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美香と光子と優子の爆笑ストーリー。光子と優子29歳  作者: リンダ


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夜――全支部をつなぐ、爆笑通信(続き)

八日目――旅の合間のオフ日

3 夜――全支部をつなぐ、爆笑通信(続き)


優子も続ける。


「だから今日も、笑いつつ、ちゃんと知って、

 “ほんなら自分たちは何できる?”って考える夜にしよーや。


 ……とか言いながら、このあと“本日のベストアホ大賞”発表するとばってんね」


画面いっぱいに笑い声が広がる。


「さぁ、それでは!」


光子が勢いよく手を振った。


「本日のベストアホ大賞エントリー、一組目!」


画面が徳島支部へ切り替わる。


そこには、おなじみのインコ一家。


せきちゃん閣下。


せいちゃん姫。


きびまる。


あわみ。


しらゆき。


全員が妙に気合いの入った表情をしていた。


由理恵が苦笑しながら紹介する。


「今日はですね……閣下がどうしてもM&Yさんの真似をしたいって言いまして。」


「嫌な予感しかしない。」


優子が頭を抱える。


光子も苦笑い。


「だいたい、うまくいった試しなかもんね。」


すると。


せきちゃん閣下が胸を張り、


翼を大きく広げた。


「ピーーーッ!」


そして得意満面に叫ぶ。


「オレはインコ界のM&Yやぁーー!!」


ドン!!


後ろで紙吹雪が飛ぶ。


……はずだった。


ところが。


紙吹雪のひもが足に絡まり、


「ピギャッ!!」


見事に前へ一回転。


そのまま止まり木から転げ落ち、


ケージの床へ。


ゴン。


「……。」


世界中の支部が一瞬静まり返る。


そして。


《ドカーーーーン!!》


《またやったーー!!》


《期待を裏切らない!!》


《開始五秒で大賞決定!!》


コメント欄が爆発した。


せいちゃん姫は額に羽を当てる。


「もう……何しよるんですか。」


閣下は何事もなかったように立ち上がる。


「これは演出や!」


「どこがですか。」


「インコ界にも転倒芸は必要や!」


「必要ありません。」


間髪入れずにせいちゃん姫がツッコむ。


光子は腹を抱える。


「出たー!」


優子も涙目。


「この夫婦漫才、安定しとる!」


すると閣下は胸を張り直した。


「今日はM&Yの名曲を歌う!」


「えっ。」


光子と優子が顔を見合わせる。


「『雪の約束』を歌う!!」


画面の向こうでは拍手。


「おぉーー!」


「これは楽しみ!」


ピアノ伴奏が流れ始める。


閣下は目を閉じ、


感情たっぷりに歌い始めた。


「♪ゆ〜き〜の〜


 や・く・ざ〜♪」


……


優子が即座に立ち上がる。


「誰が反社会的な歌にしたん!!」


コメント欄。


《約束じゃなくてヤクザになっとる》


《一文字で大事件》


《歌い出しで終わった》


閣下は気にしない。


「♪き〜み〜と〜


 たべ〜る〜


 焼きそば〜♪」


光子が吹き出す。


「焼きそば!?」


本来そこは恋人への想いを歌う大事な歌詞。


それが突然、


昼ごはんの話になっていた。


さらに。


「♪雪が降る〜


 ラーメン煮る〜


 カレーも混ぜる〜♪」


せいちゃん姫が両翼で顔を覆う。


「何の約束なんか、さっぱり分からんようになっとるやないですか!」


世界中が大爆笑。


《料理番組!?》


《鍋になった!》


《ラブソング消滅》


《カレー混ぜる必要ある!?》


閣下は熱唱を続ける。


しかし。


音程が。


高い。


低い。


高い。


さらに高い。


最後には完全に迷子になり、


「ピーー……


ピョーーーー……


ピョロロロロ……」


音階がどこか遠い世界へ旅立っていった。


優子が耳を押さえる。


「音程まで、あっちの世界に行っとる!」


光子は机を叩いて笑う。


「誰か連れ戻してー!」


せいちゃん姫は静かに立ち上がると、


閣下の肩を優しくつついた。


「閣下。」


「なんや。」


「その音程。」


「うん。」


「シベリア経由で南極まで行って帰ってきてません。」


「そんなに旅した?」


「世界一周しております。」


ドッ!!


画面の向こうで拍手喝采。


由理恵は笑いすぎて椅子からずり落ちそうになる。


「もう無理……お腹痛い……。」


メルボルン支部。


ロサンゼルス支部。


ブエノスアイレス支部。


キーウ支部。


世界中の画面で笑いが止まらない。


光子が涙をぬぐいながら言う。


「いやぁ……閣下。」


「なんや。」


「歌は全部間違えたけど。」


「うん。」


「笑いだけは百点やった。」


閣下は胸を張る。


「それがインコ界のM&Yや!」


せいちゃん姫が即座に締める。


「違います。」


「インコ界の『迷子&ヤラカシ』です。」


その完璧なツッコミに、再び全世界の爆笑通信は大きな笑いに包まれた。

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