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どこからきたのか

[じゃ、まず、その人に会ってみる]



 そう言ったキラに、李氏(りし)様は、まだ都に到着していないだろうことを告げた。


 旅路の途中。劇的な兄妹の再会は終了。




「生き別れの兄ちゃんだって?」

「よかったな。うっうっうっ(泣)」

香香(シャンシャン)、お前、苦労してんだな」


「あ、香香じゃなくて」



 (リー)に改名したことをみんなに伝えた。



 兄を助けた人に感謝。? なんで、西の国に知ってる人がいたんだろ。私が西の国境で道案内を始めたのは、兄がいなくなってから。兄が西の国へ行ったのは戦争だけ。


ーーーキラ様は16年前にチスタンという国を滅ぼし、その広大な領地を治めている一族ですーーー


ーーーキラ様は、チスタンの欠片(かけら)を拾い集めていらっしゃいます。とても興味がおありのようで、捕虜の中にいた元チスタンの国の人を自分の屋敷に住まわせているのですよーーー


 突然思い出した西の国の侍女と交わした会話。

 チスタンが滅んだ年と私達が戦争孤児になった年が一致する。


 兄と私はチスタン人かもしれない。

 だったら、隠す必要ないよね?




 キラと兄が乗る船から遅れること1日半、修理が終わり、船が出港。ゆっくりと大河に泳ぎ出す船。ロマン感じちゃったよ。私もこの船に染まってる。


 次の港での商売は上々。



「高く売れましたね」


「都が近いからな。人も金も集まってる」



 都より海寄りには、南北に走る巨大運河がある。国の北の方からの船もたくさん来てる。



 甲板から正規の港の方を見れば、C印の蔵がいっぱい。(ちん)氏の蔵。



「あれ、何が入ってるんですか?」


「さあな。海の方は海外からの見たこともねーもんが入ってるって話や。ここは河だから、なんやろーなー」



 訊いても船員達は他人事(ひとごと)。何で儲けてるのか知りたくないの? そこにビジネスチャンスがあるかもなのに。真似したら儲かるかもとか、欲しがってるもん売りつけてやろうとか思わない? この人ら、マジで商売根性ナシ。



「もうすぐだね、麗」


「うん。新しい名前で呼んでくれてありがと、春玲(チュンリン)


「アタシこそ。船長に頼んでくれてありがと」


「よかったね」


「1年だけって言われた。そしたら少しは大人になって世渡りできるようになるかもって」


「世渡り、か」



 なんか、「悪いことへの耐性」みたいに聞こえたのって私だけ?


 船長は春玲に、私が迎えに来ることを伝えていない。変な希望を持たせちゃダメだって言われた。それから、人のことよりも自分のことを考えろって。




 なんとかなる。

 悠然と流れる大河を眺めると、自然とそう思える。



「これホントに川なん?」



 そう尋ねてしまうほどの河幅。

 


「海の辺はもっとすげーぞ」



 最初、この船の大きさにビビった。こんなでかいのって。手で漕ぐ5人くらいで乗る小さな船しか知らなかったから。西の国境付近は雨が少なくて乾いた土地。川が小さいから大きな船は通れない。

 この河ならでっかい船も納得。この船より大きな船も何隻も行き交ってる。



 都は河の北側に位置する。

 雲嵐はこの川より北に住んでたよね。馬で来てたんだから。見たところ山は少ない。下船したら、まず地図買お。



 船が都の外れにある隠し港に着岸したのは明け方だった。人知れず、こっそりと停泊する。人が少ないときに下船して、李氏様の屋敷を目指すつもりだった。のに。牢には鍵がかかったまま。


 やっと船底に船員が来た。それは港が活気づいてから。ダメじゃん。人いっぱい。逆に紛れられる?



「じゃね、春玲。元気でね」


「やだぁ。寂しーよー」



 春玲は可愛い顔をぐしゃぐしゃにして泣いてくれた。

 甲板で春玲と別れのハグ。


 船員達は私に構ってる暇なんてない。積荷を全て下ろすのに大忙し。これから、今までで1番の大商いが始まる。







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