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Forgotten Story ~ 幻想奇忘譚  作者: 生涯迷い人
来るは幻想郷 ー異変の序章ー
34/45

#5 紅霧異変-エリュシオンに血の雨-

不気味な程に静まり返った廊下を飛ぶ2つの気配・・・博麗霊夢と霧雨魔理沙は霊夢の勘を頼りに進んでいた



「・・・なあ、こっちで合ってるのか?」


「首領って上に居るものじゃないの?」


「それもそうか」


そんな話をしている紅白と白黒(霊夢と魔理沙)に接近する人影


それに気付いたのか、2人は空中で急制動を掛け、着地した


「貴女の考えは間違いではない

けれど、お嬢様の元に向かわせるわけにはいかないわ」


「誰だお前」


「人に名前を尋ねるときはまず自分から、って教わらなかったのかしら?」


「・・・霧雨魔理沙だ」


「博麗霊夢よ」


「私は十六夜咲夜

・・・まあ、既に美鈴(うちの門番)から聞いていたのだけれど

用事は訊かなくても知ってるわ」


「なら、なおさらどうにかしてもらいたいのだけれど」


「それは出来ないし、お嬢様の手も煩わせたくはないから・・・ここで居なくなって貰うわ」


と、咲夜と名乗ったメイドが4枚のカードを取り出す


「今回は私が相手だな」と魔理沙も4枚のカードを取り出した



「じゃ、始めましょ」


その言葉と同時にメイド(咲夜)の周囲から大量の弾が出現し、そのうちのいくつかは魔理沙目掛けて飛んでくる


魔理沙も負けじと星型の弾をばらまきながら飛んできた弾をかわす



『奇術「幻惑ミスディレクション」』


メイドの周りからクナイ型の弾が放たれる・・・と視界からメイドの姿が消えた


「どこ行った・・・ッ!!」


すぐに別方向からナイフがほとんど無駄もなく放たれる


「ミスディレクションってそういうことか!」


再びクナイ型の弾をメイドが放つ


そのタイミングを狙って魔理沙も1枚目のスペルカードの宣言を行う


『魔空「アステロイドベルト」』


先程までばらまいていた星弾よりもさらに大きな星弾を周囲に放つ


さらに壁や天井、床に当たった弾が砕け、細かい星弾となって飛び散る


メイドも一瞬顔をしかめたが、難無く避けていく


仕返しと言わんばかりにナイフを放ったところで時間切れになったらしく、再び弾をばらまきだした


自分のスペルの時間が切れた魔理沙も再び小型の星弾による攻撃を行う・・・と見せかけて


『黒魔「イベントホライズン」』


今度は小型の星弾を放つ魔法陣を周囲に飛ばした


尤も、先程のアステロイドベルトよりも密度は低いので魔理沙自身も相手が被弾してくれるとは思っていないのだが


「スペルカードを使うのならもう少し考えた方がいいわ」


そうメイドが言うが、魔理沙は


「さっさとカタを付けたいんでね」


と返す


メイドは呆れた、という表情をしながら


『幻幽「ジャック・ザ・ルドビレ」』


大型の弾をばらまいた、と思った瞬間、整然と配列されたナイフが現れる


今度は魔理沙が顔をしかめたが、やはり難無く避けていた


「ありゃ当たったら痛そうだな」


「ええ、切れ味抜群ですから」


そんな話をしているうちに二人のスペルの時間が切れた


再び魔理沙が星弾を放つ


更に魔法陣をも出し、そこからも星弾を放つ


一気に星弾の密度が上がったのを見て取ったメイドもクナイ型の弾とナイフを放ち、応戦する


このままでは埒が明かないと判断したのか、メイドが3枚目の宣言を行う


『幻世「ザ・ワールド」』


何故か火の玉のような弾とナイフを飛ばしてくる・・・と再び整然と配列されたナイフが現れ、魔理沙めがけて飛んできた


「なんだありゃ、手品か何かか?」


「ええ、仕掛けはありますが種のない手品です」


「意味が分からん」



『恋心「ダブルスパーク」』


いつの間にかミニ八卦炉を両手に構えた魔理沙は正面に向かって極太のレーザーを放つ


メイドは被弾こそ免れたが、魔理沙に迫っていた弾は全てレーザーによって焼き払われた


「さて、仕上げです

メイド秘技『殺人ドール』」


いつの間にか大きな扉に近づいていた事に気が付いた魔理沙だが、特に気にするまでもなく最後のスペル宣言を行う


「なら、わたしもこれで最後だ

後ろの扉ごと吹き飛ばしてやるぜ!

魔砲『ファイナルマスタースパーク』!!」


今度は大量のナイフが現れ、更に整然と配列されたナイフまでもが加わる・・・が、出現したナイフ全てを極太のレーザーがなぎ払い、そのレーザーを避けようとしたメイドの周りは既に大型の星弾が囲んでいた


星弾同士が衝突し、激しい爆発が起こる


メイドは意識こそ失っていないものの、背後にあった扉もろとも爆風で吹き飛ばされた



「随分騒がしいと思ったら矢張り来たのね、博麗の巫女」



爆発によって起きた煙が晴れると、広い部屋が目に入る


そしてその奥、玉座に座る少女が見えた


少女・・・と言うより見た目は幼女に近いかもしれない


だが、その全身から発しているオーラは大妖怪にも匹敵するほどの凄まじいもの


「あんたがこの異変の元凶ね」


霊夢はそんな相手にも臆することなく話しかける


「如何にも

私がこの紅魔館の主、レミリア・スカーレット

誇り高き吸血鬼、その末裔」


「なら話は早いわ

あの霧、どうにかしてくれないかしら」


と目をやった先には夜であっても判るほどの紅い霧


「どうにか・・・ねぇ

貴女が私を倒せたのなら・・・考えてあげても良いわ」


玉座からレミリアが立ち上がり、少しだけ霊夢に向かって歩み寄る


「ここじゃ狭いから、外に出ましょう?」


そう言ったレミリアは背中の蝙蝠のような羽を広げ、空に向かって付けられた窓を凄まじい速度で突き破った


霊夢もそれを追うように飛んでいく



2人が飛び立っていった室内では魔理沙が残った人物に声を掛けていた


「なあ、さっきのは分かったが、お前は誰だ?」


「私はジャスミン・スカーレットムーン

残念だが、私に戦闘の意志はないし、倒したところで意味はない」


「ならさ、あっち行かないか」


魔理沙が指を差した先には紅く輝く満月が出ていた




闇夜に向かって飛翔したレミリアは自らが突き破ってきた窓から博麗の巫女が飛び出して来るのを見て、愉悦の表情を浮かべた


「あんたを倒したらこの霧、どうにかしてくれるんでしょうね」


「勿論、私は嘘が嫌いだから」


「なら・・・分かってるでしょ?」


巫女がスペルカードを取り出す・・・その数、2枚


まだそう慣れている訳でもないのか、と少しだけ落胆しつつ、自分もスペルカードを取り出す・・・その数、5


レミリアは自らが紅い月に被るようにしながら羽を大きく広げた


「さて、こんな月もに紅いから・・・楽しい夜になりそうね」


その言葉を合図に、大小入り乱れた大量の弾を放つ


相手は流石博麗の巫女と言うべきか、僅かな動きのみで的確に弾を避けていく


これではまるで弾が自発的に避けていっているようだ



レミリアは早くも1枚目のカードを取り出す


『神罰「幼きデーモンロード」』


周囲に粗い網目のようなレーザーと弾を放つ


隙間はさほど大きくないはずだが、それでも向こうは怯む気配すら見せようとはしない


それを見て取ったレミリアはスペルを途中で強制キャンセルした


「何、私を嘗めてるの?」


博麗の巫女が不機嫌な表情になるが、構わず


「逆よ

博麗の巫女の実力、少し見くびってたわ・・・だから」


巫女に向かって多数の弾を放つ


だが、全く当たる気配はない



「・・・本気で殺すわよ」


先程よりも濃密な殺気と共に2枚目のスペルを取り出す


『獄符「千本の針の山」』


巫女に向かって大量のナイフと弾が降り注ぐ・・・が、先程の殺気に当てられても全く動揺しなかっただけあり、余裕と言わんばかりの表情で刃と弾の間をすり抜けていく


全く、弾が当たるどころか掠りもしない・・・だが


・・・自分の相手にならないようならそれはそれで困るのだから


2枚目のスペルカードが終了したところで急遽予定を変更し、すぐに3枚目のスペルカードを宣言する


『神術「吸血鬼幻想」』


巫女の居る方向を中心に、蝙蝠よりも少し大きな弾を従える大きな弾を放つ


小さい方の弾は大きな弾が離れていくと一度静止し、大きな弾が消滅すると巫女の方に向かって崩れていく


だが、その途中で


『夢符「封魔陣」』


目に見えるか見えないか、と言うほどのうっすらとした壁が巫女を中心に広がり、放った弾が全てかき消された


同時にスペルも強制終了させられたらしく、スペルカードに従った新たな弾を放てなくなっている


レミリアはかろうじて気分が高揚するのを抑えていた


あくまでも試しなのだから、向こうが勝てなくてはならないのだ


3枚目のスペルカードの前に放つつもりだったナイフ状の弾を放つ


これは彼女の従者が放つものとは違い、あくまでもナイフの形をした力の塊なのだが


目の前の巫女は兎も角、いつの間にか館の屋根に自ら側に置いた少女と共にいる白黒の如何にも魔法使いです、と主張しているような格好の少女は顔をしかめていた


恐らく、咲夜の相手をしたのだろう


そして4枚目の宣言を行う


『紅符「スカーレットマイスタ」』


大、中、小、それぞれの弾がレミリアの周りを回るように放たれる


1周すると一度切れ、逆方向に1週、またそれが途切れて逆方向に1週、というのを繰り返す


だが、避けている巫女は余裕なのか、御札が飛んでくるようになった


あれに当たってはたまらない、とレミリアも回避すると今度は白と黒のよく分からない模様の大玉が大量に飛んできた


いくら何でも人間相手に嘗めすぎていた、とは思ったが後の祭り、たまったものではないと思ったレミリアは遂に最後のスペルカードを宣言する


『「紅色の幻想郷」』


『スカーレットマイスタ』とは異なり、全方向に向かって同時に大型の弾が緩やかな曲線を描いて放たれると、その弾の通過した軌道上に小さな弾が配置される


そして大型の弾が消滅し、配置された弾が形を崩すようにして動き出す


紅い弾が周囲を埋め尽くす状況は紅い霧に包まれた幻想郷を体現しているよう・・・だったのだが


『霊符「夢想封印」』


周囲の紅い弾をかき消しながら巨大な光弾が飛んでくる


それが自分を追尾していることに気づいたレミリアは1つをギリギリのところで避けると、続いてきた弾を誘導し、互いにぶつけて相殺させた


だが、そこで最後のスペルカードの時間が切れた


「参ったわ、私の負けね」


「なら、この霧をどうにかして欲しいんだけど」


「分かってるわ

ジャスミン、この霧消して頂戴」


そう言った瞬間、辺りに広がっていた霧はかき消え、空には青白く輝く満月が浮かんでいた


「こんなにあっさりと止めさせるなんて、事情を説明して貰いたいのだけど」


「それについては・・・長くなるから、室内で話しましょ」



こうして、幻想郷を騒がせた異変はあっさりと収束をみたのであった

ようやく紅霧異変が片付きました


本来なら原作stage6相当の話はジャスミン視点でお送りする予定だったのですが、原作stage5相当の話と繋げた結果、こうなりました


久々に登場した本作主人公の内の1人なのに哀れ、ジャスミン


パチェさんが異変中、登場してないのは気紛れではなく、わざとです

後々理由は明かしますが


あとは後日談を挟んで日常に戻る・・・予定

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