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転生したらRPGの主人公でした  作者: 新米オッさん兵士


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第3章 プレイヤーの狂気と、俺の小さな反乱

朝が来て、プレイヤーがログインした瞬間、俺の体は再び強制的に起き上がった。

昨夜の疲労はほとんど残っていない。

どうやらこの世界の体は、プレイヤーがログアウト中に自動回復する仕様らしい。

便利といえば便利だが、俺の精神は回復してくれない。

「さて、今日こそ村に戻ってゴブリン討伐……」

俺が心の中でそう思った直後、体はまったく逆方向へ動き始めた。

拠点の周囲をさらに開拓し始める。

昨日作った木造建築の横に、新たな拡張工事を開始。

石を運び、木枠を組み、どんどん規模を大きくしていく。

俺は内心で毒を吐いた。

「またかよ……。

お前、俺を勇者じゃなくて『無限建築労働者』として認識してるだろ。

魔王討伐ルートとか、ストーリー進行とか、制作さんが一生懸命作ったシナリオ、全部無視してんじゃねえよ。

このRPGのタイトル、きっと『勇者と魔王の運命』とかだったはずだぞ?」

プレイヤーは止まらない。

拠点はどんどん豪華になっていく。

二階建てが三階建てになり、塔のようなものが追加され、

周囲には畑まで作られ始めた。

俺の体は朝から晩まで動き続け、

プレイヤーは「効率化」のために、

回復ポーションを大量消費しながら強制労働を継続させる。

夕方近く。

俺は巨大な石の壁を積み上げながら、心の中で全力で叫んでいた。

「もう限界だああああ!!!

俺の腕、筋肉痛で死にそうなんだよ!!

プレイヤーさん、お前は俺の体をどう思ってるんだ!?

ただのブロック置きロボットかよ!!

せめて一回、村に顔出してくれよ! 村人たちが俺を『怠け者の勇者』って思ってるに違いないんだぞ!!!」

毒と絶叫が交互に頭の中で爆発する。

すると——

石を運んでいた俺の両手が、一瞬だけ固まった。

プレイヤーが「置く」コマンドを出しているはずなのに、

石が地面に落ちず、俺の手の中で止まっている。

「……え?」

俺は驚いた。

これは、昨日の指先の震えより明らかに大きい。

俺は集中した。

「動くな……動くな……!」と心の中で念じながら、

なんとか自分の意志で手を止めようとする。

二秒。

三秒。

石が、俺の意志で動きを止めたまま、数秒間静止した。

プレイヤー側では、きっと操作が効かなくなって驚いているはずだ。

俺の口元が、わずかに勝手に緩んだ(心の中でニヤリ)。

「ふっ……どうだ、プレイヤーさん。

俺の体、ちょっとだけ言うこと聞かなくなってきたぞ?

お前が勝手に俺をこき使うのもいいけど、

そろそろ俺の気持ちも——」

しかし、次の瞬間。

プレイヤーの操作が強引に戻ってきた。

俺の手が強制的に動き、石が地面に置かれる。

さらに勢いよく次の石を運ばされ始めた。

まるで「面白いバグが出た!」と興奮したように、

プレイヤーは今まで以上に激しくコマンドを連打してくる。

俺は心の中で毒を吐きながら、でもどこか嬉しそうに笑った。

「はは……やっぱり喜んでるな、お前。

『お、抵抗要素出てきた! 新しくて面白い!』って思ってるだろ?

俺の反乱すら、ただの新しい遊びネタにされるとか……

最悪だよ、ほんと……」

夜が更ける頃。

拠点はすでに「小さな村」レベルの規模になっていた。

家が三棟、倉庫、畑、簡単な柵。

プレイヤーはさらに「次の計画」を練っている気配がする。

俺はベッドに運ばれながら、

体がわずかに抵抗しようとするのを感じていた。

指先だけでなく、腕の筋肉がピクピクと自分の意志で動こうとする。

まだ完全にはコントロールできない。

でも、確実に「俺の領域」が広がり始めている。

暗闇の中で、俺は静かに毒を吐いた。

「プレイヤーさん……お前は本当に、この世界を自分の遊び場にしようとしてるんだな。

制作さんの想定なんて、最初から眼中にない。

俺が勇者として歩むはずだった道を、全部ぶっ壊して、

自分だけの巨大建築帝国を作ろうとしてる……」

そして、わずかに声を震わせて全力で心の中で叫んだ。

「でもな……!

俺も、ただ黙って従ってるだけじゃねえぞ……!

少しずつ……少しずつだ……

お前の操作から、俺の体を取り戻してやる……!

その時が来たら、お前を全力で驚かせてやるからな……うわあああああ!!!」

声にならない絶叫が、再び頭の中で響き渡った。

プレイヤーはまだ気づいていないかもしれない。

いや、気づいていても「もっと面白くなった!」と喜んでいるかもしれない。

いずれにせよ、

このゲーム変態勢のプレイヤーと、

俺の小さな反乱の物語は、

これから本格的に動き始めようとしていた。

第3章 終わり

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