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歓迎会をしたんですが

「こ、これは……?」


 ジョシュアくんが困惑した様子で、目の前に運ばれてくる食べ物を見つめている。

 おおよそ、見知らぬものがあってびっくりしているのと、なんでこんなことをしているのかわからないのとの半々といったところだろう。

 ジョシュアくんの目は、食卓のあちらこちらを右往左往していた。


「今日から一緒に住むでしょ? だから歓迎会をしようと思って」

「そ、そうなのか……?」


 ジョシュアくんは相変わらず困った様子で食卓を眺めている。


「はいはい、紅茶淹れるよー」


 そう言ってミシェが紅茶を淹れる。

 仕草から高さまでしっかりとした、非常にきれいな淹れ方だ。

 ジョシュアくんはその琥珀色の液体を、じっと興味深そうに眺めていた。


「……これが、茶なのか?」

「うん、そうだけど。もしかして見たことなかった?」


 ミシェが穏やかな笑みを浮かべながら答えると、ジョシュアくんは大きくうなずいた。

 実際、紅茶は比較的最近王国へと入ってきたものらしいので、彼が知らなくてもおかしくはない。


「俺が故郷で見た茶はこんな色をしてなかったんだが……どうやって淹れたんだ?」

「ボクも詳しいことは知らないんだけどね、茶葉を発酵させて作っているらしいよ」

「え、そうなの? 知らなかった……」

「あ、ショウくんも知らなかったの?」


 ショウくんの知らないことを教えられた、とミシェは上機嫌だ。

 対するジョシュアくんは、明るい赤褐色をしたそれを、興味深そうに眺めていた。


「なるほど、発酵か……」

「え? ジョシュアくんの故郷ではあんまり使われてなかったの?」

「あまり、というかほとんどだな。下手に発酵させようとするとすぐ腐ってしまう環境だったというのもあるし、そもそもそういった文化が根付いていないというのもある」

「……ジョシュアくんって、どこで暮らしてたの?」

「エルフの里だ。……とはいっても、100年は戻っていないんだけどな」

「「…………!」」


 100年。

 エルフは長寿だとは聞いていたけど、本当にそうだったんだ……!


「……な、なんだ。その目は……」

「いや、ジョシュアくんってすごいんだなって……!」

「……そ、そうか……」


 それっきり、ジョシュアくんは黙ってしまった。

 顔を真っ赤にして、なにやらつぶやいている。

 ……それはそれとして、ミシェがこちらを向いて頬を膨らませているのはなんでなんだろうか?


「……ショウくんのスケコマシ」

「ス、スケコマシ?」


 いや、いくらなんでもそんな風に言われるようなことは……。


「スケコマシじゃん。こんな誰にでも良い顔しちゃってさ」


 プイ、とミシェがそっぽを向いてしまった。

 ミシェをどうしようか迷っていると、クスクスと笑い声が聞こえる。

 どうやら、ジョシュアくんのほうから聞こえているみたいだ。


「あれ、もしかして僕、変なこと言っちゃった……?」

「いや、陽気なふたりだなって思ってさ」


 ジョシュアくんの笑い声につられて、僕たちも笑いだしてしまう。

 そうして歓迎会は、穏やかな空気のまま進んでいったのであった……。

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