残念っ!!私は女なのだよ。
短めです。
「本当に大丈夫だったかい?リエラ?」
ううっ…心配そうに聞いてくれるヘスさんに、涙が出そうになるよ。
「はぁ……っ……だいじょ…ぶ……はぁ……」
それにしても……ミランダさんの豊かな谷間は凶器ですよ。危うく窒息死するところだったからね。
あれですかね?世の男性諸君だったら、涙を流しながら喜ぶべき出来事だったかね?
残念っ!!
わたしは女なのだよ。それも枯れ果てたな。
「まったく、もうミランダはっ!!リエラが苦しがっているのが分からなかったのかい?」
ヘスさんが、ミランダさんを怒っている。
「あら?あれは喜びの踊りとかじゃなかったの?」
キョトーンとミランダさんが検討違いな事を言う。
いやあ、流石に無い。喜びの踊りって、一体何ですかね?された事でもあるんかいっ!!
って、あるからミランダさんはこんな反応なんですよね?そりゃあ男性は嬉しいでしょうし、それで死んでも本望かもしれませんが、残念っ!!
私は女なんだよ。申し訳ないがな。
「ええ?喜びの踊り?……いや、あれは間違いなく苦しがって暴れていた人の動きだよ!ミランダはもう少し人の機微とかが、分かるようになるといいね?」
ヘスさんも私の動きが全身で放せっ!と、言っていたって分かるのに、ミランダさんには伝わらなかったみたいだ。どんだけ天然なんだよっ!!
ヘスさんの言葉に私が大きく頷いて肯定していると、ミランダさんがすまなそうに謝ってくれた。
「そうでしたの?ご免なさいね?ボソッ…では、今まで抱き締めてきた方達は、喜んで踊ってたのではないのね?苦しんでたのですかぁ………」
うん?何か恐ろしい台詞が聞こえた様な気がする……が、ここは全力で聞こえなかった振りをしよう。うん。
被害者友の会が設立出来てしまいそうですし。
何とも言えない空気を引き裂いたのは、やはりこの人でした。
「おいっ!そんな事よりも昼飯にしようぜ!酒が俺を呼んでるんだぜ?」
はいはい。アーウィンさんは安定の空気の読めない人ですね?まぁ、この変な空気をものともしないのは、流石ですし、今回は有り難いですがね。
「そっ…そうです…ね?お昼を食べる……約束をしてましたよね?」
私はアーウィンさんに便乗して、ヘスさんとミランダさんの服の裾をチョイチョイ引き、場を移すことを提案する。
「…………そうでしたね。本当はギルドの食堂で食べようかと考えていたんですが、これでは少々目立ちますから……外に食べに行きましょうか?」
ヘスさんはそう言うと、興味津々な周りを見回した。
確かに先程からのやり取りで、ギルド内での関心を引いてしまっている様で、何人かの冒険者達と目が合い、そして直ぐ様反らされる。
こんな感じでは落ち着いてご飯が食べられませんからね。
「あん?ギルドの食堂でいいんじゃねぇのか?直ぐ食えるし………おまけに安いしなっ!!」
外に移動すると聞いたアーウィンさんが、首を捻りながら言ってくる。
が、瞬時にミランダさんにアイアンクローをされながら、ギルドの外に引きずり出されて行った。
そんな二人を呆然と見送っていると、ヘスさんが私の肩に優しく手を置きながら、こう言ってくれた。
「僕たちも行きましょうか?お腹……空いているでしょう?」
「………はい……」
小さくそう返事をすると、ヘスさんは私をエスコートするみたいに肩を抱きながら、ギルドの扉を開けてくれたのであった。
エスコートが板についていてスマートですね……。
これ、計算してやってないとすると、ヘスさんは天然のジゴロでは無かろうか?
私が枯れ果ててなければ、ヘスさんイケメンだし、ドキドキしてたと思いますわ。
私になる前のラズリエラだったら、きっとイチコロでしたでしょうね。
あのしょうもない元婚約者ですら、好きだった猛者ですからね?
残念ながら現在の私には、孫に優しくされたお婆ちゃん的な心情でしたが。
そうして私たちが後にしたギルド内では、こんな話がなされていたのであった。
「ミランダ……美しい美貌にあの胸!!久し振りに見たなが、やはり素晴らしいなぁ……」
「はぁ…ヘス……素敵だったわね…。あのヘスに肩を抱かれていたあの子は一体誰だったのかしら?ヘスの何なのよ~!!」
「ププ……それにしてもアーウィンの場の空気を無視するあの言動……ププププ……」
「あの子も凄く可憐な美しさだったな……。名前は何て言うんだろうか……?」
などと、ヒソヒソ会話されていたのだが、勿論私は知るよしもなかったのでした。
アーウィン氏の目玉が心配です。
ミランダの力でアイアンクローされ、更に引きずられてますかね。
放してもらった後、目玉が飛び出てなければいいんですがね。




