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第77話

『僕が君の街へやって来た理由――。


 それは、僕の実の母親を捨てた父親を捜すためだった。』


 俊哉から以前、その話を少しだけ聞いていた小町だったが、改めて手紙に綴られた言葉を目にし、

 思わず息をのんだ。


 手紙の続きを読む。


 『今の母さんは、妹の佐奈にとっては本当の母親だ。


 だけど、僕にとっては実の母親じゃない。


 僕の本当の母さんは、僕を産んですぐに亡くなったんだ。


 母さんの妹だった今の母さんが、僕を引き取り、自分の子どものように育ててくれた。


 僕はずっと、本当の子どもだと信じて育ってきた。


 だけど、ある日、亡くなった母さんの日記を偶然見つけてしまい、すべてを知ったんだ。』


 小町は思わず手紙を持つ手に力を込めた。


 俊哉がどれほど重い過去を背負って生きてきたのか――。


 その一文字一文字から、痛いほど伝わってくる。


 震える指で、小町は再び手紙へと目を落とした。


 『母さんは大学を卒業したあと、大手企業へ就職した。


 そこで、その会社の御曹司と出会ったんだ。


 二人は惹かれ合い、やがて結婚の約束まで交わした。


 母さんは、本当にその人を愛していた。


 そして、その人もまた、母さんを心から愛していた――。』

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