表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/75

第74話

 小町が息を切らしながら、駅のホームへと続く階段の下まで駆けつけた、その時――。


 ちょうど電車の乗車を知らせるベルが鳴り響いた。


 『嘘でしょ……! ま、待ってぇ!……』


 小町は最後の力を振り絞るように階段を一気に駆け上がった。


 ホームへ飛び出すと、今まさに俊哉たちが電車へ乗り込もうとしているところだった。


 俊哉の姿を見つけた小町は、


「待ってぇ!……」


 思わず声を張り上げた。


 その声に気づいた俊哉は、一瞬だけ足を止める。


 電車へ乗るのをためらうように立ち尽くしたが、やがて小町のほうを振り向くことなく、家族とともに電車へ乗り込んだ。


「待ってぇ!……」


 小町は必死に駆け出した。


 しかし、焦るあまり足がもつれ、そのままホームへ倒れ込んでしまう。


 転んだ小町が立ち上がろうとした、その時。


 発車ベルが鳴り響き、無情にも電車のドアが閉まった。


 ゆっくりと動き出した電車は、そのまま小町を残して駅を離れていく。


 『どうしてよ……』


 遠ざかっていく電車を見つめながら、小町はその場に崩れ落ちた。


 すると突然、携帯電話のメール着信音が静かなホームに響いた。


 『こんな時に……誰?』


 涙で滲む視界のまま携帯電話を開き、届いたメールを確認する。


 差出人は――俊哉。


 震える指でメールを開く。


 そこに書かれていた言葉は、たった一行だった。


 『ごめん!……』


 それだけだった。


 その短すぎる言葉が、小町の胸を深く締めつける。


 堪えていた涙は、もう止めることができなかった。


 小町はその場に泣き崩れ、遠ざかっていく電車をいつまでも見つめ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ