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思ってたのと違う!  作者: 夏野恵


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第107話 イルカは哺乳類である、〇か×か☻か

「最近アレにハマってるんだよねー」

「ほう」


とりあえず相槌を入れてみる。


「でもその名前が出てこないなー」


アレなんだったっけ? と言って寺田が首を捻る。

すぐ名前が出てこないんだったら、そこまでハマってないだろ。


昼休み、今日は俺、吉川、寺田の3人で時間を潰していた。


「そう思い出した、クイズだ!」

「クイズって言葉が出てこないことある?」

「いやここまでは出てたんだけどね?」


そう言って寺田は頭を指さす。


「それ、どこから出る予定だったんだ」


普通は口からだろ。


「それはいいとして、最近クイズ動画にハマってわけ」

「人気なジャンルだよねー」


基本的にゲーム実況かボカロ曲しか聞かない俺は詳しくないが人気だ。

実際、有名なクイズ系動画投稿者もいる。


「で、動画を見てるときに自分もクイズ作ってみたいなって思ったんだよね」


寺田がちゃんと興味を持つのは珍しい。


「だから、ちょっとクイズ作るから解いてみてよ」

「まぁいいけど」


俺たちは頷いた。


「ていうかクイズってどういうジャンル?」

「まずは王道の10回クイズにしようかな」

「本当に王道だね」


じゃあ最初は吉川くんから、と言って寺田と吉川は向き合う。


「パンって10回言って!」

「パン パン パン……」


吉川が10回『パン』を呟く。


「パンはパンでも食べられないパンは?」

「フライパン」

「正解!」


寺田は拍手する。


王道2つ混ざってるだろ、コレ。


「じゃあ次楠本くんね」


俺は頷く。


「『あーサッカーの顧問、練習に遅く来る割には解散の時の話長いよな』って10回言って!」

「俺がその言葉を言う必要あるか?」

「ほら、こういうのってテンポが重要なんだから」


もう文章だったか忘れたわ。


「短いヤツにしてくれ」


あと引っ掛かるようなものじゃないとダメだと思うぞ、と付け加える。


オッケーと寺田が言って続ける。


「カンニングって10回言って!」

「カンニング カンニング カンニング……」


俺は10回呟いた。


そして寺田を見る。


寺田は何も言わない。


「こういうのってテンポが大事って言ってなかったか?」

「さっき引っ掛かるようなクイズにしろって言ってたじゃん」


まあ言ったな。


「だから学校の何かしらのルールに引っ掛かる『カンニング』を10回言うクイズにしたんだけど」


10回クイズってそういうものじゃないだろ。


「あ、良いのあった、雑学クイズとかどう?」

「知識ありますか、って感じのヤツだよね」


正直、そういうのってあんまり得意じゃないんだよな。


「これは吉川くんと楠本くんに同時に出す感じになるよね?」

「そうなるだろうな」


動画とかでもそういう感じだし。


「じゃあ2人に出題します!」


そう言って寺田は一呼吸置いた。


「僕の家から学校までに信号機は何個あるでしょうか?」

「雑学クイズだけど本当に『雑』だな」


吉川が挙手をして口を開く。


「3個!」

「正解!」


拍手する寺田。


「勘で言ったけど、意外と当たるもんだね」


吉川が応える。


「この問題、楠本くん有利の問題だったんだけどね」

「これに有利不利ってあるか?」


以前、俺にその話をしたことがあるらしい。

どういう流れで家から学校までの信号機の数の話になったんだ。


「もうちょっとマシな問題にしろよ」

「仕方ないなぁーじゃあ問題!」


忘れたころに、寺田は『デデン!!』を口にした。


「缶とペットボトルで長期間保存できるのは、」

「はい!」


吉川、挙手。


「アルミ缶!」

「ですが、」


寺田は文章を読み上げ続ける。


おっと、これは長い文章で問題文を推測しろってヤツか。

ちゃんとクイズっぽくなってきたぞ。


俺は真面目に参加することにした。


「缶を冷やすのに役立つ、氷水と加える調味料は、」

「塩」


俺は答える。


アイスを手軽に作れるって話で聞いたことがある。


「ですが、」

「長すぎないか?」


寺田は問題文を読み続ける。


その後、缶に関係するいくつかのクイズを混ぜたものをひたすら寺田は出し続け「ですが」で流し続けた。


「……そんな問題はどうでもいいとして、僕の家から学校までの信号機の数は?!」


結局それじゃねぇか。


「あれ、何個だったっけ?」

「3な」


俺は答える。


「正解!」


さっき出された問題を使いまわすのってどうなの?

寺田はその後も何個か違った形式の問題を出した。




1. 雑学クイズの続き


「太陽系で最も大きい惑星は?」

「コイツ、普通に問題出してきたぞ」

「太陽系って水星から海王星までだよね」


てなると8種類か。


「分からないけど、土星とかじゃないか?」


俺は答える。


「おーやるなぁ楠本くん」


そう言いながら寺田が拍手した。


「合ってるのか?」

「残念、不正解!」


じゃあ拍手するな。





2. 〇×クイズ


「イルカは哺乳類である」


寺田が選択肢を読み上げる。


「〇か×か☻か……」

「……は?」


Q. イルカは哺乳類ですか?

A. ☻


ってどういうことだよ。


答えてるヤツ、絶対話しかけちゃいけないヤツだろ。




3. 難問クイズ


「今『クイズ 難問』で調べてるんだけどさ」

「うん」


吉川が頷く。


「『大人向け』って書いてるんだけど大丈夫かな?」

「R-18ってことではねぇよ」


じゃあいいや、と興味を失った寺田。


コイツは何と勘違いしたんだ。




「寺田ってクイズ出すの下手過ぎないか?」

「そう?」


「斬新で良いと思うんだけど」と寺田。


問題の良し悪しが全部斬新かどうかっていうのはダメだろ。


「一回俺が問題出すから吉川が答えてみろ」


そう言って、俺はスマホでクイズの例題を検索する。

四択問題の出題形式とかオーソドックスだろう。


「じゃあ問題」と言って俺は問題文を読み上げた。



Q. 次のうち、常温で液体の元素は?


1. 水銀

2. 鉄

3. 銅

4. 銀


ちなみに答えは水銀。


「これは簡単だよ」

「答えは?」


俺は尋ねる。


「水銀だね」

「正解だな」


俺は拍手する。


「たまたま知ってた感じ?」

「いや知らないんだけどさ、選択肢ちゃんと確認してみてよ」


俺に選択肢を読み上げるように言った。


「ほら、水銀だけ2文字じゃん」


だから水銀が答えってワケ、と吉川。


そういう解き方ありなの?


「じゃあもう1問だすぞ」


そう言う絞り込みができなさそうな問題を出題することにした。


Q. 次のうち、赤道が通過していない国は?


1. インドネシア

2. ケニア

3. ブラジル

4. コンゴ


答えはコンゴ。


俺が出されても多分答えられない。


「これも簡単じゃん」


コンゴだね、と吉川。


「正解」


これは流石に知識か?


「知ってた?」

「知らなかったけど、最後に濁点ついてるのがコンゴだけだった」


だから4. が正解! と吉川。

それ以外にも3つ共通してるのとかありそうだけど、なぜか2連続で正解したようだ。


「こういう感じで選択肢の中にもヒントを埋め込む感じなんだね!」


寺田が腕を組みながら鷹揚に頷いた。


普通はそういうのを排除するものなんだけど、吉川が正解しているせいで寺田が間違ったことを考え始めている。本当にそういう特徴がなさそうなものを激選してから俺は出題した。


Q. 首都はどれ?


1. カタール

2. ナタール

3. サタール

4. カブール


「カブールだけa-u-u読みだから仲間外れ!」


だから答えはカブール!と吉川。


「……正解」


俺は乾いた拍手をした。


あれ、俺も作問上手くない?

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