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第56話

 遥は俊哉が学校を休んでいる本当の理由が気になって仕方がなかった。


『何か手がかりはないかな……』


 そう考えているうちに、ふと以前、俊哉が父・幸隆のもとを訪ねて来たことを思い出した。


『そうだ……。パパなら何か知っているかもしれない。』


 そう呟くと、遥は父・幸隆の書斎へと忍び込んだ。


 書斎には会社の資料が山積みになった机と、壁一面に並ぶ本棚。


 難しそうな専門書や分厚いファイルが整然と並び、静まり返った部屋には独特の緊張感が漂っていた。


 遥は周囲を警戒しながら、机の引き出しや書類に目を通していく。


 しかし、俊哉に関するものは何一つ見つからなかった。


『やっぱり、何もないか……。』


 遥は小さくため息をつき、書斎を出ようとした。


 その時だった。


 ふと、本棚の一角に違和感を覚えた。


『あれ……?』


 その棚だけ、本がわずかに手前へ飛び出している。


 遥は首を傾げながら本を一冊ずつ取り出していった。


 すると――。


 本棚の奥に、一枚の写真が隠されているのを見つけた。


「えっ……?」


 遥は恐る恐る、その写真を手に取る。


 そこには、アイドルのように可憐で美しい若い女性が、生まれたばかりの赤ん坊を優しく抱いて微笑んでいた。


 女性は――塩江香奈。


 そして、その腕に抱かれていた赤ん坊の姿を見た遥は、思わず息をのんだ。


「この子って……まさか……」


 遥は驚いた表情のまま、その写真を食い入るように見つめ続けた。

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