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思ってたのと違う!  作者: 夏野恵


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第113話 俺の夢に出てきた俺が総本山だろ。

「居眠りしてるときにいきなり身体がビクってするヤツあるじゃん」

「あるな」

「あれってなんでなるか知ってる?」


授業中になってちょっと恥ずかしかったんだよね、と寺田。


授業中に寝てることは恥ずかしくないのか?


「名前がちゃんと合ってるか分からないけど、ジャーキングってヤツだね」


不自然な姿勢で寝ていると発生するらしいよ、と吉川。


「夢の内容にビックリしたってわけじゃないんだね」

「授業中にビックリする夢見てたのか?」

「楠本くんが四足歩行で追いかけてくる夢見たんだよね」

「俺がびっくりだわ」


どういう流れで寺田の夢に四足歩行した俺が出てくるんだ。


「そう言えば、夢占いとかあるよな」

「僕が楠本くんに四足歩行で追いかけられる夢ってどうなの?」

「自分で調べたほうが早いぞ」


確かにそうかもと言って、寺田がスマホを取り出す。

しばらくしてから寺田が口を開いた。


「運気が上がってることを意味してるんだって!」

「誰の?」

「楠本くんの」


俺かよ。


「そうなったら、楠本くんの夢で僕が四足歩行してないとつり合いが取れないね」

「寺田が授業中寝てることが問題だと思うけどな」


勝手に俺の運気が上がっただけだし。


「それで、楠本くんは今日どんな夢見たの?」

「上手く走れない夢だったな」


あまり良く覚えてないけど。


「四足歩行で走ってたのに、そんなことある?」

「いや、寺田の夢での俺は知らねぇよ」


俺の夢に出てきた俺が総本山だろ。


「上手く走れないのは運気の低下らしいよ」


吉川がスマホを見ながら応える。


寺田の夢で運気が上がって、自分の夢で運気が下がるってことか。

足して2で割れば普通じゃねぇか。


「瀬野くんは?」


寺田が話を振る。


コイツ、何とかして自分の運気を上げようとしてないか?

人の夢に自分が出てくるか知りたいって結構ヤバいな。


まあそんなことは口にしないで寺田の様子を伺う。


「俺は今日、夢って言うか金縛りにあったな」


夢の内容はよく覚えてないらしい。


「金縛りってよく考えたらおかしくない?」

「おかしいかな」

「だってさ、金って漢字はどこからきたの?」


確かに。


「元々は呪術の意味で使われてたらしいよ」


術で相手を縛るっていう感じで、とスマホを見て応える吉川。


「じゃあ呪術で金縛りにして、本当は僕の運気が上がる夢を瀬野くんが見てたのにそれを消した輩がいると……」


寺田の被害妄想が強すぎる。


「それなら吉川くんは? 」

「自分を外側から見る夢だったかも」

「その視界の隅くらいに僕映ってなかった?」


必死すぎだろ。


結局、寺田の運気はニュートラルのまま推移していることが明らかになった。




*



そういえばさ、と言って吉川くんが話始める。


「夢の中でヒロインと恋愛するのって、恋愛経験としてカウントしていいのかな?」

「吉川くんの夢の中の女の子だからね」


流石に入らないと思うよ、と応える。


「深山さんは少女漫画のヒーローが出てくる夢とか見たことないの?」

「うーん、正直ほとんどないかな」


大体は現実の人が出てくることの方が多い。


「でもヒーローと夢の中くらい会いたいとか思わない?」

「それは思うね」


一緒の空間にいてみたい。


「昔のことなんだけどさ、会いたいヒロインがいたんだよね」

「うん」

「だから、枕に下にラノベを置いて寝たんだよ」


そこまでして物語のキャラクターに会いたいって思ったことはないかも。


「それでどうだったの?」

「全く夢に出てこなかったね」

「まぁ枕の下に敷くだけだしね」


それで本当にできるんだったら私もしたい。


「でも夢に出てきたキャラ、朝起きてからなんか気になるみたいなことない?」

「そういうのって普通は現実の人で起こることだと思うけど」

「どういう感じで?」

「……」


思わず口をつぐむ。


ちょっとまずい展開になりそう。

夢にたまーに出てくる人が目の前にいるし。


「……ちょっと考えたら分かるでしょ」


そう言って、私は話を切り上げた。

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