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思ってたのと違う!  作者: 夏野恵


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第78話 一日店長みたいなノリでなってもらったら困る。

「深山さんって血液型ってなに?」

「Bだよ」

「へー若いね」

「それ、年上の人に年齢聞いたときに言うヤツじゃん」


血液型が若いってなに?



休み時間に吉川くんと話をしていた。



「でもいきなりどうしたの?」


高校生になって血液型を聞かれたのは初めてだった。


「なんかさ、よくあるじゃん」

「よくあるって?」

「血液型と性格の関係みたいな」


占いとか相性診断とかさ、と付け加える吉川くん。


少女漫画を読んで占いに関して興味を持ち始めたようだ。

高校生になってから、というのはかなり遅めのスタートだと思うけど。


血液型の性格診断といえばこんな感じ。


A型: 几帳面

B型: おおらか

O型: マイペース

AB型: 独特


「吉川くんの血液型は?」

「僕はO型」

「へぇ、そんな風に見えないけど」

「それも年上の人に年齢を聞いたときに言うヤツじゃない?」


確かに。


「占いってさ、全く信じない人とめちゃくちゃ信じる人がいるじゃん」

「そうだね」


例えば夜野さん。


自分の推しとの相性が悪いという結果が出たものはすべて信じないことにしているらしい。キャラの設定をすべて確認して占いをやってるというのは、むしろ占いを好きと言っているようなものでは、とも思うけど。


「でも占いを信じない人のほうが多いじゃん」

「あーみんな言うよね『科学的根拠がない』って」

「そう、それ!」


僕が気に入らないフレーズナンバーワン!と吉川くん。


「占いに科学的根拠が無いっていうのは、占いの本質を誤解してるんじゃないか、ってことに気が付いたんだよ」

「う、うん」


とりあえず頷く。


吉川くんはそれはそれは熱い説明を始めたが、ここでは要点だけに絞る。



言いたいことをまとめると、


・存在を否定する根拠として科学的根拠を挙げるのは適切ではない

 →存在は文化や歴史の産物

・ただし再現性や有効性は科学的根拠で評価されるべき


ということらしい。


つまり、


× 「占いって科学的根拠ないじゃん」

〇 「占いの結果は科学的根拠に乏しいものが多いじゃん」


だそうだ。


へーそうなんだ、くらいにしか思えない。

占いにそこまで熱いパッションを持っていないし。


「……そういえば血液型って実は大人になって計測したら違った、みたいなのもあるらしいよ」

「え、そうなの?」


占いの話は地雷っぽい雰囲気だったので、それとなく話を変えた。


出産直後は誤判定が生じやすいのだとか。


自分はO型だと思ってたけど、実はA型だったみたいな話を先生から聞いたことがある。A型だと知ってから、仕事を丁寧にやりだしたらしい。


血液型という情報自体も、人の性格に影響を与えてそうだよね。


「じゃあもしかして今検査したら、だよ?」

「うん」

「実は勇者の血を引いてました! みたいなことも、」

「いや、それはないでしょ」


吉川くんが言い切る前に応えた。


血液型が違ったくらいはありそうだけど、勇者の血ってどうやって見分けるの?



「そういえばさ、星座占いとかもあったりするじゃん」

「あるね」


吉川くんが話を変えた。

朝のニュースとかでやってるヤツとかだろう。


「ちなみに吉川くんって何座なの?」

「僕はかに座」

「え、私もなんだけど」

「深山さんって誕生日いつ?」

「7月5日」


僕、7月4日なんだけど、と吉川くん。


意外と誕生日が近かった。


「深山さんってアレじゃなかったっけ?」

「何、アレって」

「ほら、年上のヒーローが好きなんでしょ?」

「まー好きっていうか読んでて面白いと思うのは、って感じかな」


年上なら全員好きというわけでもない。


「僕が誕生日になった日、年上になれるじゃん」

「1日だけね」

「実際、その一日だけヒーローになれるのでは?」


一日店長みたいなノリでなってもらったら困る。

私が期待しているのはそういう類のヒーローではない。


「じゃあ、ヒーローに必要なのは精神年齢の方は上って感じ?」

「まぁそうだね」


少女漫画のヒーローも大人びたキャラの方が多いイメージがある。

子供っぽくまっすぐ好意を伝えてくるキャラも人気な印象はあるけど。


「とりあえず精神年齢が上であればよい、と……」

「なんかその確認の仕方、ちょっと気になるけど」


合ってはいるかな、と呟いた。


「そして精神年齢をはっきり図る物差しがあれば完璧、と……」

「まぁあればいいよね」

「ほら高二病ってあるじゃん、それなら—」

「その優位性、あと2か月しか生かせないけど」

「……」


おそらく高二病になることで高一の間は年上キャラになれるのでは、と考えたのだろう。高二病の人から大人っぽい印象は感じないけどね。


「あと精神年齢よりも主人公のことをちゃんと見ているかの方が大事だと思う」

「……おっしゃる通りだね」


そのあと、授業が始まるまで吉川くんは黙ったままだった。

まさか完全に言いくるめることができるとは思わなかった。



夜。



今日の休み時間に吉川くんと血液型の話をしたことを思い出し、スマホであることを検索をしてみた。


『B型とO型 相性』


一番良い、と言う記事もあれば、別にそこまで、と言う記事もある。

自分にとって都合の良いものだけを信じるようにしよう。


夜野さんもそうしてたし。


ブラウザバックして、別のことを検索しようと思って条件をさらに追加する。


『B型とO型 相性 恋愛』


検索する直前に後ろの2文字を目で確認して一瞬考えたのち、何も検索せずにホームボタンを押した。





おまけ:


誕生日ごとの星言葉。


吉川くん:

7月4日 ο1 Canis Majorisの星言葉:

     『ロマンへのあくなき追及』


深山さん:

7月5日 Adharaの星言葉:

     『恋にのめり込むロマンティスト』


秋谷さん:

2月19日 Anlairの星言葉:

     『前進する自分への可能性』

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