内閣府長の埋蔵金
「内閣府長はなぜ依頼したのでしょう?」
「金満寺の住職は芸術を分かる人なのだそうだ」
芸術好きではあるのかも。んー、ちょっと派手好き?
私は寺で見た壁一面の絵を思い出す。鳳凰と赤に近い桃色の梅の花。
夏世界は、不遇時代、売れなかったの金獅子香炉を税として納めた。その作品が、2年前、金満寺の住職によって、東の国へのお土産として選ばれた。
金満寺の住職は金獅子香炉をいたく気に入り、「本当は自分が欲しいけれど、この素晴らしさを東の国へ広めたい」と語った。
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ーーー本当は自分が欲しいけれど、この素晴らしさを東の国へ広めたいーーー
先日見た、東の国への土産の積荷の記録を思い出す。行間で区切られた芸術品&陶磁器の群は3つあった。3隻の船に積むと推測した。1つ目と3つ目の記録部分には、夏世界の金獅子香炉があったけれど、2つ目にはなかった。
そして、私の推理をもとに、燈実様が積荷の記録と華港使用許可証の番号を対応表を作ってくれた。
六零一、水運屋、 穀物、薬、縄、その他諸々
六零二、水運屋、 書物
六零三、水運屋、 書物
六零四、布市、 生糸&絹織物
六零五、銀満寺、 生糸&絹織物
六零六、舟商、 生糸&絹織物
六零七、舟商、 陶磁器&芸術品
六零八、金満寺、 陶磁器&芸術品
六零九、宝組、 陶磁器&芸術品
六一零、水運屋、 銅銭
六一一、水運屋、 銅銭
六一二、水運屋、 銅銭
六一三、水運屋、 銅銭
仮定に過ぎなかったけど、たぶん、この通り。
六零八に対応するの金満寺の積荷記録には、金獅子香炉がなかった。
目利きの金満寺住職お墨付きとなった金獅子香炉は評判となり、芸術を愛する者の中で密かにブームとなった。夏世界は大忙し。
価値を見出した住職は金獅子香炉を持っていなかった。内閣府長の陳氏は、夏世界に仕事の余裕ができるのを待ち、制作を依頼し、住職にプレゼントした。
「いい人ですね」
内閣府長ってば。
「そうなんだ。いい人なんだよ。だから皇帝も頼りにしてるし、あの外交の大臣も経済の大臣も慕ってるんだ」
李氏様はパタパタと扇子で扇ぐ。今日も暑い。
御者は布で首の汗を拭く。
それでも、内閣府長は東の国への土産をパクった仲間かもしれない。内閣府長からのプレゼントに華港使用許可証と河港使用許可証が入っていたから。ただ、外交部門の陳氏が入れた可能性もある。李氏様に金満寺住職へのお使いを頼んだ元上司。
「内閣府長が、皇帝の前に全ての文書チェックしてよーが、謁見する人チェックしてよーが、献上品を勝手に自分の物にしよーが、文句言われないのはさ、やっぱ、周りが認めてるんだろーな」
「凄まじい仕事量なんだ。下の者への気遣いもある。少しくらい私腹を肥やしたところで誰も文句は言わない。陳氏様の家には、宮中より美しい調度品があり、国庫金よりも多くの財があると言われている」
ぜんっぜん少しじゃないじゃん。$_$
「埋蔵金ですか?」
「まいぞーきん?」
「埋蔵金と言われているのだ」
都市伝説っぽい。きっと、
「元経済の副大臣だったら、金満寺の住職は埋蔵金のこと具体的に知ってますよ。埋蔵金の中から東の国へのお土産選べばいいのに。選んでそう。住職が」
「それだったら調べられる。2年前、金満寺の住職はもう出家している。宮中に入るときは記録が残る。税として納められた芸術品は、宮中にあるはずだから」
宮廷に入ることができるのは、現職官僚のみ。訪問者は厳しくチェックされ、記録が残る。
「では、調べておきます。宮中に入った記録がなければ、横領の証拠にはなりますね。犯人の特定までには至りませんが」
何冊もあった貿易の資料は返却し、新たに飢饉の資料がやってきた。1冊。収穫ナシ。穀物の量と水運屋への支払いが記録されてただけ。
「せめて、何日に出発したかくらい、記録があると思ってました」
ないし。
「私は官僚だから、水運屋に訊く権限はある。が、怖くて訊く勇気はない」
「粛清されますもんね」
御者は汗を拭いていた布を首に巻いて締めるジェスチャー。
なんか、こんな話ばっか。きっと、
「船に乗せなかった米は、C印の蔵に入っちゃったんでしょうね。宮廷にはすっごい量の米が眠ってるんですね。金銀財宝も。金獅子香炉、はもうないんでした」
諦め気味でだらける。
「麗、宮中には穀物を保管してない」
と御者。
「ではどこに?」
「穀物倉庫は官舎の辺りにある。オレの部屋の近く」
御者って官舎に住んでるんだ?
「そーなんですね」
「そーいえば初雪の次の日、倉庫のネズミ駆除してたな。倉庫5つくらい。煙、吸ったらやばいって臭いでさ」
「それ」
「え?」
「そのとき、倉庫5つくらいが空だったんじゃありませんか?」
有毒な煙が出るなら、穀物倉庫を空にしてネズミ駆除をする。北部へ穀物を送ったために穀物倉庫が空になったのかもしれない。
初雪の次の日は、穀物が倉庫から出された後ということになる。
それが全て北部へ送られたのか、C印の蔵に入っちゃったのか。
李氏様は箸を止めて思い出そうとしてる。
「去年は寒かった。初雪は早かった。確か、11月ではなかったかな? 待て、上書は12月だった。それより前に米が送られてるのはおかしい」
「違いましたか」
「力不足が悔しい。穀物については国庫金の扱いで経済部門の管轄。私は官僚なのに資料を調べることすらできない」
1番近々で証拠が残っていそうな、北部へ穀物を送ったことについて調べられない。ふー。詰んだ。




