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【2026年04月10日書籍1巻発売】もふもふ好きのおっさん、異世界の山で魔物と暮らし始める  作者: あろえ
第二章

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第127話:周囲からの視線

 アーリィとクレアの冒険者活動に同行することにしたのだが……。


 ウサ太のぬいぐるみ作戦が持ちそうになかったので、俺は露店に顔を出して、先ほどクレアが見つけたサングラスを購入した。


 魔物だと気づかれないように、ウサ太には目を線のように細めてもらっているが、これにはデメリットがある。


 ウサ太が周囲の状況をうまく理解することができなくて、不安な思いをさせてしまっていた。


 そこで、目元全体を隠すことができるサングラスを着用させる作戦を実行する。


「意外に似合うものだな。これで目を開けても、首を動かさない限りは問題ないだろう」

「……」


 ウサ太もホッと安堵するように落ち着きを取り戻し、俺の腕の中でジッとしてくれている。


 今思えば、ウサ太は動きたい衝動に駆られていたのではなく、不安なだけだったのかもしれない。


 見知らぬ土地で視界が悪い状態が続き、音とニオイだけを頼りに過ごしていれば、本能的に動いてしまうのも無理はなかった。


 この光景を見たアーリィとクレアも納得するように頷いている。


「一周回って、逆にアリね」

「カッコイイ! 絶対こっちの方がいいと思う!」


 二人のお墨付きももらえたので、今後はぬいぐるみ作戦サングラスバージョンでいくとしよう。


 以前よりも目立ちやすくなったと思うが、逆に魔物だと思われるケースは減った気がする。


 街に魔物を持ち運ぶだけでもあり得ないのに、さらにそれにサングラスをかけさせているだなんて、もっとあり得ない話だからだ。


 後はウサ太がキョロキョロしないように、俺が街の景色を見せてあげれば、大きな問題に発展することはないだろう。


 そんなことを考えながら歩き進めていると、すぐに冒険者ギルドに到着した。


「私とクレアはこのまま冒険者ギルドに入るけど、トオルはどうするの?」

「俺は外で待たせてもらうよ。さすがにギルドの中に入る勇気は持てないからな」

「わかったわ。できるだけ早く終わらせてくるわね」


 そう言ったアーリィに向けて、クレアが手を差し伸べる。


「じゃあ、アーリィ。大丈夫だと思うけど、迷子にならないように手を繋いでいこう?」

「そうね。それが賢明な判断だわ」


 相変わらず、どっちが子供で大人かわからないな……と思いながら、俺は二人の背中を見送った。


 すると、アーリィたちとすれ違った二人の女性冒険者が、ポカンッとした表情を浮かべていることに気づく。


「今すれ違った人さ、冒険者にしては、肌が綺麗じゃなかった?」

「貴族なんじゃない? 髪の毛もサラサラだったもん」

「ああ~、なるほどね。武家の家系に生まれたから、武者修行で冒険者になるタイプのやつだ。それはそれで大変だね~」


 確かにアーリィは見違えるほど綺麗になったよなーと思いつつも、俺はこう思った。


 女性から向けられる視線が憧れから嫉妬に変わらないといいなー、と。


 ***


 冒険者ギルドの外でアーリィとクレアを待っていると、驚くほど彼女たちの噂を耳にすることになった。


 綺麗な冒険者が貴族依頼を報告していたとか、依頼掲示板を見る姿に花があったとか、手を繋いでいる子供が可愛かったとか。


 髪の毛や肌の手入れをしただけで、二人が与える印象は大きく変わったみたいだった。


 そんな好意的な目を向けられていたアーリィとクレアが冒険者ギルドから出てくると、当然、俺の方に向かって歩いてくる。


「お待たせ。受付の数が多かったから、思ったよりもスムーズだったわ」


 周囲から、どうしてあんな怪しいオッサンのところに……? と注目が集まるのも、無理はない。


 なぜなら、俺はサングラスをつけたホーンラビットのぬいぐるみの頭を撫でて、ずっと外で待ち続けていた謎のオッサンなのだから。


 そして、さすがにアーリィも周囲の視線を集めていたことを自覚していたみたいで、どや顔を向けてきた。


「貴族依頼の効果、すごかったわよ。私たちね、めっちゃ見られてたの」


 なお、本人は鈍感なタイプらしい。


 毎日のスキンケアや髪の毛を手入れして綺麗になった影響だと、まったく気づいていなかった。


 一方、その事に気づいてるであろうクレアは嬉しそうにしている。


「今回はね、薬草採取の依頼を受けてきたよ。錬金術の素材にもなるし、綺麗な花が咲く素材なの。だから、種も一緒に採取して、山に帰った時に育てたいなーって思って」

「なるほど。それはお土産を作ることもできるし、良い考えだな」


 どうやら軍隊蜂のことを考えて、依頼を受けてくれたみたいだ。


 こういうところで仲間意識を感じられると、俺も嬉しくなる。


「よしっ。日が暮れるまでに帰ってこられるように、早めに向かうとするか」

「そうね。王都の北門から出て、しばらく行った先の森の中に咲く花みたいよ」

「はーい。じゃあ、こっちに向かって歩いていくよ」


 初めて訪れた王都でも、迷うことなく案内してくれるクレアに従って、俺たちは依頼に向かう。


 子供に先導してもらうと、遊びに向かうみたいだなーと思いながら。

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