表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/253

C

変更しました。往路の章、

エピソード「寒春荒野の謎要塞」を

エピソード「異能発揮場所不問」「六零八」「エリート天下り寺」「寒春荒野の謎要塞」に変更しました。




 嵐が去った。

 甲板にはどこからか飛んできた木の枝や死んだ魚が転がる。船体は所々傷み、帆は惨憺たる有様。


 修繕費に頭を抱えていると、どこからか船員達が小船で何かを運んでくる。



「おーい。あっちの港から持ってきたぞー」



 あっちの港って、正規の港?

 小船には大きな布。長い木の棒。まさか、帆の部分、盗んできた?



「おうおうおう。こっちこっち」

「早く直そうぜ」

「木の板も盗ってこいよ」

「そりゃムリ。船切ってたらバレる」



 モラルの欠如、激しすぎ。

 トンテンカンテンと修理が始まった。船体をチェックする船員、木材や竹を調達しに行く船員、帆を縫う船員。みんな働き者。春玲(チュンリン)と私は食べ物を用意した。


 青空は気持ちいい。握り飯を配りながら辺りを見渡す。正規の港の方向に、立ち並ぶ蔵。壮観。

 都が近づくにつれて川幅は広がり、大河という名に相応しくなる。正規の港は大きくなり、港町は派手になる。蔵の数の大きさは行き交う物資の量。



「あっちの港、蔵がすごいですね」


「ああ。望遠鏡で見るか?」



 船員が望遠鏡を貸してくれた。おおーっ。見える見える。「C」って印がついてる蔵多数。



「同じ印の蔵、いっぱいありますね」


「陳家の蔵だ。都の港にはもっといっぱいあるぞ。Cだらけ。華港にも陳氏の蔵がある」


「大金持ちですね」


「そーさね。内閣府長の一族さね」


「それって大臣をまとめる内閣の長でしたっけ?」


「おうおう。皇帝の側近中の側近。皇帝は後宮にも行かず、陳氏を寝所に入れてるって聞いたぜ」


「えー。皇帝ってお爺さんですよね。想像したくないぃ」


「ははは。陳氏だってじーさんだろ。権力者なんてじーさんばっか。面白おかしく言ってるんだよ。それくらい、皇帝は陳氏の言いなりってことさね」


「そーゆーことですか」



 陳氏。どっかで聞いた。確か、旅の最初に寺へ行ったとき。ヒゲの薄い人。んーっと。あ、思い出した。李氏様の元上司で、法の部門から外交の部門に異動した人。

 香炉に「華港使用許可証」と「河港使用許可証」を入れて、元経済の副大臣だった住職に渡した人。


 李氏様の元上司は外交部門だから、皇帝の側近、内閣府長の陳氏とは別人。親戚かな?



「香香、この次の次に停まる港は、もう都だぞ。どーすんだ? 船まであのイケメンらが迎えに来るのか? どこに停泊するかも知らねーのにムリだよな? こっちの方が早いし」


「まだ考えてません」



 自分だけじゃなく、春玲(チュンリン)のことも考えたい。春玲が自由になりたいなら、私が春玲を買えばいい。金はある。船員達はホントに無欲で、私の身体検査をしなかった。証文、お(さつ)、銀を持ったまま。


 春玲はどうしたいんだろ。



「帳簿、つけてもらったけどな。あれ、もう使えんな。誰も読めんし書けん」


「そーですね」



 一緒に積荷整理をしていた船員は、数字を読めるようになり、そろばんで簡単な四則演算ができるようになった。凄い早さで覚えた。でも、文字は読めないまま。時間が足りない。



「あれつけると、金、貯まるんか?」


「わかりません。安く仕入れて高く売れば儲かるんです」



 シンプル。



「帳簿つけると、貯まるぞ」



 積荷整理を一緒にしている船員が会話にIN。



「そうなんですか?」



 両方の場合を知ってる人の言葉は説得力あり。



「今まで、足し算や掛け算分からんで、損しとったのもあるし、仕入れ値忘れて安く売ったのもある。そーゆーのなくなってええ」


「やったらお前、字ぃ覚えいや」


「な、絵で描くわ。ほんで、積荷の箱に数字の紙貼るやん。その数字と絵で分かるって」


「それ、いいですね」


「なかなかやろ」


「おお、なかなかやな、お前。やるやん」


「香香、残っとる商品、読んでくれ。オレ、絵ぇ描くで」


「分かりました」



 着々と別れの準備をする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ