#13 満ちぬ月と月の姫 -Eternal nigit-
平和な夜だった。
何事も起きていなかった。少なくとも人間にはそう見えていたのだ。
そんな人間のもとに妖怪が訪れる。
いつもなら妖怪退治は人間の役目だ。だがこんな『異変』が起きている
と言うのに、人間は一向に動こうとしないので痺れを切らした、と言う。
だが人間は、そのとき初めて『異変』に気が付いたのだ。
妖怪退治が役目の人間は、
『この異変』を、夜が明ける前に解決出来るだろうか、と言った。
だが妖怪は言う、
『こんな異変』は、夜を止めてでも今夜中に解決させる、と。
妖怪は、月の欠片を求めて夜の幻想郷を翔け出した。
後を追うように人間も飛び出す。
魔を感じ、幻を打ち破る人間。
魔を遣い、幻を無効化する妖怪。
―― 二人・・・いや、三人は、夜を止める
上海アリス幻樂団ホームページ・『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』のページより一部改変
「お嬢様、お目覚めの紅茶をお持ちしました」
「ありがとう、咲夜」
既に日が沈んだ頃、紅魔館当主であるレミリア・スカーレットは目を覚ました
いつものようにタイミング良く差し出されたティーカップを受け取り、軽く揺らして香りを楽しんでからティーカップを口に運ぶ
しかし、この時点で咲夜は当主の微かな異変に気が付いていた
「お嬢様、気分が優れないようですが」
「外はこんな満月が出ているのに・・・
・・・咲夜、貴女は何も感じないのかしら?」
「何も、とは?」
「分からないならいいわ
・・・ところで、そこで盗み聞きするのは趣味が悪いんじゃなくて?」
その言葉をレミリアが発した直後、扉が開き、ジャスミン・スカーレットムーンが姿を現した
「確かに、違和感しかありませんね」
「ジャスミン、貴女ならどうする?」
「私なら・・・月を奪った者の元に取り返しに向かいます」
「正解」
レミリアの口角がつり上がり、僅かに牙を覗かせる悪い表情になる・・・が、すぐに笑みは消え去り
「そこにそのまま居られるのも不愉快だわ
出て来なさい・・・スキマ妖怪」
すると空間が突如として裂け、八雲紫が現れた
「はぁい、呼ばれて出てきてゆかりちゃん☆」
「なにそれ・・・まあ、丁度いい
今から咲夜に天蓋の時間を遅らせてもらおうかと思ったのだけれど、貴女の方が適任そうね」
「全くね
霊夢を焚きつけようとしてもあの子、どこがおかしいのかって言って動こうともしなかったわ」
「やっぱり人間には何も影響がないのかしら?」
「はあ、全く」
「・・・でしょうね
ところで、此処に来たからには」
「勿論、月が元に戻るまで日が昇らないようにしたわ」
「それだけで充分だわ
・・・こんな妙な月、夜が明ける前に消してくれる」
「・・・取り返す、の間違いでは?」
「ジャスミン煩い」
前回の更新から大分間が空いてしまいましたが、永夜抄編開始です
尤も、今回は紅霧異変程間を開ける予定は今のところありません




