第34話
数日後の日曜日。
待ちに待った休日。
小町は約束通り、俊哉と佐奈と共に、街に新しくできた体験型アミューズメントパークへやって来ていた。
休日ということもあり、施設の前は多くの人で賑わっている。
「わぁーっ!」
佐奈は目を輝かせながら施設の入口へ駆けていった。
「こら、走るなって!」
俊哉が慌てて追いかける。
そんな兄妹の姿を見て、小町は思わず笑みをこぼした。
「本当に仲が良いんだから……」
すると――
「へぇ。本当に来たんだ」
聞き覚えのある声がした。
振り返った小町は目を丸くした。
「えっ?」
そこに立っていたのはクラスメイトの夏目遥だった。
さらにその隣には、幼なじみの晋間吾郎の姿もある。
「なんであんた達がいるのよ!?」
小町は思わず声を上げた。
遥はふんっと鼻を鳴らした。
「別に。遊びに来ちゃいけないわけ?」
「そういう問題じゃないでしょ!」
小町は眉をひそめた。
吾郎は困ったように頭を掻く。
「俺も来る予定じゃなかったんだけどな……」
「じゃあ何でいるのよ?」
「無理やり連れて来られた」
吾郎は即答した。
「ちょっと!」
遥が吾郎の脇腹を肘で小突く。
「痛っ!」
その様子に小町は呆れた。
遥は咳払いをすると、俊哉の方へ視線を向けた。
「それにしても……」
そして意味深な笑みを浮かべる。
「まるでダブルデートみたいね」
その言葉に小町は顔を真っ赤にした。
「ち、違うわよ!」
「何が違うの?」
遥は面白そうに追い打ちをかける。
「塩江くんと二人で休日に遊びに来てるんでしょ?」
「佐奈ちゃんもいるでしょ!」
小町が慌てて反論した。
すると――
それまで黙っていた佐奈が、小町の前へ出た。
「お姉ちゃんは佐奈とデートなの!」
ぷくっと頬を膨らませながら言う。
その言葉に吾郎は吹き出した。
「ははは!」
だが遥は笑わない。
俊哉と小町を交互に見つめている。
その瞳には、ほんの僅かな嫉妬が宿っていた。
「そう……」
遥は小さく呟いた。
俊哉はその空気に気付いていない。
「せっかくだし、一緒に回るか?」
何気なくそう言った。
その瞬間。
遥の表情が明るくなる。
「いいの?」
「人数が多い方が楽しいだろ」
俊哉は自然に笑った。
しかし――
佐奈だけは不満そうだった。
小町の腕にぎゅっと抱きつく。
「やだ」
「え?」
「佐奈、お姉ちゃんを取られたくないもん」
小さな声だった。
だけど小町にははっきり聞こえた。
小町は少し驚く。
そして優しく微笑むと、
「大丈夫よ」
そう言って佐奈の頭を撫でた。
佐奈は少しだけ安心したように笑った。
だがその時、小町はまだ知らなかった。
この何気ない休日が――
後に彼女たちの運命を大きく変える一日になることを。




