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第22話

「僕、有名になりたいんだよね」

「典型的な現代人だな」


少しは承認欲求を隠せ。


いや違うんだって、と言って吉川は話を続ける。

「いろんな人に自分の名前を知ってもらいたいってこと!」

「やっぱり典型的な現代人じゃねぇか」


少しは承認欲求を隠せ。



休み時間。


俺たちは雑談をしていた。



「さっき、ヘクトパスカルってやつ習ったでしょ?ああいう感じで自分の名前が後世に残るって羨ましいなって思ったんだよ」

「なるほど、お前はヘクトキチカワになりたいってわけだ」

hKiね、と呟く。


「それはちょっと格好悪いけど、ほら、単位に自分の名前が入ればずっと人の記憶に残るわけじゃん」


確かにその通りだな。


「星とか最初に見つけたら自分で名前が決められるとか言うよね」

と、寺田がいつの間にか話に入ってきた。


授業中は寝てるのに、休み時間は起きているのか。


「おっ、それならいいな。吉川、お前が新しい星を見つけて自分の名前を付ければ、後世まで人の記憶に起こるんじゃないか?」

「いや、そうなったら命名権をネットオークションで売るよ」


冷めた様子で応える吉川。


さっきまでの話はどこに行ったんだ。

というか、そもそもネットで命名権って売れるの?


「なんかこう、自分の歴史的偉業がやんわりと伝わる感じのところ自分の名前を入れたいんだよね」


吉川は言葉を選びながら説明する。


はっきり「有名になりたい」と言っていた功名心の塊が今更なにを言っているんだ。



「病名とかに人名が使われることとかあるじゃん」

アルツハイマーとか、パーキンソンとか、それはどう?と寺田。


「自分の名前を病名にするって、普通にイヤじゃない?」


例えばさ、と言って吉川は話し始めた




生徒A: やっべー、さっきから悪寒が止まんねぇわ。俺、吉川になったかも。

生徒B: おい、マジかよ。吉川が移るから半径10メートル以内に入ってくるな。


小学生の時の先生に怒られるかどうかギリギリの遊びだな。




社会人A: マズい・・・ここ最近、飲み会続きで血糖値が高めになってるかも。食習慣をちゃんと見直さないと吉川になりそうだ・・・


アイツみたいにならないように、みたいなニュアンスだな。




患者A: 先生!僕の病名は何なんですか・・・!!

医師B: あなたにこれを申し上げるのは大変心苦しいのですが・・・

患者A: そんなこと言ってないで、もったいぶらずに教えてくださいよ!!

医師B: ・・・あなたは、吉川です。

患者A: そんな・・・


お前は吉川じゃねぇよ。




「こんな感じで、自分の名前がなんか嫌われてる感じになりそうだから、病名に自分の名前が付くのはいやだね。」

「まぁお前が言いたいことはなんとなく伝わったわ」


確かに、名前が残るとしても後世でどう扱われるかは重要かもしれない。


「でもさ、日本だと嫌な感じで扱われるかもしれないけど、海外だったらそんなに人名っぽく扱われないんじゃないの?」


OH! キチカワ!!キチカワ!!みたいな感じで、と寺田は付け加える。


寺田の海外の人のイメージがフランクすぎる。


「じゃあ、何かしらの分野で大きな発見とかしないと無理なんじゃないか?」

それこそパスカルみたいに、と付け加える。


そうだよね・・・と頷き、吉川は少し考えた様子を見せる。


そして、あっ、と声を上げた。

何かを思いついたようだ。


「ヒロインだけが僕のことを記憶に刻んでくれれば、問題ないじゃん!!」

知らない人に名前を知られていようがいまいが関係ないね、と吉川。


将来の名声よりも今のラブコメだよ、と言って、この話は終わった。


・・・今の時間、マジで何だったんだ。


先生が教室に入ってきたので、俺は次の授業の準備を始めた。





「夜野さんってさ、星座占いしたことある?」

休み時間、教室のどこからか星の話が聞こえてきたので夜野さんに聞いてみた。


「一般的な星座占いって12種類しかないじゃん。そうなると144通りしか組み合わせがないわけでしょ?その程度の組み合わせで相性を示すっていうのは正確性に欠けると思うんだよね」


びっくりするほどの正論。

まぁそうかもしれないけど。


「そもそも、星座占いに相性っていう個人的な要素を入れること自体が間違っていると思うんだよね。星座占いの歴史をたどれば数千年前の古代メソポタミアの国家運営のために・・・」


珍しく饒舌な夜野さんを横目に、私は星座占いのサイトを開き、深山さんと彼女の推しキャラである‘そうくん’の誕生日を調べて入力してみた。


相性バッチリ!!みたいな結果が出ると信じたくなるものなんだって。


すぐにその相性占いの結果は出た。




『相性サイアク!!


互いに惹かれ合うことがないというのもまた、運命なのです・・・

もし、思い人との相性を調べたのであれば、なんかこう、ホント言いにくいんだけど・・・ガンバ!!』



「・・・だからね、星座占いは人との相性を教えてくれないの。他の占いとかは否定しないよ?でも星座占いで人の相性を診断する、みたいなヤツはマジで当てにならなくって・・・」


よく考えれば、星座占いを否定しているけど、星座占いをしたことがない、とは言ってなかったな。


夜野さんの話を聞きつつ、私はそっと星座占いのサイトを閉じた。

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