズ放送
旅の15日目 ― 終着駅・甲浦で、海とホームのゲリラライブ
徳島駅 朝のサプライズ放送
朝の徳島駅。
ホームに流れる、いつもの落ち着いた構内アナウンス――のはずが、この日は少し様子が違った。
「本日は、阿佐海岸方面、甲浦駅におきまして、
M&Yのお二人と、ご家族の皆様による、
ゲリラミニライブ が予定されております。
列車にご乗車のお客様は、ぜひ終点・甲浦までお楽しみください」
翼「……おい、“ゲリラ”って言うてもうたらゲリラちゃうやん」
拓実「もはや“告知済み公式イベント”やな」
光子「いやもう、駅側がこう言いたい気持ちはわかる」
優子「“せっかく来てくれとるけん、うちとしても推したい”ってやつね」
子どもたちは大喜びだ。
陽翔「ぼくたち、きょうライブするん!?」
結音「ホームでうたうの〜!?」
燈真「海の近く?」
灯乃「おさかな、見えるかな?」
悠翔「ぜったい楽しい!」
横で、祥子と隼も苦笑い。
祥子「マラソンランナー枠で参加してるのに、
なんでだんだん“バックダンサー枠”みたいになってきたんやろ」
隼「もう覚悟決めましょう。今日は“ホームランナー”ってことで」
光子「うまいこと言うたね今」
優子「本日のツッコミボーナス差し上げまーす」
こうして、15日目の列車旅は、
徳島駅の“半分公式・半分ノリ”なアナウンスから始まった。
南へ南へ ― 牟岐線〜阿佐海岸鉄道の端っこへ
一行は徳島から南へ向かう列車に乗り込む。
海が見えたり、山が迫ってきたり、ローカル線らしい車窓が続く。
陽翔「うみ、また見えてきた!」
燈真「きのうの渦巻く海と、ちょっとちがうね」
結音「今日の海は、やさしい顔しとる〜」
車内には、徳島駅のアナウンスを聞いて乗り込んだらしいファンや、
たまたま居合わせた旅行者、地元の人たちも混ざっている。
ファンA「本当に来とる……本物や……」
ファンB「徳島支部のビッグイベントやん、今日……」
光子は、子どもたちの髪を整えながら、
窓の外の海をちらりと見た。
光子「端っこのほうの駅ってさ、“地図の端っこに来た”って感じして好きなんよね」
優子「分かる。
でも“ここで終わり”じゃなくて、“ここから別の誰かの生活が始まる場所”なんよね」
祥子「マラソンもね、ゴールテープが終わりじゃなくて、
“次の自分へのスタート地点”って感じありますよ」
隼「今日もいいコメント出てる」
やがて列車は阿佐海岸鉄道へ乗り入れ、
いよいよ終点・甲浦へ向かっていく。
甲浦駅到着 ― 小さな終着駅が、今日だけのライブ会場に
列車が甲浦駅に滑り込む。
こぢんまりとした終着駅のホームに降り立つと、
すぐそこに山、少し歩けば海――そんな穏やかな風景が広がっていた。
改札近くには、地元のスタッフさんと、
「爆笑発電所 徳島支部」の手書きボード。
スタッフさん
「ようこそ甲浦へ!
今日はここで、ちょっとだけ特別な時間を作らせてもらえたらと思います!」
光子
「こちらこそ、お世話になります。
せっかくなんで、“ホームソング”やらせてもらいます!」
優子
「※電車の邪魔にならん範囲でね」
ホームの端っこに簡易スピーカーとマイクがセットされ、
ぐるりと人の輪ができる。
もちろん、子どもたちもステージ側にちゃんといる。
陽翔「ぼく、手たたく係!」
結音「ラララ歌う係〜!」
燈真「リズム係!」
灯乃「うばぁ〜係!」
悠翔「全部係!」
翼「最後が一番強そう」
拓実「“全部係”はだいたい一番忙しいやつやで」
甲浦ホーム・ゲリラミニライブ開演
光子
「それじゃあ、せっかく終着駅まで来てくれたみんなと、
たまたまここにおったみなさんと、
列車と海と山と空にも届けるつもりで……
一曲、いきます!」
優子
「まずはアカペラで、短めの一曲。
タイトルは――
『端っこなんかじゃない』」
静かに始まる、二人のハーモニー。
翼と拓実が低音をそっと支え、
子どもたちが「ラララ」で彩りを添える。
ここは地図のはじっこじゃない
だれかの今日が始まる場所
「また来るね」って言える駅が
わたしの明日を支えてる
歌いながら、光子の視線はホームの端、
線路の先の行き止まり、そしてその向こうの海へ向かっていく。
優子の声は、
“ここに立っている人たちの明日”へそっと手を伸ばすように響いた。
歌い終わった瞬間、
ホームに大きな拍手が広がる。
観光客
「こんなところで本物が歌ってるとは思わなんだ……」
地元のおじさん
「ええもん聴かせてもろたわ。
今日、孫に自慢できる」
続けて、もう一曲だけ、にぎやかな曲を。
今度は子どもたちも前に出て、簡単な振り付きで盛り上げる。
結音・灯乃
「 うんばぁ〜 うんばぁ〜 端っこじゃな〜い 」
陽翔・燈真・悠翔
「 しゅっぱつしんこー 甲浦発〜! 」
光子
「オリジナルの“渾然一体ぐちゃぐちゃバージョン”やけど、
まあ楽しかったらよし!」
優子
「今日ここにおった人しか知らん、スペシャル版ね」
観客は笑いながら、
でもどこか名残惜しそうに拍手を続けていた。
海辺へ少しだけ ― “終着駅の、もう少し先”
ライブのあと、甲浦駅から少しだけ歩いて海のほうへ。
陽翔「うみ、ひろ〜い!」
燈真「波、きれいやね」
結音「ここでさっきの歌、もういっかいうたいたい〜」
灯乃「うばぁ〜だけ、もういっかいしたい〜」
悠翔「石、何回跳ねるかなチャレンジする!」
翼「ほら、危なくないとこまでね」
拓実「波にさらわれたら、“世界大会出場選手 海から救出”ってニュースなるで」
光子と優子は、並んで海を眺める。
光子
「なんか、“ここまで来たねぇ”って感じする」
優子
「でも、戻ったらまた、福岡の日常も、東京の仕事も、世界中の支部も待っとるしね。
“終点やけど終わりじゃない”って、歌のまんまやな」
祥子
「マラソンもね、“ゴールした翌日からまたスタート”やから」
隼
「今日の旅も、そういう場所になりましたね」
波の音が、答えの代わりに静かに寄せては返していた。
帰りの列車と、じわじわ広がる“甲浦の噂”
帰りの列車。
早速、SNSには写真や短い動画が上がり始めていた。
《甲浦駅でM&Y見たんやけど!?》
《地図の端っこちゃうって歌、めっちゃよかった》
《偶然同じ列車乗ってた人、全員勝ち組説》
光子
「“ゲリラ”って言いながら、ちゃんと徳島駅で告知してくれたおかげやね」
優子
「駅員さんたちの“笑いのセンス”にも拍手やね」
翼
「“終点まで行った人へのごほうび”みたいでよかった」
拓実
「たまにはこういう“密度の濃い一駅”ってええな」
子どもたちは、すでにちょっとおねむモード。
でも、どこか満足そうな顔をしていた。
徳島の夜 ― しめやかに、でもやっぱり笑って終わる
徳島駅に戻る頃には、空はすっかり夜。
この日は大きな爆笑配信はお休みして、
支部メンバーとの小さな打ち上げと、
ごく短い“旅の記録”だけをアップすることにした。
光子(動画のひと言コメント)
「今日は、地図の端っこみたいな終着駅・甲浦で、
“端っこなんかじゃないよ”って歌ってきました」
優子
「来てくれた人、たまたま居合わせた人、
列車と駅と海と山、そして徳島のみんな、ありがとう。
この端っこから、また新しい笑いと歌を届けていきます」
翼・拓実・祥子・隼・キッズ一同
「ほんならまた、次の駅か、次の海か、次の街で会いましょ〜!!」
15日目は、
“終着駅でのミニライブ”という、ちょっと特別な思い出を胸に刻みながら、
静かだけど温かい余韻の中で終わっていった。




