#16 満ちぬ月と月の姫 -永夜の報い・下-
夜の竹林に弾幕の花が咲き、紅と赤が交差する
「そろそろ降参しないのかしら、霊夢?」
「あんた達を止めるまでは・・・っ
夢符『封魔陣』!」
レミリアの放った紅い弾が陰陽玉から放たれた御札に当たり、無力化される
「流石に相性が悪いようね
咲夜!」
『刻魔「デビルズファントム」』
レミリアが霊夢に向かって疎らな紅い弾を放ったかと思えば、一瞬の後には同じ場所から咲夜が苦無をばらまき、全く違う方向からレミリアが紅い弾を放つ
「1対2じゃ卑怯だと思うでしょ?
でも、どんな手を使ってでもこんな夜は終わらせなければならない」
「それを起こしてるのがあんた達だって・・・」
「確かに、夜を止めさせたのは私達
でも、おかしいのはそれだけじゃない」
「さっきから何を言っているの?」
「霊夢、貴女はあの動かない月を見て何とも思わないの?」
「動いていない事を除けば正常ね」
「だから、吸血鬼のお嬢さんに先を越されるのよ」
突如として空間が裂け、そこから姿を現したのはやはりスキマ妖怪であった
「夜を止めたのは私よ、霊夢」
「今度はあんたが相手?」
「それでも良いけど、貴女にはやってもらいたいことがあるわ
そこの3人と一緒にあの屋敷に乗り込みなさい」
「どういうこと?」
「今夜のこの月には幻想郷中の妖怪が困っているのよ
だから、月を隠した犯人と話をしてもらいたいわけ」
人間態になったジャスミン、レミリア、咲夜に霊夢を加えた4人は竹林の中に見えていた屋敷の前に立っていた
「ここに異変の元凶がいるの?
正直、こんな屋敷があることなんて聞いたことすらないわ」
「私達も寺子屋の先生に聞くまでは知りませんでしたから」
「ああ、これね
確かに彼女なら知っててもおかしくはないけど・・・」
真顔のまま霊夢が人差し指だけを伸ばした手を頭の上にのせるので、ジャスミンは思わず噴き出しそうになった
何時までも屋敷の前に立っていては埒が開かないので、4人は屋敷の中に乗り込むことにした・・・が
「なにこの建物
見た目以上に広くて何だか不気味ね」
「紅魔館もそうでしょうが」
「確かにそうだけど、こんなに扉も無い構造はしてないわ
これじゃまるで・・・」
「こんな夜に迷い込んだのは何処の誰かしら
尤も、私の知る限りでは1組しか居ない筈なのだけれど」
「誰よ、あんた」
「そんな質問、侵入者相手に答える者が居ると思う?
それに、今はあなた達の相手をしている暇はないから・・・ウドンゲ!」
「その呼び方は止めてくださいと何度申し上げれば・・・
誰です?そこにいるのは」
「見ての通り、侵入者よ
まだ術が完成していないから追い払うか、出来なければ時間稼ぎでもいいわ」
「分かりました
姫様と師匠には手を出させません!!」
突然現れた、兎の耳を生やした少女の目が一瞬赤く光った・・・ように見えた直後、視界が一瞬揺らぎ、主人、メイド、そして巫女の姿が消えた
「お前、今何をした?」
「そんなの簡単なこと、貴女達を術の中に落としこんだ
これで他の面子に阻まれることはない」
「なるほど、互いを意識から外れるようにした、と
でも、それで勝てると思うのなら・・・その判断を後悔することになる」
「貴女が一番弱そうだったから簡単に術が掛けられたと思ったんだけど」
さっきの銀髪の女に頼られる程度だから、それなりに強い相手だと思ったのだが、私が人間態で力を隠している事に気付かない辺り、そうでもなかったらしい
・・・ならば
「早速で悪いけど」
抑え込んでいた魔力の流れを解放、吸血鬼としての姿と力を発現させる
「貴女には眠っていてもらう・・・レミリアの為にも」




