表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

203/238

道路と橋の整備—交通網の発展

1569年の夏、紘一は、次の課題に取り組んだ。

交通網の整備だった。

美濃の道路は、整備が不十分だった。

雨が降れば、ぬかるみになる。荷車が通りにくい。

橋も、老朽化しているものが多かった。

紘一は、信長に、道路と橋の整備を提案した。

「信長様、美濃の道路を、整備したいと思います」

信長は、地図を見ながら、尋ねた。

「どの道路を、優先するのだ」

「まず、主要な街道です」紘一は地図を指差した。

「岐阜から、美濃各地への道路を、整備します」

紘一は、続けた。

「そして、橋も、架け替えます」紘一は言った。

「特に、大きな川にかかる橋は、重要です」

信長は、頷いた。

「分かった。やってくれ」

信長は、続けた。

「ただし、費用は、どれくらいかかる」

紘一は、計算していた数字を、報告した。

「約五千貫ほど、必要です」

信長は、少し考えてから、答えた。

「高いな」信長は言った。

「だが、必要な投資だ」

「分かった。費用は、出す」

紘一は、感謝した。

「ありがとうございます」

道路整備が始まった。

主要な街道に、石を敷き詰める。

排水溝を作る。

橋を架け替える。

大規模な工事だった。

多くの労働者が、動員された。

だが、信長は、労働者たちに、適切な賃金を払った。

強制労働ではなく、有償の労働だった。

労働者たちは、喜んで働いた。

「信長様は、賃金を払ってくださる」

「良い領主だ」

工事は、一年以上かかった。

だが、完成した道路と橋は、素晴らしかった。

平坦で、水はけが良く、荷車がスムーズに通れる。

橋も、頑丈で、安全だった。

商人たちは、大喜びだった。

「これで、遠くまで、荷物を運べる」

「美濃の道路は、日本一だ」

道路整備の噂は、他国にも広がった。

そして、他国の商人たちも、美濃に来るようになった。

美濃と他国の交易が、活発になった。

美濃の経済は、さらに発展した。

紘一は、完成した道路を、馬で走ってみた。

確かに、走りやすい。

馬も、気持ちよさそうに走っている。

「これなら、人々の移動も、楽になる」紘一は思った。

道路は、ただの交通手段ではない。

人々をつなぐ、絆でもある。

道路が良くなれば、人々の交流が増える。

情報が、速く伝わる。

文化が、広がる。

それが、紘一の考えだった。

広信も、道路整備の効果を、実感していた。

「田邊さん、道路が良くなって、本当に便利になりました」広信は言った。

「神崎領から、岐阜まで、以前は丸一日かかりました」

「今は、半日で着きます」

紘一は、満足した。

「それが、狙いです」

「人々の移動が楽になれば、経済も発展します」

1569年の秋、紘一は、平吉の家族を訪ねた。

平吉は、美濃東部で、寺子屋を運営していた。

紘一が訪れると、平吉は、家族総出で迎えてくれた。

平吉の妻、お春。

長男の太吉は、もう二十三歳になっていた。

長女のおすみは、二十一歳。

次男の次吉は、十八歳。

次女のお光は、十五歳。

皆、立派に成長していた。

「田邊さん、よく来てくださいました」平吉は、嬉しそうだった。

「久しぶりだな、平吉」

平吉の家で、食事をご馳走になった。

太吉は、すでに、教師になっていた。

父の寺子屋を手伝いながら、教えていた。

「太吉、教師の仕事は、どうだ」紘一は尋ねた。

「はい、田邊様」太吉は答えた。

「大変ですが、やりがいがあります」

「父から、多くを学びました」

平吉は、誇らしそうだった。

おすみは、結婚していた。

近くの村の若者と結婚し、二人の子供がいた。

次吉は、農業をしていた。

平吉の田んぼを手伝いながら、新しい農法を試していた。

「次吉、農業は、うまくいっているか」

「はい」次吉は答えた。

「田邊様が教えてくださった、大豆の栽培を、やっています」

「収穫が増えて、助かっています」

お光は、まだ寺子屋で学んでいた。

だが、将来は、教師になりたいと言っていた。

「田邊様、私も、父や兄のように、教師になりたいです」お光の目は、輝いていた。

紘一は、お光の頭を撫でた。

「素晴らしい夢ですね」

食事の後、紘一は、平吉と二人で話をした。

「平吉、子供たちが、立派に育っているな」

「はい」平吉は嬉しそうだった。

「これも、田邊さんのおかげです」

「いや、お前とお春が、よく育てたからだ」

平吉は、少し照れた。

「田邊さん、俺、幸せです」平吉の声には、感謝があった。

「田邊さんに出会えて、本当に良かった」

「こちらこそ、平吉に出会えて良かった」

二人は、しばらく、昔話をした。

紘一が、この時代に来たばかりの頃。

平吉が、紘一の下で、学び始めた頃。

様々な思い出を、語り合った。

「あれから、もう三十八年か」紘一は言った。

「本当に、長い年月でしたね」

「だが、良い年月だった」

平吉は、深く頷いた。

紘一が帰る時、平吉の家族全員が、見送ってくれた。

「田邊様、また来てください」

「ああ、必ず」

紘一は、平吉の家族を見て、満足した。

次の世代が、育っている。

そして、その次の世代も、育ち始めている。

紘一の意志は、確実に、受け継がれている。

それが、紘一にとって、何より嬉しかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ