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港使用許可証の怪

「行くとき、金満寺に香炉を届けましたよね。その中に入っていた札『華港使用許可証』と『河港使用許可証』の番号」



 御者は燈実様の仕事の早さに「もう?」と驚いてる。



「誰の船だった?」



 李氏様に問われ、燈実様は読み上げる。



「『華港使用許可証』の『六零八(リィゥリンバー)』は金満寺の船。『河港使用許可証』の『一二(イーリィャン)』が金満寺の船で『(サン)』は国の土木部門の船でした」


「金満寺か」



 なーんだ。

 金満寺は香炉を持って行った寺。だったら問題ない。金満寺の船の使用許可証が金満寺に届いた。



「許可証を発行したから渡したんですね」



 それだけ。



「いや、おかしい。華港使用許可証は異国への返礼品を華港へ運ぶ船か、あるいは異国からの貢物を都に運ぶ船が使う。華港に異国の船が到着したのは2年前のこと。去年と今年は財政難やいろんな事情で発着はない」



 だったら、



「発着予定がないのに新しく華港使用許可証が発行されたってことですか?」



 密輸するため? んなことないよね。密輸だったら隠し港でできるもん。

 燈実様は不思議な事実を述べた。



「華港使用許可証の発行は2年前です」


「「「は?」」」


「河港使用許可証の方は今年の初めです」



 なんで? 今はもう夏。いやいやいや。2年も前って方が謎。



「港の使用許可証、未使用のぴかぴかでした」


「何のための船なんだろうな。寺が船を持ってるなんて。商いなんてしないのに」



 そこで御者が一言。



「名義貸しじゃないですか?」


「「「名義貸し?」」」


「寺の船は税と港の使用料がかからない。金満寺のトップは元経済の副大臣で話を通すためのめんどくさい手続きや接待や賄賂がいりません」



 知らなかった。船って税がかかるんだ。

 貴族の船は、港の使用許可証不要、但し、税と港の使用料は払う。商いに使う場合は、税も使用許可証も使用料も必要。

 寺の船は使用許可証は必要、税と使用料は不要。


 寺って貴族以上の特権階級じゃん。



「なるほど。ありうる。では、未使用の件は?」



 李氏様の追求に、御者は「うーん」と再考し始めた。

 未使用ってことは、ふつーに考えて、



「仕事請け負って、金だけ貰って船を出さなかったのでは?」



 西の国境ではそんなことが多発してた。貰い逃げ、口約束逃げ。役人は国境を超えてまでは追って来ない。管轄外。それに国と国との問題になるから。



「なるほど。名義貸しとセットかも。外交部門の官僚が、元経済部門の副大臣に送った。なんかありそうですね」



 御者の言うとおり。絶対ある。


 静かになったとき、気になってたことを質問する。



「あの、あれって何ですか? 燈実様のお父様がおっしゃってた」


「あれ、か。それは僧兵だ。私と燈実が度々祖先縁の寺へ行ってただろう? あそこに李家の僧兵がいる」



 え、つまり、家で軍を持ってるってこと!? 李家って、陳氏とは別方向にすごい。



「コイツはそこ出身。素行が悪くて追い出されたの」



 燈実様が御者を見る。



「ぜってーあの生活はムリ。追い出されたんじゃなくて逃げた」

「しれっと武官に応募してるし」

「受かったからいーだろ」

「原因は女」

「うるせ、素人D T」


「ま、トップ合格だったのだから、寺の師匠らも文句を言えなかった。あっぱれだ」



 2人の小競り合いを李氏様がまとめた。



 前回の会合で課題となっていたのは4つ。


・北部の飢饉

・北の国への賠償金未払い

・財政状況

・軍の状況


 北部には飢饉があった。都から食料が送られたことになっている。北の国への賠償金は1/3支払われた。財政状況はボロボロ。軍の状況は、燈実パパが把握して陣頭指揮。


 P.S. 武器、兵糧を用意する戦費は、黒い金をほじくり返して工面する?




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