遠退く意識!飛ばせ魂!
一応書けたから、即投下!!
誤字脱字は追々直しまふ。
勢いよく倒れ込んだ男性は、暫く床の上をゴロゴロと転がりながら、「うーうー」唸っていたのですが、痛みが引いて来たのか、その場に座り込むと上目使いにガメッティーさんを睨み付け始めた。
そんな視線にガメッティーさんが気付かない筈も無く、横柄な態度の男性を睨み返して居ます。
二人の間に見えない火花が散っているのが分かります。
しかしもうこの場に居るのに、嫌気が差している私はヘスさんにこっそりと耳打ちをする。
「ヘスさん……私はギルドの換金所で構わないので、一緒にギルドまで着いてきてもらっても良いですか?」
私がすまなそうにお願いすると、ヘスさんは快く快諾してくれた。
「うん!僕は構わないよ?でも、本当に良いの?あの魔石、ギルドじゃあ平均的な買い取り金額でしか買い取ってくれないけど?」
いえ、こんなに横柄な態度で来られるより、安く買い叩かれた方がまだマシですから。
「私は別に構いませんよ」
「じゃあ、決まりだね?」
私とヘスさんが、換金所からこっそりと離脱しようとしたその時、私達の足を引き止めるガメッティーさんの声が聞こえてくる。
「お客様……少々お待ちくださいませ?私共の鑑定士が失礼をしたのは、申し訳御座いませんが、ひとつお忘れでは御座いませんか?」
ひいっ!ガメッティーさん……貴方は後ろに目でも付いていらっしゃるのでしょうか?
私達が逃げようとしていた事がバレるとは……恐ろしい!それに……お忘れ…とは一体?
私が動きをピタリと止めると、それも分かったのか、ガメッティーさんが続きを話してくる。
「貴女様は、立て付けが悪かったとは言え、我が換金所の扉を粉砕していらっしゃいますので、そちらの修理……は、粉々なので無理ですので、新しい物に交換していただく必要が御座います」
はうあっ!忘れてた。確かに鑑定士の男性の横柄な態度に頭に血がのぼっていたとしても、勝手に扉を壊したら、器物破損だよね?
そりゃあ弁償するのが当たり前だよね?
「えっと……それっておいくらですか?」
「ええ、では金額について、ゆっくりとお話させて頂きますので、こちらへどうぞ?」
ガメッティーさんは、くるりと踵を返すと私と視線を合わせながら、1番の個室に私を誘った。
ガメッティーさんが、1番の個室の扉を開けると背後よりまた横柄な態度の男が文句を言って来る。
「おい、ガメッティー!そいつは私の客だっ!横から奪うとは、良い度胸じゃないかっ!!」
おまっ…ちょっと待て!誰がお前の客だって?あんなに馬鹿にした態度で対応していたくせに、どの口が私の客だと言うのか?って、あっ!その口か?
再び私の頭に血がのぼって来る。だが、ここは我慢だ。我慢するのだ。と、自分に言い聞かせて居ると、無視をされたと思ったのか、横柄な男は愚かにも私の肩を掴んで来たのである。
プチッ……。
我慢の限界を超えた私の頭で、何かが切れる音がしたのと同時に、私は魔術の詠唱をしてしまっていた。
「バインド………」
私のバインドの魔術で、そのまま横柄な男の動きを拘束する。
「っ……?身体がっ!私の身体が動かないっ!?」
私は魔術の慌てる男を一別しながら、更に魔術を使用する。
「………エアカッター」
バインドで固まったままの男の着ている服を、空気の刃で切り刻んでやった。
パンツは残しておいてやろう……せめてもの武士の情けだ。
ふっ……釣りは要らないぜ?取っときな!!
「うぎゃぁぁぁぁぁ~~~!!!」
はっはっはっ!絶叫してますよ!ザマァミロですよっ!!
私がスッキリしていると、ガメッティーさんが驚いた表情で、私と横柄な男を交互に見ている。
そこで少し冷静になった。
やばい……つい、攻撃魔術を使っちゃったよ。そうだっ!全力で誤魔化そう!もしも誤魔化せそうにも無かったら、全力で揉み消そう!記憶ごとな。
私が物騒な考えに取り付かれていると、私から発せられる不穏な空気を感知したのか、ガメッティーさんは魔術の事には一切触れずに、個室に連れて来てくれた。
1番の個室は品の良いアンティークのテーブルや椅子が配置され、暖かみのある落ち着いた内装となっていた。
さっきも思ったが、ロビーとの内装のギャップが激し過ぎて、目眩を起こしそうだ。
しばし勧められた椅子の上で、目を閉じていると、フワリと私の鼻孔をくすぐる芳しい香りが漂って来る。
「先程は大変失礼を致しました。こちらは王都より取り寄せております、茶葉で淹れた紅茶で御座います。宜しければどうぞ?」
ガメッティーさんが淹れてくれた紅茶は、温かくてそしてとても美味しかった。
私とヘスさんは一息付くと、ガメッティーさんにお礼を言った。
「とても美味しいです……」
「ごちそうさまでした!」
ガメッティーさんは私達に優しい微笑みを、向けるとこう切り出した。
「それは良かったです。して……今回は当換金所に、何をお持ちいただいたのでしょうか?私で良ければ鑑定致しますよ?」
「………それならば、宜しくお願いします」
ガメッティーさんの方から、そう言い出してくれたので私は、好意に甘えて魔石を見せる事にした。
歳上の物腰柔らかな男性に、優しく言われたら素直に出しちゃうよね?私だけじゃない筈。
テーブルの上に、魔法の鞄から取り出した数個の魔石を並べて、ガメッティーさんに視線を向けると、何故か物凄く驚いた表情でテーブルの上の魔石を、凝視するガメッティーさん。
およ?ああっ!流石にこんな程度の魔石を勿体ぶって出したので、驚いて固まってしまったのだろうか?めっちゃ…恥ずかしいっ!
じゃ…じゃあ、奮発してちょっと気合いを入れて魔力を込めた魔石も出してみようかな?
ゴソゴソ……ゴソゴソ……。ドンッ!!
鞄をまさぐりながら、取り出した魔石の色はどす黒かった。
その魔石を見たガメッティーさんは、今度は顔色を青くさせている。
あっはっはっ!昔テレビで見た宇宙人みたいだよ!ぷぷっ……面白い!
「ええっと……その、魔石の鑑定を……させて頂いても、宜しいでしょうか?」
私が必死に笑いを堪えていると、ガメッティーさんが震えながらも魔石の鑑定をして良いかと、聞いてくる。
「……うぷぷっ……ゴホンッ!……どうぞ?」
私が笑いながら了承すると、ガメッティーさんは震えながら手袋を着用すると、鬼気迫る勢いで魔石を鑑定し始めた。
その真剣な様子に、流石に私の笑いも引っ込んできた。
「そっ……そんなに真剣に鑑定しなければならない程、私の魔石は偽物か疑われているのかな?」
私がポツリと溢した言葉に、素早く反応するガメッティーさん。
「とっ!とんでもない!ここまで魔力量が濃密に込めてある魔石は、私は生まれて初めて拝見致しましたぞぅ!」
「そっ…そうですか~?」
興奮ぎみにそう言われても、私にはしっくり来ず。
気の無い返事しか出来ませんから。
だってそうでしょ?適当に魔力を込めた魔石と、ちょっと気合いを入れて魔力を込めた魔石を、出しただけなのに、ハッスルし過ぎじゃないかな?
ガメッティーさんの、脳の血管切れちゃわないかの方が、よっぽど心配だよ。私は。
***
数十分後………。
まだ鑑定をしているガメッティーさんに、ヘスさんと私は辟易していた。
何か…恍惚とした表情で、魔石に頬擦りとかし始めちゃってる……。
私の作った魔石には、妖しい中毒性とか無いですからね?ほんとだよ?
流石にらちが空かないので、ガメッティーさんがスリスリしていた魔石を、力ずくで取り上げた。
「ああっ!私の魔石がっ!!」
という台詞を言いながら、涙ぐむガメッティーさんの頬に、軽く平手打ちを慣行する。
いえ、まだお売りしてませんので、貴方のじゃ無いですからね?
誰のかって、そりゃあ私の物です。
「で、ガメッティーさん?正気に戻られましたか?」
「えっ?ええ……。というか、私はずっと正気でしたよ?」
私に頬を叩かれて正気に戻ったのか、目をパチクリさせながらも、自分は正気だったと嘯くガメッティーさん。
いえ、本人は否定してますが、端から見たら全然正気には見えませんでしたよ?完全にラリってましたよね?
でも、怖いからこれ以上はそこには触れないで置こう。さっさと換金したいし。
「それで、いくらぐらいになりますか?そして8番の扉を新しくした分を差し引いた金額のご提示をお願いします!」
ガメッティーさんの感じから、日用品と雑貨は買えるぐらいの金額にはなるだろうと、判断している。後はヘスさんへのお小遣い分に、色を付けてはくれまいか?
祈るような気持ちで待っていると、ガメッティーさんが直ぐに金額を書いた紙を見せてくれる。
その紙にはこう書いてあった。
【濃い青の6個の魔石は、ひとつ白金貨1枚で、計白金貨6枚】
えっ?マジか?白金貨6枚と言うことは、日本円で約60万円って事だよ?大金だよっ!!
私がアワアワ慌てると、ヘスさんが落ち着きなさいと、私の頭を撫でて来るが、そのヘスさんの手も若干震えていた。
そしてその下には、更に驚愕の金額が書かれていた。
【黒い魔石は宝貨1枚に値する。但し、現時点では宝貨が用意できないため……売るならば後日またお願いしたい】
と、書いてあった。
えっ?えっと………?宝貨………って、おいおい…そりゃあ……1枚で、1000万円って事だよ?
マジかっ!?
余りに高額の買い取り金額に私の魂が、口から抜け出てしまったのは、致し方が無い事であった。
しめて1060万円なり~!
あれ?魔石売るだけで、楽に暮らせて行けそうな………。
ところがどっこい……。




