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秘おしりのしるし

 雲嵐(うんらん)が私と手を繋ぐ。指を交互に入れて。



「今日、みんなに関係訊かれてさ。だから、オレ、恋人って言った」



 こいびと。その響き、破壊力が半端ないわ。



「……」


「そう思ってるけど、いい?」



 顔が熱くなる。じわじわと幸せが込み上げて。嬉しさで口元が歪むし。

 こくんと頷いたまま俯く。

 そんな私の顔を覗き込むように、雲嵐はキスをした。



 ンアーァ



 ガオがむくりと起き上がって伸び。お尻を突き出してから左前足、右前足と順番に思いっきり突っ張る。それから、雲嵐と私の方を見向きもしないで小屋を出て行った。開けっぱなしになった扉を雲嵐が笑いながら閉めた。


 私の隣に戻ってきた雲嵐は、



 ちゅ



 と唇にキス。

 大きな両手が私の頬を包む。雲嵐の瞳の中に私が映る。とくん。嬉しさが鼓動に変わる。とくん。とくん。

 !

 侵略のキス。覆い尽くされる。小さな口の中が内臓全てに変わっていくような。両肩から背中がぞくぞくして何かに包まれたくなる。それは紛れもなく雲嵐の腕でしかなくて。そのことを伝えたいのに息が上がるばかり。

 言葉にできない感情も、呼吸も、全てが雲嵐に呑まれる。


 ムリ。

 キスだけでこんなになっちゃうなんて。この先なんて、死んじゃう。


 やっと口が解放されると、至近距離に、上気して頬を染め、微笑むように目を緩める雲嵐の顔。軽く開いた唇はまだ何かを欲しているようで。扇情的。抗えない。

 ぎゅっと雲嵐の服を掴む。縋りつきたいのか、一旦止まって欲しいのか、自分がどうしたいのかどうされたいのか分かんない。雲嵐の体の中に入ってしまいたい。変だね。この先は別々の体じゃないとできないことなのに。


 髪に頬に手首にたくさんキスされた。もっとキスして欲しくて、でも恥ずかしくて、自分の襟元を握る。そしたらその手にキスが舞い降り、優しく胸元が開かれた。

 雲嵐の指、熱い。

 指で触れられた部分がぽっ、ぽっと熱をもつ。熱が私の全身にうつる。

 求められるのが、こんなに幸せなんて。


 ゆっくりと寝かされた。むしろの上。その下はひんやり固い土の床。

 カランと(かんざし)が転がった。瞼へのキス。

 指、舌、吐息、蕩ける。

 膝の内側にキスされたときはもう、はぁはぁと息が荒くて。こんな風になってしまった姿が恥ずかしい。体中が沸騰してる。


 揺れる。

 痛みより好きな人で満たされた感激に酔う。

 首にしがみついた。ぐっと奥歯を噛み締めて。ねぇ雲嵐、夢みたいだよ。夢だったんだよ。


 雲嵐の声を聞いた。自然に漏れ出た吐息のような。

 汗ばんだ肌でびくびくと震える体を抱きしめられる。


 憧れていた愛する人との睦事は、体ばかりか心も脳みそも蕩けた。男に貢ぐバカ女とか、罪ってわかっても貫通してしまうとか、なんとなく分かった気がする。



 まだ夕方。小屋の中に明かり取りの窓から柔らかい光が差し込む。

 隣に寝転んだまま、雲嵐は私の体を眺めた。



「恥ずい。そんなに見ないで」


「綺麗」



 その言葉が心からのものだと伝わってくる。

 自分にまとわりついていた「私なんか汚い」って気持ちがぱらぱらと剥がれていく。


 雲嵐は人差し指で私の髪を額から耳の後ろに流したり、肩をつついたり、胸をつついたりして遊ぶ。



「きゃ」



 指の戯れに寝返りをうつと、今度は背中にキスの雨。肩甲骨、背骨、腰。



「あれ? お尻に」


「うん。兄から聞いた。自分じゃ見えないの」



 雲嵐は、左のお尻の丘の天辺にキスをした。


 私のお尻には痣がある。火傷の痕のように赤い。大きさは親指の先ほどで、チューリップのような形の上に点が3つ。点は花弁の尖った部分の上にそれぞれある。たぶん、キラにも見られた。



「生まれたときから?」


「分かんない。私、戦争孤児なの。兄が5歳で私が1歳のときに逃げてきたの。そのときにはもうあったみたい」


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