表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらRPGの主人公でした  作者: 新米オッさん兵士


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

第2章 プレイヤーの本気、恐ろしすぎる

ログアウトから目が覚めると、俺は再びログハウスのベッドの上にいた。

体は自由に動く。

……というより、プレイヤーがログインした瞬間から、また操作が始まるんだろう。

【プレイヤーがログインしました】

案の定、視界の端に文字が浮かんだ。

俺は心の中でため息をついた。

「よし、今日こそゴブリン討伐に行こうぜ……って、俺の意思じゃねえけどな」

しかし、俺の体はログハウスを出ると、昨日作ったばかりの小さな家を無視して、さらに奥の森へと歩き始めた。

木を切り倒す。

石を削る。

土を掘る。

昨日より明らかに規模が大きい。

プレイヤーはどうやら「ただのログハウス」では満足できなかったらしい。

三時間後。

俺は汗だくで、森の中に巨大な土台を作り上げていた。

直径二十メートルはあろうかという円形の基礎。

周囲の木はすべて伐採され、地面は綺麗に整地されている。

「……おいおい、ちょっと待てよ」

俺は内心で軽く毒を吐いた。

「昨日は小さな家だったのに、今日はもう城でも建てる気か?

俺は勇者だぞ? 魔王討伐の勇者。

村の人は今頃『ゴブリンが村を襲ってるのに勇者どこ行ったんだ』ってパニックになってると思うんだけど?」

体は止まらない。

プレイヤーはさらに木材を運ばせ、石を積ませ、まるで本格的な建築を始めた。

日が暮れる頃には、土台の上に二階建ての立派な木造建築が完成していた。

しかもただの家じゃない。

窓が大きく、ベランダまでついている。

明らかに「住むための家」ではなく、「拠点」として作っている。

俺は心の中で毒を増やした。

「プレイヤーさん……お前、このRPGを『マイクラ』だと思ってないか?

ここはファンタジー世界だぞ。

魔王がいるんだぞ。

勇者が城作ってる場合じゃねえだろ……」

夜になると、プレイヤーはさらにエスカレートした。

今度は周囲の森をどんどん開拓し始める。

木を切りまくり、道を作り、柵を設置。

俺の体は暗闇の中でも休むことなく動き続けた。

スタミナが尽きそうなのに、回復アイテムを勝手に使わせて強制労働。

「ちょっと待て、俺の体、限界だぞ……

睡眠コマンド入れてくれよ……って、またスキップされてる!」

俺の毒は徐々に濃くなっていく。

深夜二時を過ぎた頃——

俺は巨大な「拠点」の前に立ち、疲労困憊で膝をついていた。

プレイヤーはようやく「今日はここまで」という感じで、セーブポイントを更新しようとしている気配があった。

その瞬間。

俺の右手の指先が、ピクリと動いた。

「……え?」

俺の意志じゃない。

プレイヤーが何も操作していないはずなのに、指が勝手に曲がった。

俺は驚いて心の中で叫んだ。

(待て、今の……俺が動かした?)

試しに、もう一度集中してみる。

指が、もう一度小さく震えた。

ほんのわずか。

一瞬だけ。

でも、確かに俺の意思が、体に届いた気がした。

「…………ふっ」

俺は小さく、毒混じりの笑みを浮かべた(心の中で)。

「ようやく……少しだけ、俺の番が来たか。

プレイヤーさん、お前が勝手に俺をこき使うのもいいけど、

そろそろ俺の気持ちも考えてくれよな……?」

しかし、その小さな抵抗はすぐに潰された。

プレイヤーが再び操作を始め、俺の体を強制的にベッドに運んだ。

【プレイヤーがログアウトしました】

再び体が動かなくなる。

暗闇の中で、俺は全力で絶叫した。

「うわああああああ!!!

指先だけじゃねえかよ!!

もっと動けよ俺の体!!

せめて腕くらい振り回して『やめろ!』ってジェスチャーしたいわ!!

プレイヤー、お前が喜ぶために俺がここまで酷使されてるなんて、

俺の人生、ただの建築労働者じゃねえかよおおおおお!!!」

声にならない叫びが、頭の中で木霊する。

でも、どこかで冷静な部分が冷静に毒を吐いていた。

「……まあ、でもさ。

プレイヤーさん、俺の指が勝手に動いたの、気づいたかな?

もし気づいてたら……

『お、なんか新しい遊び要素出てきた!』とか言って、

もっと面白がってエスカレートしそうで怖いんだよな……」

俺は暗い天井を見つめながら、ため息をついた。

このプレイヤーは、ただの勇者物語をやる気なんて最初からなかった。

俺を主人公にしたファンタジーRPGを、

自分だけの巨大建築シミュレーションに改造しようとしている。

そして俺は——

少しずつ、だけど確実に、

この「操作される運命」に抵抗し始めていた。

第2章 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんにちは! 読ませていただきました。 ゴブリン討伐そっちぬけで作業ばっかりするプレイヤー 一体誰なのか気になります。 あと、マ◯クラはしているのですが建築勢ではありません…… もしよろしけれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ