#4 紅霧異変-紅美鈴の場合-
「さて、ああは言われたものの・・・どうしましょうかね」
一面紅に染まった空を見ながら紅美鈴は呟いた
数日前、彼女の主が『気紛れで』起こした異変により、妖精達は興奮・・・というより活性化されたのか、普段は殆ど寄りつかないこの紅魔館にも半ば押し掛けるように勢い良く突っ込んで来ていたのだ
とりあえず美鈴を無視して通過しようとした者は容赦なく撃墜させていたのだが、中には意味不明な言葉を発しながら弾を撃ちかけてくる妖精も居るわけで
これが人間なら既に過労死しているんじゃないか・・・という域に達していた
加えて、この霧には薄いとはいえ妖力も混ざっているために一部の弱小妖怪までもが活性化しているのだ
活性化した妖怪が薄く撒かれた妖力の源に近付いてくるのは致し方ないのだが、それを迎撃している当人は飽きてきたのか、溜息をつきながら欠伸をするという器用な芸当を身に付けていた
「今のところスペルカードを提示しても反応する者はなし
何時まで続くんですかね、これ」
そして、太陽が傾き始めたのか周りが暗くなり始めた頃、彼女は空から近付いてくる2つの気配に気が付いた
共に異なる力を放ってはいるが、どちらも人間のようである・・・と考えているうちにその気配を発している者が近づき
美鈴の頭上を素通りしようとした・・・否、素通りした
一瞬ポカンと間抜け面を晒した美鈴だったが、我に返ると
「ちょっと待てぇい!」
と大声で叫びながら2人の目の前に立ち塞がった
「あ、何か居た」
「というか何か居るな」
と紅白と白黒がそれぞれ好き放題に言う
2人の雰囲気から何を言っても無駄だと悟った美鈴は
「ここは紅魔館、私の主の館です
部外者を無断で中に入れるわけにはいきません
どうしても通りたいと言うのなら・・・私が相手です」
と言いながらスペルカードを取り出した
「やっぱり、そう来ないとね」
と言いながら紅白の方もスペルカードらしき物を取り出した
「今度は観戦か」
と箒に跨がった白黒が離れたのを合図に
「改めて名乗りましょう
私は紅 美鈴、この紅魔館の門番兼庭師です
我が主に害なす者は・・・この場で始末させていただきます」
「私は博麗 霊夢、博麗神社の当主兼巫女よ
異変を起こした代償はきっちり払って貰うわ」
やがてどちらからともなく弾幕を撃ちかける
紅い空に放たれた赤い弾は保護色となり、それを認識する事を難しくする
・・・だというのに霊夢と名乗った人間はそれをものともせず避けていた
向こうからも大量の御札に加え、時折自分の居る場所を狙うかのように陰陽図模様の大玉を飛ばしてくるのだ
このままでは埒が明かないと判断した美鈴は1枚目のスペルカードを宣言する
『虹符「虹彩の風鈴」』
彼女の周りから5色の弾が整列しながら回転しているかのように放たれ、量こそ劣るもののそれとは逆回りにも弾が放たれる
少し経つと回転方向が逆になり、僅かだが弾道が変化する
それを何度か繰り返すのだが・・・
最初こそ圧倒的な密度の弾幕と僅かに回避ルートの変わる弾幕に顔を顰めていた霊夢も、徐々に表情に余裕を取り戻していた
やがて設定された時間になり、1枚目のスペルカードが強制的に終了される
この人間とは思えないほどの紅白をどうしようか・・・と考えているうちに、霊夢に向かって飛ぶ弾が増えている事に気が付いた
横目で見れば、他に門番を任されている妖精メイド達が少ないながらもクナイ形の弾を撃っていた
その妖精メイド達の数も人外レベルの紅白には問題ではないらしく、被弾している者も居た
一瞬感動しかけていた美鈴だったが、よく見ると大玉が直撃した妖精メイドは兎も角、御札形の弾が一発当たっただけの妖精メイドまでもが一度撤収し、後方にいた妖精メイドにバトンタッチしていた
遊んでいるだけか・・・と若干気を落としながら2枚目のスペルカードを宣言する
『幻符「華想夢葛」』
小さく丸い玉が周囲にばらまかれるように展開される
弾のコースの予測こそしにくい弾幕だが、先程の物と比べてしまうと全体的な密度ではどうしても劣ってしまう
2枚目のスペルカードまでもが時間切れで終了し、いつもの弾幕では倒せないと踏んだ美鈴は即座に3枚目のスペルカードを宣言する
『彩符「彩光乱舞」』
「虹彩の風鈴」と同様に色とりどりの弾を放つスペルではあるが、そこまで密度が高いわけではない
むしろこのスペルは意図的に緩急を付けて相手を油断させるための物であり
『彩符「極彩颱風」』
規則的に飛んでいた弾が突如として隊列を乱すように崩れ、美鈴を中心として回転しながら飛んでいく
それはあたかも低空に台風の雲が出現したかのように回るのだが
『霊符「夢想封印」』
その台風の向こうから突如として光を放つ弾が飛んできたのだ
何発かはこちらの弾で相殺、或いは弾道を逸らす事が出来たのだが、最後の一発だけはかわしきれず
「ッ~!!」
真正面から激突する事になった
辛うじて地面に着地した美鈴を見ながら
「何だかよく分からんが、話は通用するみたいだな」
と白黒
その白黒が美鈴の前に着地し
「私は霧雨 魔理沙
どうだ、私ともやるか?」
と言いながらスペルカードを取り出そうとするので
「もういいです
貴女方の実力はよく分かりました・・・が、どんな目に遭っても知りませんよ」
と暗に「先に進め」という意思表示をする
「そう、じゃあ先に行かせてもらうわ」
と霊夢が言いながら飛んでいき、魔理沙もそれに追従するように飛んでいった
2人が館に入って見えなくなった頃、すぐ横にメイド服を着た女性・・・十六夜 咲夜が現れた
「ああ、咲夜さん
結果は見ての通りです」
「そう、ご苦労様
・・・と言っても門番にあしらわれるようじゃ来て貰っても意味がないのだけれど」
「ハハハ・・・」
「じゃ、後は私の役目ね
美鈴は引き続き門番をお願い」
と言い終わると同時に彼女は居なくなっていた
「さて、もうこれで通常業務に戻る・・・のかな?」
誰も聞くことのない呟きは紅い空に消えていった
さて、久々に本小説の主人公サイドからの視点です
とりあえず前話でスペカルールに従った筈なのにほぼ瞬殺されたルーミアに合掌するとして・・・
今まで書いていなかった気がするので補足しておくと、弾幕の難易度は基本的にLunaticがベースになっています
スペル名が高難易度用なのはそのため
なのでスペル宣言させる度に某巨大動画サイトで確認して・・・というのをやってます
筆者がLunaticに挑戦したらstage1のボスにたどり着く前にコンティニューを使い果たす気しかしませんので




