二国間条約不一致
香香達の住む国を、央の国とします。
読んでくださる方、ありがとうございます。
大筋のみ決めて書いております。読み直すと、月日や季節、土地など辻褄が合わない部分が多々あります。少しずつ修正していきたいと思います。
キラは片膝を立て、もう一方の脚を投げ出して寛いでいる。
調印のときの荒々しさや野太い声からは想像できない穏やかな姿。碧色の瞳は静かな時間を見つめる。
[皇后様の身代わりをした報酬として、君を引き取ったんだ。皇后様とオレ以外に偽物とバレたら殺される。気をつけて]
[キラは私のこと、殺さない?]
[そんなことしない]
それを聞いてホッとする。
[よかった]
[君にそっくりの娘に会ったことがある]
[うん。会ったね]
[ホントに? 香香!?]
キラは碧色の目をきらきらさせて、いきなり子供っぽく身を乗り出した。
[うん。こんな風に会うなんて。あ、短刀刺さってなかった?]
うっすらとそんな記憶が。
[手当した。あの男、ちょー強ぇ。香香いなかったら、オレ、殺られてた]
そっか。燈実様、腕に自信あったんだね。絶対守るって言えるくらい。
キラをよく見れば、左肩から肩甲骨辺りの服が凸凹している。
手負い。じゃ、大丈夫。襲われない。大きなベッドの上ってゆーHなシチュエーションを気にしないでいられる。あれ? 気にしなくてもいーんだっけ?
キラは[食事、食べられる?]と訊き、部屋を出ていった。しばらくするとワゴンに食べ物と飲み物を載っけて持ってきてくれた。
国が違えば食が違う。国境近くに住んでいたから、時々口にした。香辛料の効いた鶏肉はジューシーで柔らかくて、久しぶりのパンや野菜の味に舌鼓を打つ。うっま。
キラは食事する私に嬉しそうに目を細める。
[香香、人質なのに悲壮感ないのな]
今はとりあえず、美味しいもの食べてるもん。口に頬張ったまま、私は首を縦にふる。湯圓ババアに怒られそう。
キラがいるから怖くない。
[ね、キラって王族?]
皇后様と秘密を共有しちゃったりして。
[違う。オレは、んーっと。どう説明すればいいのか。権力者の息子。ここは皇后様管轄の土地で。表向きには、皇后様が第七皇女を匿ってるってことになってる]
[なんで私が偽物って言わなかったわけ? 和平条約の中身が違ってたのは、どーゆーこと? なんか、分かんないことが多すぎ。どーして皇后様とキラしか知らないことがあるの?]
分からないことだらけ。
[1つずつ説明すっか。
さっき言った通り、皇女が偽物なのは皇后様とオレしか知らない。
2つ目、オレが皇后様の代わりにあの場まで行き、安全だった場合、皇后様がいらして調印する予定だった]
[じゃ、あの場に皇后様来てたの?]
[護衛の兵士が待機してたところに]
あらら。本物出そうとしてたんだ。
[で、安全じゃなかった、と?]
[ハプニング勃発。2枚の条約の内容が違うって第七皇女がサインを渋った。これが3つ目。
4つ目、香香の央の国でもこっちでも、本物の第七皇女が拐われたことになってる。
5つ目、こっちの国は圧倒的に不利な状態にある。
以上
あ、おまけ。第七皇女を本物ってウソついてるのは、そんなこと言ったら香香が即殺されるから。オレが皇后様に頼んだ]
[ども。ご配慮、ありがとーございます。不利なのは、第七皇女を拐ったから?]
[もちろんそれが1番大きい。対面的にはこっちの皇后様が偽物って思われたままってことも]
[大ピンチじゃん]
[マジで詰んでる]
はあーっとキラは盛大なため息。
なんか気の毒。誠意を見せた方が不利なんて。
[2枚の条約の紙はどこにあるの?]
[皇后様に渡した]
[じゃ、まだ詰んでないかも]
[?]
[条約の内容が違うってことは大きな声で言ったらから伝わってる。そしたら、西の国は条約の中身にブチ切れたってことじゃん。筋、通ってるよ]
[そっか。そーとも取れるのか。実際は、オレ、央の国の字、読めないけどさ]




