表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/253

同じベッドにIN

[私を人質にしなくてもよかったのに。第二皇女がこの国に嫁いでるんでしょ? もう人質いるじゃん]


[あの場で人質が欲しかったんだよ]


[あ、そっか]


[それにさ、第二皇女がこっちにいるのに戦争仕掛けてくるから困ってんじゃん]


[嫁に行った先で、なんてお辛い立場]



 夫に先立たれた上に、母国から戦争仕掛けられるなんて。皇女ってちっとも楽じゃない。



[あ、じゃさ、まず、捕虜を解放するのは?]



 提案してみた。



[捕虜?]


[捕虜の解放は両方の条約に書いてあったよ。調印はまだだけどさ、すぐに解放して誠意? 譲歩? とにかく、分かりやすいことをする] 

 

[あ、それ、いーかも。ちょっと皇后様に言ってくる]



 キラは部屋を飛び出して行ってしまった。フットワーク軽っ。なんというか。警戒心は? 私が逃げたらどーすんだろ。


 私はすぐさま骨付き肉を皿に置き、やっぱレタスに包んで胸元に入れ、部屋のドアを開けた。おおー。見張りいないじゃん。大丈夫か、この屋敷。表向きは本物の皇女を匿ってるところなのに。


 空には細い弓のような月。

 廊下は庭に面している。腰までの壁に屋根が付いている半屋外の造り。柱と柱をつなぐ上の部分はアーチ型になっていてエキゾチック。廊下を歩きながら庭の先を見ると、塀があった。♪。それほど高くないじゃん。

 近づいて登り、絶望。

 塀の下、僅かな月明かりでほぼ垂直の岩肌が見えた。ここは絶壁の山の上。遠くまで見渡せる。


 国境から馬で来られる場所。戦争のときに戦況を見るための拠点かもしれない。


 散策中断。

 部屋で胸から肉を取り出して頬張った。



 

[ただいま]



 キラが帰ってきた。なんで?



[皇后様んとこに行ったんじゃないの?]


[行ってきた]


[え?]


[別の部屋にいらっしゃる]



 だから戻ってくるの早かったのか。



[どうなったの?]


[皇帝の許可が降り次第、捕虜を解放するって。早馬を出した]


[よかったぁ]


[香香、ここ]



 キラは自分の胸を指差しながら、私の胸元に視線を送る。え?

 見れば、肉を胸元に入れたときの肉汁が服に染み付いている。



[あ、やだ。あはは]


[はい、着替え]



 キラがクローゼットから着替えを取り出す。[ありがとう]と受け取り、素朴な疑問。



[キラってどこで寝るの?]


[ここ]


[私は?]


[ここ]



 は?



「部屋、足りないの?]



 そんな風には見えなかった。



[見張りが足りない。偽物って知ってるのは皇后様とオレだけ。皇后様に見晴らせるわけにいかねーじゃん。それにここって、山の上で水や食料運ぶのに不便だから、そんな大勢のキャパないし]



 釈然としない。



[そーなんだ]


[それとも、スル?]



 キラは横目で私を見て、碧眼をきらりーんと光らせる。



[な、何言ってんの?!]


[はは。大丈夫。オレ、ケガしてるから]



 え、ケガが理由なの? そもそも、私の命を救うために、キラが皇后様に頼んでくれたんだったら、本来ならスルのが筋? 教えて翠蘭。でもでも、初めてなのにいきなり自分がリードするのはハードルが。キラは怪我してるから、安静に寝てて、だったら私が上ってことだよね。んーっと。翠蘭も上になってたことだし、頑張ればできるかも。だって、命助けてもらったんだよ? もっとちゃんと聞いとけばよかった。すいらーん。


 気づけばキラは、仰向け気をつけの姿勢で寝息を立てている。


 失礼な。こんなに若くて食べごろの女の子が隣にいるのに。


 ……私、魅力、ないのかも。


 ヨカッタ。


 同じベッドっていっても、昔住んでた部屋くらいの広さ。気にすることないよね。寝よ。疲れた。やっぱ、まだ頭変な感じ。



  遠くから狼の遠吠えが聞こえた。それは静かな夜にいつまでも物悲しく響き渡った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ