ちょろまかしてる
賠償金の方から見ていった。
みんなが話したがらないってことなら、記録も最低限で何も手掛かりになるようなことは見つからないと思ったから。
こっちは、ささっと目を通して終わろ。
賠償金をこれまでの1/3払うという決定に至る議事録があった。婚姻についての担当は外交の副大臣。
へー。副大臣が北の国へ行ったんだ。
国王、妃、王子に会ってる。そのときに持って行ったのが、賠償金、従来の1/3。他にも手土産や旅費の細かい出費の記載あり。
うっわ。結婚の際の見積もりもある。エグ。こんなにかかるの?! 更に持参金までって。ええーーっ。財政難だったら結婚できないって。
賠償金の一部は支払われたと考えられる。なぜなら、手ぶらで北の国を訪れることはなさそうだから。
んーっと。手土産の詳細記録を見ていると、銀を入れる箱の発注記録があった。だよね、新品の箱使うよね。60箱。すげー。
あ、れ?
銀を入れる箱の大きさは国中共通。央の国の単位で、重さ1の銀が10入って1箱。
毎年、賠償金は銀2400。240箱。
1/3なら、銀800。80箱のはず。なのに入れ物の箱は60しか注文されてないじゃん。20箱分の銀、どーやって運んだ? ってか、これ、運んでないよね。
こんな大それたことをちょろまかせるのは誰?
記載した人は何も知らないと思う。知ってたら80って書いて、20箱を作る分の金額もポケットにINする。
絡んでいるのは記載した人より上の立場?
外交の副大臣は絡んでるよね。持って行くなら、箱、数えるっしょ。
帳簿を追っていく。ひたすら並ぶ、日付、品物、値段、支払い先。
「*月*日 拉麺20人分 ** 麺丈夫」といった具合に。あ、これ、あの器を河で洗うキッチン船の冷麺かも。
大金の記載があった。支払い先は水運屋。これって水運屋に船で運んでもらったってことだよね?
政府の船、使ったのかと思った。政府の船ってないんだっけ? あるよね。燈実様が土木部門の船があるよーなこと言ってた。
賠償金については終了。収穫あり。
ツンツン
翠蘭が私の肩をつつく。
『金獅子香炉』と翠蘭が板に筆談。何のことだろ。翠蘭は冊子の1つを広げ、指差す。それは央の国から東の国へのお土産リストっぽい。
「金獅子香炉? あ。あれだ。港の使用許可証が入れてあったやつ。そーだった。香炉の蓋の持つとこ金色だった。獅子だか龍だか忘れたけど」
変。
なんで東の国への贈答品が寺に送られたんだろ。東の国への船が出航したのは2年も前。
央の国の正式な貿易は一風変わってる。央の国が大艦隊で他の国へ行って、「オレんとこと仲良くしない? 子分にしてやってもいーぜ」ってオラオラ風吹かすの。そうすると「ははーっ」って子分になる。
で、子分は央の国に貢物を持ってくる。央の国はその10倍くらいのお土産を渡す。さらには、子分が戦争やら何やらで困ってるとき助ける。
正式な貿易は華港でだけ。僅か。当ったり前じゃん。大艦隊の用意や他の国へのお土産に金がかかりすぎる。
華港の正規の港で役人が寝てたのも当然。今年は船の出入りの予定なし。知らんかったわ。ほぼ使ってねーじゃん。
じゃ、あの役人、いらなくね?って思ったわけ。そしたら、正規の港での密貿易や、東のヤバいアウトロー海賊が上陸するを防ぐためにいるんだって。
2年前の東の国への出発したときの記載を見ていく。
翠蘭が教えてくれたお土産リストっぽいのは、所々に行間があった。
穀物、薬、縄、その他諸々。その先は、行間を○で示すと、こんな感じ。
○ 書物 ○ 書物
○ 生糸&絹織物 ○ 生糸&絹織物 ○ 生糸&絹織物
○ 陶磁器&芸術品 ○ 陶磁器&芸術品 ○ 陶磁器&芸術品
○ 銅銭 ○ 銅銭 ○ 銅銭 ○ 銅銭
なんのための行間? 食べ物と薬の間はぴったりくっついてるのに、銅銭と銅線の間が空いてる。他の部分だってそう。翠蘭も首を傾げてる。




