表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/253

再会イケメン異人

 自分の任務を遂行するだけ。胸から筒を取り出し、紙を広げた。

 

 へー。ふむふむ。


 私は西の国の文字なら読める。西の国の文字は数が少なく、シンプル。ほぼ発音と繋がっている。ちょうど、こちらの国のピンインの量を覚えれば完結する。

(注:ピンインは日本の平仮名に当たる文字)


 紙に書かれた条約には、捕虜の解放、どこを国境とするか、どれだけの賠償金を支払うか、今後は戦争をしないことが書かれている。賠償金がエグい。西の国は銀で支払うのか。


 偽皇后が持ってきた漢字で書かれた条約を読む。

 あららら。

 捕虜の解放、今後は戦争をしないはOK。国境、違うじゃん。賠償金を銅で支払うことになっるし。



[サインできません。内容が違います]



 その言葉を、少し離れて馬と待つ燈実様に聞こえるよう言い放つ。



 ピュ〜イ

 ガッ!



 即座に偽皇后が指笛を吹き、調印する机をひっくり返した。立ち上がった偽皇后はさっきより頭一つ分背が高い。男!

 駆け寄る燈実様。目の前にバッと黒い布が広がり、燈実様が視界から消える。目を奪われた一瞬で抱き抱えられる。



 バサッ



 宙で黒い布が真っ二つ。裂け目から剣を持った燈実様が見えたとき、馬が駆ける蹄の音が近づき、



「うわっ」



 いきなり体が浮く。私は馬の背中に荷物のように放り投げられた。すぐさま偽皇后が馬に跨ってくる。



[撤退]



 偽皇后が野太い声で指示を出す。



「香香!」



 後ろから燈実様の声と馬の足音。

 助けろよ! 絶対守るって言ったじゃんっ。


 たくさんの蹄の音と剣を交わす音も聞こえる。


 うつ伏せのまま激しく揺らされ、振り落とされそう。見えるのは馬の胴体と地面だけ。偽皇后が私の腰をガッチリ抑えていて、逃げられない。



[放せぇ! クソ野郎]



 ジタバタ暴れる私に、偽皇后が[危ない。落ちるぞ]と言う。



[てめぇ、偽物じゃん。卑怯者ぉ。下ろせぇ]


[お前も偽物だろ。皇女とは思えん]



 どかっ



「うわっ」



 落ちる! セーフ。たぶん、燈実様が馬を蹴った。並走してる? 音しか聞こえない。



「香香、捕まれっ」



 燈実様、それムリ。どこに捕まるものあるのかすら見ることができない。馬の背に掛けられた荷物状態。



[ぐっ]



 偽皇后が変な声を出した。


 そのうち、他の馬の足音も人の声の聞こえなくなった。それでもまだ馬は走り続ける。走って走って走り続けて、やっとどこかに到着した。

 馬から降ろされたとき、偽皇后の肩に短刀が刺さっていた。目の前がだんだん暗くなる中で、短刀に太陽が反射する。体に力が入らない。鞍が当たっていた脇腹が痛いし、ずっと下になっていた頭が爆発しそう。崩れ落ちていく私を偽皇后が受け止めた。


 


 気づいたのは、肌触りのいいふかふかのベッドの上だった。頭がぼーっとする。額に違和感を感じて手をやると、ひんやりとした布が載っていた。夜? 灯りが灯っている。仄かに香る香辛料。



[気づいた?]



 どこかで聞いた声がした。

 起きあがろうとしても、まだ頭が重い。



[誰。どこ]



 声の主が視界に入った。キラ? 下の下の下の仕事をしていたときに会った男。



[連れてきて、ごめん。あのとき、攻撃されないように人質が必要だった]


[……うん……]


[オレはキラ。皇后様の身代わりをした]



 自己紹介をすると、キラは私をそっと抱き起こす。そして、背中に枕やクッションを置いてくれた。

 あ、れ? 服が変わってる。西の国の服。硬く結い上げてあった髪は解かれている。それからもう1つ。キラと私は大きな1つのベッドの上。



[あ、の。着替えは……]


[医師に見せたから。そのときに。服、やったのはオレじゃない]


[医師に?]


[脇腹んとこから血が出てたから手当した]



 見られとるやん。



[ありがとう]


[君、左のお尻に]


[え?]


[いや、ごめん。なんでもない]



 脇腹だけでなくお尻も見られたっぽい。ううっ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ