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Forgotten Story ~ 幻想奇忘譚  作者: 生涯迷い人
来るは幻想郷 ー異変の序章ー
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#15 満ちぬ月と月の姫 -永夜の報い・上-

夜雀を倒(ふきとば)した後、再び3人は当てもなく飛行を続けていた


一応、主人(レミリア)の気の向いた方に飛んでいたのだが


「お嬢様、この先は里なのでは?」


「そうよ

たまには生きた人間から直接血を貰いたくて」



「それは聞き捨てならないな」



前方から声をかけられ、3人はその場で静止する


声を掛けたと思しい人物は丈の長い青のワンピースを着ており、頭には妙な形の帽子を被っていた


「里の人間には手出しをしない、それがルールだろう」


「たまにはいいでしょう、死ぬ訳じゃないし」


「生死は関係ないな

少なくとも、私は里で人間を襲うような妖怪が居ればそいつを追い払う」



「咲夜」


「何でしょう、ジャスミン様」


「貴女には里、見えてる?」


「そういえばそろそろ見える筈なのですが、見えませんね」


「奇遇ね、私も人間態の(この)ままでは見えない」


「咲夜、ジャスミン、何話してるの」


「いえ、私達には里が見えないという話を」


「それは当然だ、私が里を無かったことにした

だからここには最初から何も無かった・・・解るな?」


「生憎だけど、私はそこまで頭が回らないの・・・だから


ジャスミン、貴女が相手しなさい」


「分かりました、お嬢様」


「・・・やっぱりなんだか変な感じがするわ、この関係」


「やはり素直には下がってもらえないのか・・・

では実力行使とさせてもらおう!」


その言葉を合図に、大量の赤と青の弾が放たれる


レミリアと咲夜が下がるのを確認したジャスミンは人間の姿を保ったまま、赤と青の弾の隙間を掻い潜る


「どうした、反撃しないのか!」


そう言ってはいるが、むしろ弾の密度は上がっている


「仕方ない、か」


そうジャスミンが呟くと、その体に変化が表れた


一瞬にして背中から蝙蝠のような羽を生やし、前方を見据えたその瞳は血のような紅に染まっていた


「人にしては妙な気配がすると思えば・・・やはりお前も吸血鬼か!」


「そうであって何が悪い!」


ジャスミンも負けじと大量の紅い弾を放つ


『産霊「ファーストピラミッド」』


先程まで弾を放っていた使い魔のようなものが弾を放たなくなったと思えば、並びを変えて今度は青い弾を射かけてくる


その隙間を真っ直ぐ行こうと思った直後、ジャスミンは急激に方向転換をする・・・と、その足下を巨大な弾が通過していった


「嫌な弾幕だな・・・なら!」


『魔符「ヴァンパイアパレード」』


使い魔の蝙蝠を大量に出現させ、その蝙蝠と共に紅い弾をばらまく


向こうから飛んでくる青い弾はその殆どが紅い弾に相殺され、巨大な青い弾も紅い弾に呑み込まれた


『始符「エフェメラリティ137」』


先程のスペルカードを維持しても意味がないと判断したのか、スペルを変えたらしい


再び弾が飛んでこなくなった直後、使い魔のようなものを大量に放ったようだ


こちらにその使い魔が届く前に、その使い魔が白い弾を放つが、直後にその白い弾は弾け、赤い弾が飛んでくる


「本当に面倒だな」

『濃霧「認識不能の世界」』


細かな白い弾を大量に放ち、飛んできた弾を相殺する


「くっ・・・弾が届かん!」


2枚目のスペルカードが時間切れになったようなので、こちらも敢えてスペルカードを中断する


「里は襲わないから、話を聞く気はない?」


「どういうつもりだ?

襲われないに越したことはないが」


「今日は満月、なのに貴女は何も感じないの?」


「そういえば・・・今日は歴史書を編纂する予定の筈だったが

何もないな」


「反応するところが間違っているような気がしないでも無いのですが」

「放っておきなさい、咲夜」


「それで、こうなった元凶を探してるんだけど」


「それならあっちだろうな」




3人は先程の人物ーーー上白沢慧音と名乗ったーーーに教えられた通り、竹林の中を飛んでいた


曰く、『こんなことを出来るのは1人しか居ない』らしい・・・のだが


「こんな方に何かあったかしら」


「私も知りませんね」


竹林だから当たり前なのだが、右も左も竹ばかりなのである

そのあまりにも変わり映えしない見た目は『迷いの竹林』と呼ばれるのも分からなくはない


「そこまでよ!!」


どれだけ進んだ頃だったか、またも静止を求められた


「霊夢?私は急いでるの

さっさと通してくれない?」


「そういうわけにはいかない、さっきから月どころか星も動いてないって魔理沙が言ってたわ

そして、その可能性があって尚且つ動いているのはあんたたちしかいない」


「そうね、永遠に続く満月の夜があればどれだけ嬉しいことか

でも、こんな月はいらない・・・だから」


「お嬢様を引き止めるつもりなら私が相手をします」


『奇術「幻惑ミスディレクション」』


霊夢の周囲の竹に苦無とナイフが突き刺さった


「・・・次は当てます」


「どういうつもり?」


「言葉が通じないなら実力行使、でしょ?

ジャスミン、貴女は下がってて」


「承知致しました」

当主(レミリア)にそう言われては下がるしかない


「さて、いつぞやの借り、返して貰おうか」

本来なら永夜抄Stage3とStage4を一話に纏める予定だったのですが、途中から文章が浮かばなくなってしまったのと、時間的なものも考えて短いですが前後編とさせていただきました


以下、オリジナルスペル解説

・魔符「ヴァンパイアパレード」

後に出す予定のスペルカードの下位互換、難易度はノーマル程度

周囲に蝙蝠を飛ばしながら紅い小丸弾を設置させ、それがバラバラな方向に動き出すと同時に自機狙いの大弾を数発飛ばすスペル


・濃霧「認識不能の世界」

白いウイルス弾をひたすらばらまくだけのスペル

いわば『奇術「エターナルミーク」』の超高密度版

下位互換として『霧符「ホワイトビュー」』が存在する

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