#11 三日おきの宴会・終編~魔法使いたちの邂逅
「今回人里や博麗神社などで起こった三日ごとの宴会はかつての山の支配種族であり、我々烏天狗の上司でもあった鬼の伊吹萃香によるものであった。
本人によれば他の鬼達が地底に潜り、華やかさがなくなった地上に再び鬼を呼び戻すつもりであったとのことだが、地底との不可侵条約に関しては述べられず、その場に居合わせた八雲紫からもコメントは得られなかった。---文々。新聞号外 著:射命丸文」
「そういえばそんなこともあったわね」
宴会騒動から少し後、紅魔館の広間ではジャスミン・スカーレットムーンがいつものように投げ込まれた文々。新聞を読み上げ、レミリア・スカーレットが注がれた紅茶を飲みながら相槌を打っていた
二人は優雅にティータイムを楽しんではいるが、先日の騒動により館の所々に大きな風穴が開いたり、壁が丸々一枚吹き飛んだりしたため、主にメイド妖精達が修復作業に追われていた
そんな状況でもマイペースを崩さないのは紅魔館の主であるレミリアだけ・・・の筈だったのだが、この主あればこの友有りとでも言わんばかりにジャスミンまでもが寛いでいた
お陰で吸血鬼どころか並の妖怪にもパワーで劣る妖精が重い資材の運搬までこなさなければならず、一部のメイド妖精達の間では過労死が心配されている・・・勿論、死にはしないが
「ところで、例の友人とやらにはもう会ったのかしら?」
「いいえ、ですが神社のほうにはもう出向いたようなのでそのうちここに来るでしょう」
「・・・私としてはあんまり居候を増やしたくはないのだけれど?」
レミリアが半目でジャスミンを睨むように見るが、当の本人は何処吹く風といった表情である
「まあ、その辺りの判断は本人に任せますが
・・・どうも彼女をストーキングしている魔女もいるようで」
「あんたもバッチリ見てるんじゃないの・・・」
従者以上にズレの激しい新入りにレミリアは思わず頭を抱えた
その頃、魔法の森上空
霧雨魔理沙は卯月、外の暦では5月に当たる頃、異変解決の為に強襲した魔法使いに詫びを入れにいく為、いつものように箒に跨がって飛んでいた
開けた土地に建つ洋風の家が眼下まで接近したため、着地しようと箒の柄の先を地上に向けかけたところで、ふと大量の魔力を必要とする魔法が行使されるときの独特な感覚に気が付いた
「流石に詫びを入れるのに相手待たせちゃ悪いよな
でも興味は湧いたし・・・行ってみるか」
魔理沙は地上に向けかけた箒の向きを変え、感覚のした方向へと飛んでいった
「彩光『危険な花火弾』」
仮想空間の中で、自らの感覚に焼き付けたように七色に光る弾が自分を中心にして放射状に飛んでいく
それらは予め組み込まれた術式に従って一度静止し、炸裂して周囲に五色の弾を撒き散らす
「漸くここまで出来たから、あとは七色の弾を同時に放てるようにするだけか・・・
口で言うのは簡単だけど、実際にやろうとすると凄く難しいんだよね」
先日、伊吹萃香によってスペルカードの基礎をほぼ無理矢理叩き込まれたアリス・ソル・メイディアは前回、形成に失敗したスペルカードを完成させるべく訓練を続けていた
当初こそ魔力切れでへばったり、気絶することこそ多かったものの、頻繁に仮想空間を作り、スペルカードルールに則った弾幕の練習をすることによって基礎魔力そのものが増大し、多少大規模な魔法を行使したところで疲れを感じるようなこともなくなった
勿論、濃い瘴気の漂う魔法の森という環境が作用したのも確かではあるのだが
「それにしても、流石に他人から聞いただけのだとイメージしにくいな
一回実物が見てみたいんだけどな・・・」
と、突然仮想空間の術が解け、「お、解けた」という声が聞こえた
何事かと辺りを見回したアリスの視界に入ったのは、いかにも魔法使いです、と主張しているような服装の少女であった
「いや、悪いな
お茶まで淹れてもらって」
互いに自己紹介し、アリスの家のリビングにて魔理沙は開口一番に謝った・・・その態度が謝っているように見えたかどうかは別として、だが
「悪いと思ったのならそもそも術を解かないでください
吃驚したんですからね」
「そういえば、この前『強襲』した魔法使いもアリスとか言ってたな
・・・知り合いか?」
「・・・なんだかものすごく不適切な文字列が見えた気がしたのですが
それがマーガトロイドさんのことなら、こっちに来たときに拾ってもらった方ですよ
本来の保有魔力量では割に合わない転移魔法を行使して失神してしまったので一晩泊めさせていただきました」
「その魔法使いって」
と魔理沙が言った瞬間、外で爆発音と短い悲鳴が聞こえた
「・・・恐らく外で黒焦げになっているであろう魔法使いか?」
「・・・何したんですか」
「さっきの所に降りたときから視線は感じてたから、魔法で遠隔起爆出来る手製爆弾を仕掛けておいたのさ」
「貴女って人は・・・
・・・様子見てきます」
説得さえも諦めたアリス・ソル・メイディアに魔理沙は手をヒラヒラと振っただけであった
彼女が玄関先の様子を見に行くと、やはりアリス・マーガトロイドが倒れていた
「マーガトロイドさん、大丈夫ですか?」
「へんじがない、ただのしかばねnゴフッ」
「勝手に死んだことにしないでください
客用の寝室に運びますよ」
アリス・ソル・メイディアと霧雨魔理沙は二人がかりで客用の寝室にアリス・マーガトロイドを運び込み、唸るだけの彼女を介抱していた
「それにしても、アリスが二人いるっていうのは呼ぶ時に苦労しそうだな」
「それもそうですね
でも、どう区別するんですか?」
「ミドルネームでの区別は出来ないから」
と、こちらを指差し
「メイディでいいか?」
「もう確定事項みたいですし、構いませんよ」
「・・・さっきから私に対する扱いがかなり雑になってる気がするんだが」
「気のせいでしょう」
「痛たたた・・・
誰よ、玄関先に爆発物放置してたのは」
そんなやりとりをしている間にアリス・マーガトロイドが目を覚ましたので、とりあえず無言で背後にいた魔理沙を指さしておいた
「・・・またあの時の白黒魔法使い」
「いや、悪かったとは思ってるんだぜ?
この前強襲したときのお返しみたいなのも用意してるんだし」
そう言って魔理沙は持っていた紙袋から大きなメロンを取り出した
・・・何故紙袋にメロンが入っていたのか、とかメロンを取り出す時に落ちた得体の知れないキノコのようなものには突っ込まない方が賢明なのだろうか
「・・・反省してるならいいけど」
その点に関しては|アリス・マーガトロイド《彼女》も同じ考えに至ったようで、何かを言おうとして止めたらしい
「なんかペース乱されたし、そろそろ帰るわ」
「なら私もお暇させてもらうとするか
なんなら送っていくぜ」
「「・・・・・」」
「な、なんだよ二人して」
「・・・自覚が無いようですね
私が転移魔法で送ります」
「・・・大丈夫なの?」
「世界線だとか次元を跨いでの転移だと稀に座標がズレることがありますが、同じ世界で行ったことのある場所であればまず失敗する事はありません
今では保有魔力量も増えたので一回使って気絶、なんて事はないでしょうし」
「分かった
ならお願いするわ」
「なら私も」
「行ったことのない場所だと失敗するかもしれませんね
もしかしたら地獄という所に」
「・・・分かったぜ」
アリス・マーガトロイドを転移魔法で送り、魔理沙も帰った後、リビングには久しぶりに伊吹萃香の姿があった
「アハハハハ
やっぱりつけられてたんだね」
「笑い事じゃありませんよ
あれじゃただの変質者じゃないですか」
「まあ、頭打って元に戻ったんならいいんじゃないかな
・・・あんまりズレて貰っても困るし」
「・・・今何か」
「ああ、独り言だから気にしないで
・・・そろそろお暇させてもらうよ」
そう言って彼女も霧状になってどこかに行ってしまった
「あの紅い館にそろそろ行ってみようかな」
幻想郷に夏の足音が聞こえはじめた頃の話であった
ここのところ休日でも時間がとれなかったり、調子が悪かったりで全く更新出来ませんでした
なんだか話の方向性が滅茶苦茶ですが、話の大筋からは逸れてない・・・筈なので大丈夫です




