彼女の職業は……
誤字脱字は諦めて下さいませ。
「ふんっ!……やあっ!!とおっ!!!」
モジモジ…モジモジ…モジモジ…と、まるで芋虫のように身体を折り曲げ、一生懸命に動こうと頑張っているエルルゥさんを、切ない瞳で見守る私とニーニャさんとルチルさんの3名は、互いに小声で囁きあった。
「あの、どうして話し掛けてあげないんですか?」
「いやぁ……だって、ねぇ…………」
「そうだね~。何か……逆にこの場合、声を掛けてあげない方が幸せじゃない?だって、あんな姿を私たちに見られていたなんて、エルルゥにとって一生の恥なんじゃないかな~?」
Oh!ルチルさんが言いにくそうに言葉を濁したのに、ニーニャさんがペロッと本音を言ってのけちゃったよ。
ニーニャさん…………恐ろしい子。
「で、でも、流石にもうそろそろ声を掛けましょうよ。だって………さっきからそう言って30分もあの状態のエルルゥさんを放置してるんですから!」
「そうだね。そろそろ良いんじゃないかな?」
「そうだね~。じゃあ、いい~?あたかも今、命からがら助け出されて来たって感じでこの繁みからでるのよ~?」
「えっ!?ちょっ!ま、待って下さい!」
ガサガサ……ガサガサガササッ……。
ガサササッ……。
そう言いながら繁みから出ていったニーニャさんとルチルさんに遅れること数秒、私も一緒に演技してしまいました。
「ハアハア……ハアハア……。ニーニャッ!早く…早く来るんだっ!」
「ル…ルチル……ハアハア……。も、もうだめ~」
「えっ……えっと、ダ、大丈夫デスヨー。私ガ助ケマシタカラ、モウ安心デスヨー……」
しーーーーーーーーーーーん。
おぎゃあっ!は、外した!ううっ………ダメだ。どうやら私には演技の才能は皆無のようだ。
私の余りにも棒読みな台詞に、この場の空気が一瞬にして凍りついた。
そんな凍った空気の中で、最初に声を上げたのは、エルルゥさんだった。
立ち直りが速いな、ほんとに。
「…………ニーニャッ!ルチルッ!2人とも無事だったんだね!良かった、良かったよぉ!!うううっ………うえっ………」
エルルゥさんはそう言うと、無様な格好のまま安堵の涙を流したのであった。
「あ、ああ………こちらもエルルゥの事を心配していたんだ」
「軽くリエラから説明を受けて、エルルゥが安全な事は聞いてたんだけど、やっぱり実際無事な姿を確認してなかったから心配で~」
「あうあう、二ー二ャ、ルチルーそれはこっちの台詞だよぉ。ゴブリン連れ去れてる途中で、私だけ助かったから………ううっ……って、ああっ!そ、そうだ……あの子、リエラちゃんは?さっき声だけ聴こえたけど無事なの?」
うぬぬ……。どうやら身長の高いルチルさんの後ろに居たので、地面に転がったままのエルルゥさんからは、私の姿が見えてなかった様です。
私はルチルさんの背後よりヒョッコリ顔を出すと、エルルゥさんに無事を報告しつつ、シールドロックの解除をさせてもらう。
「はいはい~い!無事ですよ?後、エルルゥさんに掛けた魔術ゲフンッ……魔法を解除させて頂きますね?」
特に意味は無いんだけど、指をくるくる回しながら呪文を唱える。
「………………ディスペルッ!」
私が解除呪文を唱えると、エルルゥさんの身体を覆っていた淡い光が霧散していく。
「はい、これで自由に動けますよ?」
エルルゥさんはヨロヨロと立ち上がると、両手を広げて私達3人を力一杯抱き締めたのであった。
「ぎゃあっ!」
「ぐえぇっ!」
「おぎょっ!」
ぎゃぁぁぁぁぁ~!!!
抱き締める力が強すぎるっ!!
苦しい苦しいっ!ギブギブギブゥ~!!
後で解った事ですが、エルルゥさんの職業は斧術師だそうです。どうりで力があるわけですよ。
***
お互いの無事を確認しあった私達は話し合いの結果、一旦町まで戻る事となった。
私もこの結論には納得。いやむしろ若干迷子気味であったので、本気で助かった。
エルルゥさん達は武器などの装備品をゴブリンに強奪されていたので、私の防御魔術でサポートしながら町まで帰ったのであった。
寒いですねぇ。ははは。
小生の財布の中も寒いです。
一体何に使ったのか……全く覚えがありません。




