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第61話

 立ち止まり、少し俯いて考え込んだ俊哉は、少し前を歩く小町を見つめながら、


「クリスマスくらい……いいか?」


 と、小さく呟いた。


『え?……』


 小町は驚いて振り返ると、


「えっ、本当?……」


 と、大きな瞳で俊哉を見つめた。


 俊哉は少し照れくさそうに笑いながら、


「でも……妹【佐奈】の体調次第だけどな」


 と付け加えた。


「うん! それでも嬉しい!」


 小町は満面の笑みを浮かべ、思わず俊哉に抱きついた。


 俊哉も優しく微笑みながら、小町をそっと抱き締めた。


 家へ戻った小町は、まだ九月を過ぎたばかりだというのに

 カレンダーの十二月二十五日――クリスマスの日に大きな赤丸を付けた。


 その日が来るのを、指折り数えるように心待ちにしていた。


 ――月日は流れ。


 待ちに待ったクリスマスの日。


 小町は朝からクローゼットにしまってある洋服を次々と引っ張り出し、


「これでもない……。あれでもない……」


 と、俊哉との初めてのデートに何を着て行こうか、大きな姿見の前で何度も着替えを繰り返していた。


 そして、それは俊哉も同じだった――。

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